第四十三話 鬱な俺が、とうとう元気百倍!!ふっかーつ!
熱が出て、咳に悩まされ、頭痛に頭を抱えてから五日ぐらい経った気がする。
一応、小山先生のところから処方された薬は飲み終えた。
そんな俺の様子は……。
「わははは!ちゃんと声が出る!熱も消えた!咳なんて一切出ねえ!」
念のため、朝晩は熱を測るようにしているが、それでも36度台という平熱をキープ出来ている。咳が出なくなるとこんなに気持ち良いんだな!熱も無くなったから頭痛も起きなくなったし、咳まみれだった声は喉飴の効果もじゅうぶんに得られたようで、ガラガラしていた喉の状態も良いものに変化していた!すげぇ!喉飴ってちょっと軽く見ていたモンだったけれど、実はかなりすげぇアイテムだったんじゃねえか!?今まで小馬鹿にしていて、お前という存在を甘くみていてごめん!これからは『喉飴様』として大切に舐めるようにしていくぞ!
ただ、浮かれているとは反対に、日に日に小難しそうな顔をしているヤツが家族に一人いた。妹の麗奈である。特に何処かに出掛けるということはしていないようだし、部屋にこもってあれこれと……勉強か?スマホとのやり取りを必死におこなっている様子がリビングでも見られているようだが、何をそんなに必死になって連絡を取り合っているんだろうか。
そして、世の中もウイルス性の咳が流行っていたものの、きちんとうがい・手洗い・マスクをして予防をしていけばそう恐ろしい病ってわけでもないってことが分かってきたものだから(でも免疫が無かったり、元々の体調不良があったりだとか、喘息持ちだとかっていう人ともなると一部では肺炎を起こすっていう危険性は言われているが)ニュース内においても感染についてあれこれと注意深く予防を促すアナウンサーだとか医師とかの存在もメディアから見られなくなってきている。まあ、メディアに取り上げられていないところでは、とある医療機関では咳を訴える患者ばかりではなく、時期的な問題もあってインフルエンザの患者たちもじゃっかん増えてきているので、これまた予防などには注意するかもと思われていたのだが、それらしい様子が見られない。もしかしてインフルエンザって軽くみられていたりするんだろうか?いやいや、もしかしたら今回流行っていた咳よりもインフルエンザの方が症状的には怖いと思うのだが……。
そして、俺としては超超個人的に心配をしていたのが、REONAが出演するというライブ。今のところ公式からは中止をするといった連絡は上がってきていないので、このまま順調にいけば明後日無事におこなわれることだろう。どうか、どうか事故やら何やらで中止になることが無いようにしてもらいたい!
そう!ライブは、とうとう明後日になったのだ!
一日一日を咳・高熱・頭痛そして寒気やら何やらの症状と戦っていたせいで一日一日がとても長く感じられたのだけれど、こうして治ってみると咳症状に悩まされた日々っていうのは意外とあっという間だったんだと気がつく。その間、もちろん俺がしなくちゃいけないはずだった朝のリモート会というものも『ちゃんと治るまでは休んでくれていいから!』と近藤に念を押されるように何度もメールが届けられたものだからパソコンに向き合うということもここ数日は全くおこなってきていなかった。ただ、ひたすらに熱やら頭痛という苦痛に耐えつつ、ベッドの上では体を丸めることもありながらも、麗奈が同じ家の中にいてくれたものだから食いモノはしっかりと用意してもらえて助かった。この分の恩は、きちんと何かしらの形で返してあげるから楽しみに待っていてくれ!
ピコンピコン!!
「お。REONAのSNS発信も、じっくり目にするのも久しぶりか?どれどれ……」
きっと明後日に差し迫ったライブについての発表だったりするんだろうか!?それとも何を歌うのかとか!?どんな装いとかで登場するのかとか!?
とにかくスマホの画面を見ることだけでもしんどかった俺は、ほぼ仕事関連で急務なことでも無ければ必要以上なまでにスマホもイジらない数日間というものを体験していた。最初は、どうしても気になってしまってスマホを手に、どうでも良いことでもチェックしようとしていたものの、母さんと麗奈からダブル攻撃を食らってしまった。
「「ちゃんと休まないなら、スマホ取り上げるからね!もしくは、部屋のグッズを片付ける!大人しく休むか、グッズを片付けられるか……どっちが良い!?」」
それはそれは鬼の形相をして迫られたものだったので、俺は泣く泣く……というか、絶対に部屋の中にあるグッズたちは捨ててもらいたくなかったので大人しく寝て過ごすばかりの生活となってしまった。でも、その甲斐もあってかこうして元気になれたので母さんや麗奈の迫力のあった形相は、素直に俺を心配してくれていたものだったと思いたい。それにREONAが出演するとSNSで発表されてから『ライブに行くぞー!REONAと会える!』と言いまくっていたから俺のためを思って……だったんだろう。そこには父さんは加わらなかったものの、たぶん父さんがマジもんで脅してきたらそれはそれは俺はビビって布団を被り、ベッドで丸くなっていたことだろう。だって父さんは警察学校で働いているんだぞ!?家の中でだと物静かな父さんといった印象を受けるが、まさに静かに怒りのオーラでも発せられようものなら俺は弱弱しいメンタルをさらに悪化させて、委縮し、鬱も悪化していたかもしれない……。家の中では、優しい父さんでいてくれて本当に良かったと思っている!
『とうとうライブは明後日ですね!みなさん、体調はどうでしょうか?無理はせず、具合が悪ければご自愛なさってください!』
ふぉぉおおお!
REONAのアカウントから発せられるメッセージが眩しい!つか、マジで眩しい気がする!久しぶりにスマホの画面を覗き込むからだろうか?しょぼつく目元を軽く擦りつつ、見落としがないよう過去の発信なんかにも目を通していった。俺がスマホに触れることが出来なかった数日間の中でも、たまーにREONAはSNSで発信をおこなっていたようである。
一番、古い発信で俺が目を通していないモノっていうと……ここら辺だろうか。
『なかなか都合が付かなくてライブのリハーサルも通すことが出来ませんが、声だけは欠かさずに訓練しています!』
『ライブの予定表をいただき、しっかりしたモノに目を通しました。緊張はしていますが、やる気だけは失わずにスケジュールを頭に叩き入れていきます!』
『明日は、某所にてライブのリハーサルがあります!私の出番は、終盤になりますがそれでも先輩たちのリハーサルをきちんと頭に入れて、出番を無事に迎えられるように頑張ります!』
……って、感じ。
最期に流れてきた発信っていうのが、まさに今流れてきたヤツっぽくて、ライブ前日になってようやくリハーサルなのかよ!?って驚きはしたものの、アイドル事情というものをはっきりと分かっているわけではないので、なんとも言えない。とにかく無事にリハーサルとやらを終えて、本番当日を迎えてほしいものだ。
「よしよしよぉーし!!REONAの準備も順調そのものじゃねえか!うんうん、やっぱり一緒に戦っているって感じがするぜ!」
ついつい、部屋のあちこちに置いているREONAが担当したアニメキャラクターたちのグッズを視界に入れるとニマニマと表情が緩んでしまうが、これはREONA病と思うしかない!愛ゆえ、ってヤツだ!愛!
俺も明日は、ゆっくりと過ごし、明後日は活発に動けるようにしておかないとな!たぶん、グッズも……REONAに関するモノが発売されるだろう。他のREONAファンどもに負けないように、グッズを買い占めなければならない!初ライブ!初お披露目の日になるからこそ!明後日は、俺にとっては戦争だ!!
と、取り敢えず治ったみたいで良かったね……(苦笑)じゃっかん元気過ぎて、それこそ妹ちゃんに『キモイ、ウザイ』とか言われないようにしないと(汗)
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