第四十二話 REONAファンのコメントに、鬱の心が和らいでいく
ピコンピコン!
とスマホが鳴るものの、とてもスマホをイジれる元気なんてものは無い……。
でも、この音はREONAがSNS発信をしたときの音だよなぁ……。
ピコンピコン!
あー、この音は。アレだ。REONAがSNSで何かしらの発信をしたときの通知音にしているもの。ぶっちゃけ今の俺は、スマホの画面を見ることだって苦痛だったし、スマホそのものを手に取るのも億劫に感じているほどだ。
それに、やっとうとうとしてきて寝れそうかも……と思ったところに通知音が鳴ったものだから、眠気というものも吹っ飛んでいってしまった。
重なった毛布、そして布団から顔を出すと必死に手を伸ばしてベッドの上に置かれているスマホを手に取ると、スマホの光に目がチカチカ、頭はガツンガツンと痛みを発しながらもせめてREONAがどんな発信をしているかだけは確認しようと気合いを入れてSNSチェックをしていった。
『知り合いが大熱を出して、咳も酷い状態です……。良ければファンの皆さん、少しでも良くなるように応援してあげてください!』
やっさしー。REONAってやっぱイイ子確定だな。他人のために、わざわざファンのみんなに応援してもらうように発信をしたのか。REONAの知り合いとなると同じ声優だろうか?声優の中にも具合を悪くしている連中が増えてきているみたいだから、きっと仲の良い声優に少しでも元気付けてあげたくてファンの力を借りようとしているのかもしれない。
そんなREONAの発信にいち早く気が付いたらしいファンたちは次から次へとコメントを残していくようになった。
『REONAちゃんの知り合い!?応援しまくるよー!具合、良くなれーっ!!』
『言葉でしか伝えてあげられないけれど、どうかご自愛なさってくださーい!』
『REONAちゃんの友達かな?頑張れ頑張れ!もうじきREONAちゃんが出演予定のライブも間近になってきてんだぞー!?治して一緒にライブ盛り上げようぜ!』
REONAからの発信にも感動モノだったが、俺がついつい目を通してしまったのはREONAのファンらしき人たちが残してくれているコメントだった。どの人も優しい言葉を向けてくれているのがよく分かる。
まあ、俺には向けられていない言葉だっていうのは分かってはいるんだけれど、ちょうど同じ時期に具合を悪くしてしまっている俺。そして、REONAの知り合いとしんどさも俺に似通っているらしいから気持ちが良く分かる。俺も絶賛、高熱が出ていて咳もしんどいんです!
だから、ついついREONAの発信に残されていくコメントは、まるで俺に向けられたような気分になてしまって(たぶん熱も相当出ているものだから有り得ない妄想をしてしまっていたのかもしれない)みんな、俺のことをそんなに心配してくれているのか……と感極まってしまっていた。
REONAの知り合いが誰なのか、まではさすがに分からなかったけれど、その人も今頃しんどいんだろうなあ。こればかりは自分で罹ってみないと分からないし。とにかく、残り数日のうちに全快しないとライブには行けないだろう。たぶん、少しでも熱があったり咳が酷かったりしたらライブ会場にも入ることなく止められてしまう可能性が『大』だからだ。そうならないために、娯楽には手を付けることなくひたすらベッドでごろごろと過ごさせてもらっている。もちろん別にやることが無いからってこともあるけれど、何かをしようにも集中力が続かない気がする。本当は、REONAが出演しているアニメを観たい!REONAのボイスを聴きまくりたい!っていう気持ちがめちゃくちゃあるんだけれど、ここでそんな刺激物を頭に与えたら治るものも治らなくなる危険性があったので、とても悔しいが我慢することにした。それに、別にアニメを観ることが娯楽ではない。部屋中には、今までREONAが担当してきたキャラクターグッズがあちこちに置かれているものだから、それを見て癒され、励ましにされている気分に浸っている。もちろんキャラクターグッズは何も言葉らしい言葉といったものは発してはくれないものの、それでも今の俺の体の不調には、とても癒される効果が得られると信じている。オタク……リアコ、ではなくてREONA病を舐めんな!キャラクターグッズからだって、たまに『頑張れ!頑張れ!』って声が聞こえてくることがあったりするんだぞ!?(それを麗奈に熱く語って聞かせてみると、それはそれは引かれた目で見られてしまったのだが、それもこれもREONA愛があるからこそ、だ!)
取り敢えず、安堵しているのは会社関連から『〇〇をお願いします』的なメールが届いていないこと。営業が出来なくたって、外回りでも少しぐらいは出来ることもあるんじゃないのか?と不安がっていたが、まだしばらくの間は医療機関に多く足を運ばせる外回り組には仕事量を減らしているのかもしれない。まあ、パソコン業務に詳しそうなヤツには、個人的に連絡が入っていて、書類整理だとか今まで発注している薬と薬局やらに置かれている薬の在庫を照らし合わせてみて不足している薬局や医療機関が焦っていないかどうかのチェックもおこなっているらしい。
俺にはそういった連絡は来ていないんだよなあ。まあ、俺の具合の悪さを知っている小山先生辺りが他の医療機関にもちょっとした連絡を入れているっていう可能性もあるかもしれないし、リモート朝会で俺の具合の悪さを認識したヤツらは俺に負担をかけまいとして個々人で出来ることの連絡を取り合って家の中で出来る仕事をしているって可能性もあるんだろう。俺は、とにかく静かに休め!ってことだろうか。
「げっほごほ!……この、咳も無くなればなぁ……つか、治まってくれないとライブに行けないんだけれど……」
熱は多少誤魔化しがきくかもしれないが、咳ばかりは難しい。ちょっとしたことでも咳き込んでしまう、咳が続いてしまうファンを会場内に入れるわけにはいかないだろう。
とにかく起きているときには、喉飴を片っ端から開けて舐めていった。飴なんて一つ舐め終わるまでにそうそう時間が掛かるものじゃないから次から次へと飴を口の中へと放り込んでいく。そうすれば一袋分の喉飴なんてあっという間に舐め切ることができてしまった。少々、舐め過ぎかな?と考えてしまうものの単なる喉飴だろう?舐め過ぎて体がどうこうなるってことはまず考えられないものだから舐めまくって体に副作用的なものがあらわれるってことは無い……と信じたい。
それと小山先生から処方された薬も、苦しみながらもきちんと飲んでいる。喉は痛いがきちんと食事はとれているし、そろそろ完治しても良い頃だと思うんだけれどなあ……。まあ、具合を悪くしてから一日?二日?ぐらいしか経っていないものだから、これぐらいで完治出来るものならば世間でこれほど騒ぎになるほどの流行病として取り上げられることはないだろう。少なくとも、あと数日のうちで完治させなければ!
幸いなことに家には父さんも基本的には在住しているし、麗奈も休校状態にあるものだから簡単な食事を用意してもらっている。これには大変助かっているさ!ただ、用意するんじゃなくて少しでも食べやすいように、喉が痛い思いを麗奈もしているから少しでも食べやすい状態の食事を用意してくれるのは有難い。麗奈って口ではあれこれ言うことも多いけれど、さすがに具合が悪い人に対しての気遣いっていうものはしっかりとしているんだなあ。将来が楽しみだ。きっと良い嫁さん?良い旦那を持って良い家族を築いていける気がする。……お兄ちゃんとしては、少しばかり寂しい気もするが、誰だって今のままでずっと過ごしていけるってわけでもないからな。いつかは自立とかもして、家庭を持つんだ。それが普通のことだもんな。
もしかしてお兄ちゃんへの仕事は他のみんなで分担してやっているのかも!?気が利く同僚がいるって素晴らしいですな!!
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