第三十七話 鬱の俺が作るファン内輪は、とにかく目立つように!
さて、アニメを観るか……それともネットで何か調べてみるか……。
そう言えば、会社に行っていたときにはいろいろな喫茶店に顔を出して、朝食を兼ねた昼食のようなモノを食べていたが……それでも、ここ数日、まったく喫茶店の味を堪能することが出来なくなると途端に寂しい気持ちになった。
「まあ、食品業界もこうなってくると管理とかも厳しそうだよなあ……そもそも、喫茶店自体、店が開いてるかどうかも危うい……」
特にサンドウィッチ、そしておまけなんかも付けてくれる喫茶店の従業員のお姉さんは声が良かったなー。REONAほどに良い声をしているってわけでも無さそうだったけれど、普通に声優とかで活躍していてもおかしくなさそうな感じがした。何度も言うようだが俺は、ずーっとREONAの声を耳にしてきている。つまり、アニメ作品に触れる機会もそこそこに多いため、この声優は声が良いとか、ちょい個人的には苦手かも……とかっていう声の判断を付けたりもしている。ただ、まあアニメに抜擢されるっていうぐらいだから俺個人の好みはともかくとして、アニメ制作側からすればキャラクターに合っているってこともオーディションを勝ち取った要素の一つにあるんだろう。まあ、ぶっちゃけここだけの話になるけれど、たまにめちゃくちゃな原作でパッと勢い付けるようにしてアニメ制作をしている会社もあったりするが、そういうアニメの場合、どんなに凄い人気のある声優を起用したとしても原作の方での人気はイマイチ……で途中で完結せず、不完全燃焼気味に無理やり終わりにしてしまった……という原作もあったりなかったり。まあ、そういうアニメにぶち当たってしまったときには声優側には『ドンマイ』としか言えない。まあ、声優からすれば声の仕事を貰えるだけってのも凄く有難いことだから原作云々とは言っていられないんだろう。
そうそう。お姉さんの話で思い出した。
この前、アップルパイとおまけでシュークリームまでいただくことになってしまったお店のお姉さんもなかなかにイイ声はしていた気がする。なんというか、くどくない愛らしいキャラクター風の声って感じだ。キンキン!って思わず耳を押さえたくなるような高音極まれり!といった感じの如何にもなキャラクターボイスをしている声優さんもいたりするが、俺個人としてはあまり好みではない。というか、ずっと聞いているとそれこそ耳鳴りでも起きるんじゃないかというほどの凄い声をしている声優がいるが……作品的に問題は無いんだろうか。
その点、あのスイーツ店のお姉さんは演技力をぶち込んでいけば相当な幅広いキャラクターが演じられる気がする。普通に聞いていれば柔らかそうな声で、しかもそれでスイーツ店で『いらっしゃいませ』とかって言っているんだから声マニアが集いそうな店になるかもしれない。
喫茶店もスイーツ店も一応、ネットで調べて見つけた店だったりするから最近の客入りとかも分かったりするんだろうか?
喫茶店の方は、店内で食べる事がしばらく禁止になってしまったらしい。商品は全て持ち帰り用として販売は続けているようだ。マジか……あの店で食うから美味いんだよなあ……でも、俺もそうふらふらと出歩くことができる人間じゃないから、これはこれで仕方ないのかも?
スイーツ店の方も調べてみたものの、相変わらず店は開き、特に閉めているだとかって情報は無いっぽい。まあ、スイーツ店で、買ってその店内で飲食するっていうのはなかなか無いよな。あ、でもお姉さん的には趣味の延長で作っているらしいシュークリームも人気メニューの一つとして評判が上がってきているようだ。うんうん、アップルパイに負けず劣らず、シュークリームも美味かった!また、是非とも味わいたい、今度はきちんと金を出すので安心してください。
動画をあげているヤツらとしては、店に行ってみた系の動画なんかもあったりして(こういうのって人気なのか?)そのなかの一つに俺が通っていた喫茶店とスイーツ店も取り上げられていた。もちろん従業員たちの顔とか声とかはぼかされているし、声も変えられてしまっているけれど見る人が見れば、『あそこの店じゃん!』と丸わかりで、店内の様子とかもばっちり収められてしまっている。一応、許可は取ったのかもしれないが、ここまで堂々とネットに上げていて大丈夫だろうか?
しかも、本来なら商品だとか店の凄さをアピールする動画だと思うのに、従業員であるお姉さんたちの顔だけをぼかしたバストアップなまでに近付いた動画というものもあるらしい。失礼極まりないな。まあ、そこそこに可愛いとか綺麗系のお姉さんたちだったから動画の人気率を高めるには一役買ってくれそうだが、本人たちからすればワケの分からん動画の人気を集めるために無理やり取材を受けるような形を取らされてしまったわけだから気分としては良くないんだろうなあ。
途中まで目を通していた動画も止めてしまうとポイッとスマホをベッドに投げた。
もちろん我が身もベッドに……ぼすん!と倒れさせた。
「REONAの声が聴きたい……」
あ、もちろん聞こうと思えばいくらでもボイスはスマホに入っている。が、俺の気持ちとしては生のREONAの声が聞きたいっていう意味だ。
「ライブ、やるんだよな……つか、中止になるなよー。こっちは待ってるんだからなー」
REONAってどんな子なんだろうか。
ここまで期待させておいて、やっぱりライブ当日はいけませんでした!なんて言ってみろ、SNSでは大炎上間違いなしだろう。ファンたちからの熱烈な攻撃コメントはしばらく止まないかもしれない。でも、不安だ……。
昨日の陽性反応が出たって発信してからは特にはREONAはSNSを利用していないらしい。スマホが鳴らないってことは発信していないってこと。今頃、ゆっくりと自分の発信に付けられたファンたちからのコメントを眺めているんだろうか。一体、どんな気分で?もしかして性格面にめちゃくちゃ問題有るような子だったりしたら一生懸命に応援コメントをしてくれているファンたちを嘲笑って見ているとか……?いやいや、それは無い!さすがに、それだけは無いだろう!そんな人物だったとしたら俺もかなりのショックを受ける。
REONAには、いい子でいてもらいたい。いい子って言っても、年齢も分からないんだよなあ……。二十代?若いと十代っていう線もあるだろうか。でも、最初にデビューした作品からかなりの月日が経っているからさすがに十代っていう考えは無理があるだろうか。
「早く見てぇなあ……どんな衣装で出てくるんだろ、何歌うんだろ……」
一度妄想しはじめたら止まらない。
ライブで、どんなパフォーマンスをしてくれるのか、どんなファンサービスをしてくれるのか、どんな挨拶からはじまるのか……考えだしたらキリが無い。
「へへ、それにしても、やっと見られる……あと、二週間ぐらいか……くぅ~っ、楽しみ過ぎて、眠れん!……まあ、寝るけれど」
声援を送ったら、こっちに気付いてくれるだろうか。もしかしたら目が合う!?そんなときにファンサービスでもされたら俺は、もうその瞬間に気絶しても良いかもしれん!可愛らしく手でも振ってくれるんだろうか、ウインクとか!?あ、内輪でも用意した方が良いんだろうか!?でも、それは多くのファンたちが用意するだろう。何か、何か俺だけに気付いてもらえるようなモノを……用意しなければ!!
仕事が無いことをいいことに、俺はそれからしばらく少しでもREONAに気付いてもらうには何を用意したら良いだろうか!?と考え込み、必要そうなモノは百円ショップに言って用意することにするのだった。でも結局用意したのは内輪。でも、ただの内輪じゃない。『REONAらぶ!』と書いた内輪だ。他の客の邪魔にはならない範囲で装飾も施し、少しでも目立つように、パッと見で視線を向けてしまうような造りに試行錯誤するのだった。
とうとう内輪まで用意しちゃったよ……凄い、熱意だ!!
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