第三十三話 アクスタを見てアニメ回想していたら鬱が和らいだ
やっぱスタジオとかが影響しているのか？
声優界隈、やけに体調不良者が続出してねえか？
そう広くないスタジオ、そして控え室では多くのスタッフとかもぎっしり詰めているんだろう？そんななかで今回のようなウイルスなんてきっとあっという間に広がるに決まっている。もちろん今回、陽性となってしまった数多くの声優さんたちも心配だ。一日でも早く良くなってくれよ！アニメ作品たちを世の多くの人たちは待っているからな！でも、やっぱり個人的にはＲＥＯＮＡをめちゃくちゃ心配してしまう。
大丈夫だろうか、陽性っていってもどのぐらいの症状が出ているんだろうか。
咳は？
熱は？
ちゃんと食べられるモノは食べているんだろうか？
近くに頼れる人はいるんだろうか？
って、めちゃくちゃ俺が心配して、ＲＥＯＮＡの具合が良くなるとは思わないのだけれど（現実的に考えてそれは無い、とちゃんと現実だってみえているからな！）それでもその他大勢の声優陣よりも俺は一途なＲＥＯＮＡを心配してしまう。
いやいや、好きな人に何かあれば心配してしまうのは人として当たり前なことだろう？別に変なことではないはず！絶対！それに、ほら……ＲＥＯＮＡがＳＮＳで発信すると、ファンたちがこぞってコメントを残していく。
『頑張って！ゆっくり休んで！』
『ウイルスなんてぶっ飛ばしちゃえーっ！！』
『熱あるの！？ゆっくりしなさいよ！』
まあ、なんともＲＥＯＮＡ本人が目を通したら嬉しくて泣けてきてしまいそうな応援メッセージばっかり。ＲＥＯＮＡは自分の発信に付けられているコメントにじっくりと目を通していることはあるのだろうか？めちゃくちゃ励ましになるメッセージばかりじゃねえか！コレを見ないで何を見るんだっつーの！台本か！？原作の本とかか！？そんなモノに目を通す暇があるのならたまにはＳＮＳに目を通してみてくれ！……台本を読み込むってことも大事だとは思うけれど……。
まあ……俺って、ＲＥＯＮＡのＳＮＳ発信はきちんと目を通したりしているんだけれど、俺個人的には特にコメントらしいモノってしたことが無かったりする。見る専門っつーの？いやいや、俺みたいな純粋なファンとか愛情持ちになるとわざわざコメントを残してＲＥＯＮＡの気を引こう！だなんて気持ちにはならないからだ。こうしてきちんと心の中で応援しているだけで、きっと気持ちは伝わるモノだと思っている。（こういうところを麗奈からするとキモイ部分らしい……）
特にめぼしいニュースも見終わった俺は、新たに淹れたインスタントコーヒーを片手に、そしてスマホをポケットに入れながら自室に戻った。途中で、麗奈の様子を伺おうと軽く麗奈の部屋のドアをコンコンとノックしたものの特に反応が無く、寝ているのか？と思ったので無理に部屋を覗いたりしようとは思わなかった。
「さぁーて。……アニメ……あ、いやいや。明日の仕事のチェックは……取り敢えず、朝イチでリモート再びってか。つか、課長代理って誰なんだ？会社からの連絡は……特には無いよな……」
パソコン前に置いてある椅子に座りながらスマホをススッと操作していくものの会社関連での連絡事項のようなモノの連絡は入ってきていないし、結局『課長代理』を誰が代わりにおこなっていくのかも分からないままだ。これは、明日、リモートの場になってみたいと分からないってやつだろうか？そんないい加減な……。これは、連絡ぐらい入れてほしいものだ。
「つか、この感じだと、明日も仕事らしい仕事は無い……のか？うーん……だが、麗奈の様子もまだ心配だしなあ……」
仕事が無い＝ＲＥＯＮＡの出演しているアニメを観まくることができる！って考えがどうしても浮かんで来てしまうものの残念ながらそう単純に、することが全く無いという状況でもない。
ついついパソコンの近くにも置いているＲＥＯＮＡが担当したキャラクターのアクリルスタンドに視線を向けてしまう。そこにはビシッと決めポーズを決めている魔法少女系のキャラクターが。片眼はウインクされていて、まさにキラッと星でも飛んで来そうな勢いがある。
『私の力で、星にエネルギーを注入！』
『私は、負けないんだから！』
『みん、な……っ……わたし……私は……戦う！』
アクリルスタンドを見るだけで、決めセリフ的なモノが次から次へと思い浮かんで来るものだからアニメも観直してしまいたくなる。俺みたいなおっさんが魔法少女系のアニメなんて痛いだと！？んなことねえっつの！魔法少女舐めんな！
あのなあ、魔法少女系って単なる変身して悪と戦うモノだと思われているかもしれないけれど、そこには友情だったり、愛情、そして感動する場面がめちゃくちゃ盛り込まれている作品になるんだぞ！？俺はこのＲＥＯＮＡが担当しているキャラクターのセリフを何度も聴いて、何度も心を救われ（鬱になった心を）、何度涙を流したことか……。
『大』の大人がアニメで泣くな？バカだなあ。大人だからこそ今一度観てもらいたい作品の一つでもあるね！妙に大人ぶっている思春期真っ只中のヤツだとか、大人になりかけのヤツ、体だけは大人なのに精神的にはまだまだガキんちょなヤツらにこそ観てもらいたい。でも、そんなことばっかり言っているから妹からは『キモイ』と言われているんだろうか……いやいや、コレが俺の好きなことだから！
「……音楽掛けながら、早めに寝るとするか……」
イヤホンを耳に付け、流しはじめるのはＲＥＯＮＡが出演したアニメ作品の主題歌メドレー。ＯＰはもちろんのこと、ＥＤ曲。そして、たまーに作品内で流れることがある挿入歌の類もスマホに入れている。もちろんＢＧＭも欠かしていない。
最近は、アニソンを歌う歌手たちも有名な歌手やらアイドルたちを起用することが多くなってきているせいかアニソンを聴くことが好きだといってもそうそう白い目で見られることも少なくなってきている。いやいや、曲も歌い手も凄いとは思うが……そこは、中身で頑張ってくれている人の一人でもあるＲＥＯＮＡを褒めてもらいたい。
アニメは映像そのものももちろん大切ではあるが、声優の声だって欠かせないモノなのだ。近年では声優が歌を歌ったり、キャラクターソングといったものも歌うようになってはきているものの、今のところＲＥＯＮＡにはその気は無いんだよなあ……でも、それでも今月末のライブには出演するらしい。ってことは、ライブがまさにＲＥＯＮＡの歌の初お披露目ってヤツになるんだろうか！？生だぞ！ライブだぞ！？めちゃくちゃ緊張するんだろうなあ……俺だったら前日なんていうより、一週間近く前から緊張しまくってちゃんとした睡眠とか食事とかもとることが出来なくなるかもしれない。なーんて、ＲＥＯＮＡはそこまで精神的にやわじゃないだろう。数々のオーディションのなかで役を掴み取ってきている、人気の声優の一人だ。もっと堂々としていれば良い。むしろそういう姿をＲＥＯＮＡ愛を抱いている俺は望んでいる。緊張してアガっている姿もきっと可愛いのかもしれないが、余裕を持ってファンサービスとかめちゃくちゃしてくれるようなＲＥＯＮＡが良いなあ……。
なーんて俺の妄想、というか期待を込めた想像を頭に思い浮かべつつ耳に流れてくるアニメ作品内で流れていたＢＧＭを聴き、イイ気分になりながらいつの間にか寝てしまっていた。スマホもそのままの状態で永遠と音楽が流れる状態になってしまっていたから寝相とかで止めない限り、音楽は耳に流れ込んでくるだろう。ふふ、最高だろう？エンドレス！！最高！！
『あら、今日はもう終わり？おやすみなさい。あら、今日はもう終わり？おやすみなさい。』
アクリルスタンド！もち、有ります！お兄ちゃんの部屋には何でもあります！すげぇ……。つか、めっちゃあります！どんな部屋だよ！？（汗）
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