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第三十話 もしもREONAだったら……と考えると悩んで鬱になりそう……

 麗奈のために生姜湯を、マグカップに淹れてやるとコトン、と麗奈の近くに置いた。

 そ、その際に……俺は、この機会に気になっていたことをたずねてみることにした!

「も、もし……違ってたなら悪いんだけれど……麗奈って、声優に詳しかったりするか……?」


「……はぁ?……ごほごほっ……」


 い、言えない!

 お前ってREONAなのか!?なんて聞けねえよ!!ど、どんなに勇気があったって、REONA愛があったって、これだけは聞けないっ!!くそーっ!!!どうせ、俺には勇気が足りない!毎日毎日、ちょっとでも傷付くことがあるとすぐに鬱の傾向に陥ってしまうような小心者だよ!!

 でもさ、ちょっと声が似ていると思ったからって『REONAか?』ってドストレートに聞けるか!?そんなヤツがいたらここに連れて来い!身内なんだぞ、こっちは!身内が、しかも妹が最愛の存在であったとしたらそれからどう過ごしていけば良いんだよ!?下手したら、俺だけ除け者!?家族内において俺の居場所が無くなっちまうんじゃねえか!?


「……いただき、ます……ごほごほっ……声優?……詳しい人と、そうじゃない人っているけれど……ごほっ」


 俺が用意した生姜湯を咳き込みながら、ふぅふぅと息を吹きかけて冷まし、ゆっくりと口に付けていく様を横目に、俺はただただ自分の勇気の無さに愕然としていた……。まあ、普段から文句のあるハゲ上司に向かって怒鳴り返すことも出来ませんし?不満や愚痴がある先輩にだって直接文句なんて言えることなんて出来ませんって。会社の愚痴や文句なんて、気心が知れている同期ぐらいにしか吐き出すことが出来ないしなあ……。


 でも、もしも麗奈がREONAだったりしたら……下手すれば、あんなセリフやこんなセリフをめちゃくちゃ毎日聞き放題ってヤツじゃねえか!?それは、美味し過ぎる!!!


「そりゃそうだ。俺だって、知らない声優なんてたくさんいるしなあ……で?どんな人なら知ってる?」


「はあ?……げほっ……一般的に有名な作品の、主役やってる人、とか?……アニメ観てなくても、それぐらいなら、分かる……ごほごほっ……」


 それ、アレだろう!?ドラ〇ン〇ールとか、ワン〇ースとかで主役級のキャラクターをやっている声優って意味だろ!?それだったら俺にも分かるわ!つか、親世代だって、それぐらいなら分かるんじゃね?って、違う違う!そこら辺が聞きたいわけじゃなくて!

 えーっと、えーっと……つまり、俺が聞きたいのは、だな……。


「お、お前って……れ、REONAに似てるとかって言われたこととか……ないか?」


「はあ?……ごほっ、私が……?」


 うーん……咳き込んでいるし、声はガラガラと酷い状態だから今は何とも言えないって感じだが……普段は、別に気にしたことって無かったんだよなあ……それが、さっきの……さり気ない一言で、アレ?って思ったんだよ。ちょっと……いや、かなり似てないか?って。


「あ、あぁ……つか、俺のREONA愛、もちろん知ってるよな!?その俺が言うんだからかなり似てると思うんだよ!」


「……で?」


「へ?」


「げほっごほ……に、似てたら……どうするの?」


「いやぁ、それがどうしたモンかと悩んでるところ……」


「はぁ?……ごほごほっ……」


 もしも麗奈がREONAだったら、こっちのキャラクターのセリフを言ってもらいたい!とか、是非とも俺に向けたメッセージを収録させてほしい!とかって欲望はめちゃくちゃある!でも、本人じゃなかったら?……引かれること確実、なんだよなあ……。


「だってREONAに言ってもらいたいセリフなんて言い出したらキリが無いんだぞ!?あのキャラクターのセリフをREONAに言って欲しかった!っていうセリフはめちゃくちゃある!それに、素のREONAならではだからこそ言えるメッセージっていうのも憧れる!是非とも俺だけに向けてメッセージをいただきたい!」


「……キモうざっ……ごほっごほ……」


 うぅ、久しぶりに聞いたぜ。麗奈からの『キモイうざ』発言。まだまだ咳は続いているようだが、俺のバカみたいな話をちゃんと聞いてくれるだけでも嬉しいモンだぜ。こっちはREONA愛をどうやって公に出していこうか迷っているところだったからな。SNS?そんなモンで発信してみろ。同じREONAファンからは冷たい言葉の攻撃が向けられるだろうし、声優をあまり詳しく無い人からすれば『キモイ』としか返されねえっての!SNSも冷てえな、おい!SNSは優しい心のオアシスなんじゃないのかよ!


「で、でもさ……麗奈だってREONAぐらい知ってるよな?な!?」


「そりゃあ身内で、これだけ騒がれたら知るでしょ……ごほっごほ……」


 ごもっとも。

 でも、普通にしていればアニメとは縁が無さそうな麗奈だ。もちろん俺がめちゃくちゃ騒いでいるからってスルーしてくれたって良いところを、一応は興味を持ってくれているのか!?それか、もしくはREONA本人かってところだ。

 本人なら嬉しいなあ~……ちょ、ちょい気まずくなるかもしれないけれど、俺はめちゃくちゃ好きだから!むしろめっちゃ嬉しい!生活に潤いが生まれる!そして、俺の鬱も改善されるかもしれない!


「えーっと……でも、麗奈が興味を持ちそうな作品だと……青春学園系アニメか?確か、REONAも出演していたはず……」


「うわー……ホントに、片っ端からチェックしているの?……ごほっ……うざい」


「う、うっせー。好きなんだから良いだろ、別に」


 麗奈もそこそこ良いご年齢になってきているから魔法少女系を観るか?と思えば観ないよな……きっと。ロボット系とも縁が無さそうだし……そうするとどうしてもラブコメ系な作品を思いついてしまう。が、REONAってこの作品の中で、片思いしている男子にフラれたり、新たな男子キャラから告られて困惑するっつー微妙な立ち位置にいるキャラクターを担当していた気がする。でも、REONAのキャラクターって現実味があるから非常に好感が持てる!そして、泣ける!感情移入がしやすいヤツだったら何度観ても涙を流しながら観てしまうんじゃないだろうか。


「あ。確か、これ俺円盤持ってたわ。……後で、差し入れしてやるから観てみろよ」


「は?……フツーにいらない……ごほっ……」


「まあまあ!たまにはアニメを観てゆっくり過ごすってのも有りなんじゃねえの?ただでさえ、そんな状態じゃ出掛けることも出来ないだろ?なら、部屋でゆっくり過ごすついでにアニメでも観てろって!」


「……いや、具合悪いんだから普通に寝るでしょ……ごほっごほ……」


 え、こんなに咳き込んでいるヤツに喋らせて鬼だと?別に鬼じゃねえだろう。兄妹との会話じゃねえか。ただ、まあ……口を開くたびに咳き込んでいる様子に可哀想かなと思って背中をぽんぽんと軽く叩いてあげるんだけれど……いいお兄ちゃんだろ?


「……ふぅー……しんどい……ごほっ……」


「だよなー。横にいてもツラそうなの分かる」


 まあ、部屋で休ませた方が良いかな?と思うかもしれないが、ここで部屋に戻ってもらって夕飯が出来たらまた部屋から出て来てもらうってのも大変じゃね?だったら、多少しんどいかもしれないが、夕飯まではここで毛布にくるまって大人しくしてもらった方が良いかなーって。


「はぁー……麗奈が、REONAだったらなぁー……」


「……もしも、本人だったらどうすんの?……ごほごほっ……」


「めっちゃ愛を語るね!んでもって……アレ、どうすんだろ。……でも、めちゃくちゃいろいろなメッセージを収録したい!」


「はは……愛は、しつこそうだね……ごほっ……」


「もちろん!もう、かれこれ……何年だ?十年近い愛をこじらせてるからな、こっちは!」


「リアコ、うざいね……ごほっごほ……」


「言うほどリアコか?もっとヤバいヤツらなんているだろ」


 つか、俺ってそこまで言うほどリアコ化しているんだろうか。ただただREONAが好きだ!REONAが担当したキャラクターグッズを買い占めているぐらいだろう。そして、ボイスも聴きまくっている……それぐらいだ。……リアコ化、してる……か?

 どうせお兄ちゃんにはそこまでの勇気なんて無いんだーっ!!(しくしく)でも、しんどいのに兄の会話を聞いて、応えてくれる妹ちゃんが偉い!優しい!!


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