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第二十八話 母と妹の会話に混じれなくて憂鬱になるぞ?

 うーん……熱は、まだあるなあ……。

 よしよし、と頭を撫でただけで熱く感じるってまだまだ熱が高いってことだろ?

 おいおい……。

「はぁー……ただいま」


「!あ、お帰り。母さん帰って来たからお前のことも話しておくよ。どうする?また寝てるか?寝れないかもしれないけれど……横になるだけでも違うんじゃないか?」


「うーん……ごほっ……じゃあ、横になってる……」


 『そうしろそうしろ』と軽く声を掛けていくと麗奈の部屋のドアが閉まるのを確認してから下の階へと降りて行った。

 今日もだいぶお疲れの様子で。それでも、いろいろな仕事先を見つけてはあれこれと仕事をしている母さん。そんなに仕事が生きがいなんだろうか?自分なりに資格の勉強をしてみたり、新たな仕事先に必要な知識とか技術とかも日々学んでいくような人だから、ちょっとたまにはゆっくりすれば?とも思うんだけれど、それがなかなか。母さん的には動いていたい人間らしい。


「お帰りー。どうだった?仕事先は」


「もう、大変ったら大変よ!ただでさえ感染予防って騒いでいるでしょう?時間も人も足りなくて足りなくて座る暇も無いくらい!」


 好きで仕事をしている母さんでもさすがの今日は堪えたらしい。ソファーに凭れかかるように背中を預けながら冷蔵庫から出したらしい麦茶をごくごくと飲んで落ち着いている。


「……麗奈、どうだったの?病院連れて行ったんでしょう?」


「!よく、分かるな……」


「だって!なんだかんだあれこれ言われていても妹が大事じゃない。……もしかして、陽性だった?」


「……残念なことに。かなり熱もあって、咳も酷いんだよ……ちょくちょく様子を覗いているんだけれど夕方になったし、また熱上がるんじゃないかな……」


「あら。そんなに?……大丈夫なのかしら、そんなんで」


「大丈夫って?あー、喉がってことか?同期からも差し入れ貰ってさ~……まあまあ良いヤツなんだけれど、必要そうなモノ、ビニール袋にごっそり……だぜ?」


「そうそう。咳なんて続いたら喉も痛いでしょうし……声も凄いことになるんじゃない?」


「……声?確かに、つか、咳しているか、ちょびっと喋れるかのどっちかだから」


「げほっ、ごほ……お、お母さん!……ごほっごほ……」


 何となく麗奈について話し合っていると時々母さんの口から出る一言二言を気にしつつ、正直、今までの声が出せるようになるまでは相当時間が掛かるんじゃないかと予想している。

 そんなとき、咳き込みながら(もちろんマスクは付けているけれど)リビングにやって来た麗奈に慌てて近寄っていく母さん。


「もう、大丈夫……じゃないわね。まったく……あなたも大変ねぇ?」


 寝間着の上にカーディガンを羽織ってきた麗奈の背中を『よしよし』と撫でてあげながら優しく声を掛けていく様子を見ると、やっぱり母親らしい優しさっていうものを感じさせられる。まあウチは親子ともども仲が悪いってことは無い。むしろいろいろ相談してくるときには相談して、それで進路とか就職先とかも決めてきたものだからウチは家庭円満って言っても良いと思う。


「……連絡は、したの?」


「……電話は、さすがに出来ないから……ごほっ……メールしておいた。陽性じゃ仕方ないから落ち着くまでは休めって……でも、今月いろいろ忙しいのに……ごほっごほ……」


 なんだ?俺には言えないことなんだろうか。もしかしたら同性だから話せるってこともあるかもしれないしなあ。でも、ちょっと寂しいぞ……ぐすん。


「今月?友達と何処かに出掛ける予定でもあったのか?」


「!そ、そう。ごほっごほ……そんなところ。……兄貴に、言ってないよね?お母さん!ごほごほっ……」


「もちろんよ。秘密って最初に約束したでしょう?お母さんが嘘言うと思うの?」


「……お、思わないけれど……ごほっごほ……」


「はいはい、よしよし。毛布出してあげるからソファーに座りなさい。和馬、咳が酷いときに飲むような薬って無いの?」


 あちこちと部屋を歩きまわりはじめた母さんは、まずは厚手の毛布を持ってくるとソファーに座った麗奈を包み込むように掛け、室内の温度と湿度をチェックしてからうんうんと頷くと最後には俺に向かって薬の有無を聞いた。


「いや、頓服系は出されなかったよ。あ、そう言えば差し入れにスプレー系のヤツあったよな。麗奈、それもう使ったか?」


「ごほっ……コレ、でしょ?ん、使ってる使ってる……」


 寝間着のポケットに入れていたらしく、取り出すと既に開けられている喉薬に『う~ん』と眉を顰めた。使っているって感じの量の減り具合じゃないよな、これ……もともとの量が分からないけれど半分近くまで減ってないか?そんなに麗奈のヤツ、部屋の中で使っていたんだろうか……。


「……使い過ぎじゃないか?お前、一度に何回ぐらい噴射してる?」


「え?……ごほっ……えーっと、数回ぐらい?」


「……そう、か?」


 数回程度なら、問題は無さそうだよな……。ただ、少しだけ減り具合は気になったものの、咳は続きまくっているからどうしたものか、と頭を抱え込みたくなってしまう。俺自身が具合を悪くしていたならばとにかく部屋にこもって寝まくる。だが、妹のことだからなあ……何をしてやれば良いのか正直分からん。付きっ切りの看病はさすがに嫌な顔をされるだろうが、ここまで具合悪い様子を見ているだけっていうのは兄としては無理なんだよなあ……。

 何か今回の咳関連のニュースでも……とスマホを探したが、部屋で充電したままだったことを思い出す。あー……忘れてた。


「……ニュース、付けていいか?スマホ、部屋だ……」


「へ?……べ、別に……いいけれど……げほ、ごほ……」


 毛布にくるまりながらしんどそうに咳き込んでいる麗奈を気にしつつ、新たなニュースでもやっていないものかとテレビを付けた。が、ほとんどのニュースでは医療機関には患者が押し寄せているから予約などを利用した受診などを勧めているらしい。でも、今の医療機関のほとんどは予約制を取っているところがほとんどだったりするんだけれどな……。

 それからドラッグストアにおいても風邪薬、特に喉に効果の強い薬だったり、咳止め薬、喉飴の類といったものが続々と売り切れてきているらしい。やっぱりか……まさに予想していた通りじゃねえかよ。ドラッグストアでこんな状態だと薬局なんてもっと咳を抑える薬の在庫が切れるかもしれん。えーっと開発の方の知り合いは……って、スマホは部屋だったんだっけ。

 ついつい何かあるとスマホで確認しようとしてしまうが、いざ手元に無いと不便なモンだな。

 そう言えば麗奈も今はスマホをイジる元気も無いようで近場には置いているが、毛布にくるまって大人しくしている。まさか、寝落ちか……?と思ってじぃーっと様子を眺めていると『ごほごほっ』と咳が聞こえて『う~……』と小さな唸り声が聞こえてくるから寝てはいないんだろう。


 あれ。

 でも、今の『う~』って言った声……何かに似ていたような……?気のせい、だろうか。


「和馬。ニュースどう?何か気になることでも言ってた?」


「だめだめ。当たり前なことしか言ってない。あと、ドラッグストア系から、咳止め系やら喉飴やらが消えそう」


「あら。そんなに!?和馬は、何ともないの?」


「俺が何かあるように見える?今んとこ全然、平気。あ、俺にはREONAが付いてるからかもな~」


「あら、でもその声優の子だって、これから先どうなるか分からないんでしょう?」


「あ、そうそう!REONAも何か具合悪いらしいんだよなあ……今月、ライブの予定があるのに……こっちは心配しまくりだって!」


「……ライブ?」


「あー……えっと、コンサートって言った方が分かりやすいか?そういうの」


「ええ!?行くの?というか、こんなご時世なのにコンサートなんてやるの!?」


 『うる……さい……』と、毛布を頭から被りながらデカイもふもふ(モコモコの毛布だからデカイ熊みたいになっている)になっている麗奈から苦情が出てくると慌てて母さんと二人で口を押えた。そして改めて声量を抑えつつ、会話を続けていった。

 気を付けないと家庭の中で感染が広まるかもしれんぞ~?いくらREONA愛が強くても感染するときには感染しちゃうんです!(汗)


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