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第十九話 鬱の俺……いよいよ夢にREONAが!?

 ちっくしょー……近藤の話が頭から離れてくれない!

 REONAに、もしかして恋人発覚ってヤツか!?

 いろいろな情報を掲載していないのは、恋人の存在も秘密にするためか!?

 もともと今夜もREONAが出演しているアニメを片っ端からいろいろと観る予定でいたのだけれど、REONAの声を聞けば聞くほどに、何故か胸が痛くなった。もしかして、鬱か……?鬱が進行したのだろうか。

 いつもならアニメを観ては、感激して泣き出したりすることは当たり前。キャラクターに感情移入することは当たり前で、あっちの場面で泣いてみたり、こっちの場面だとキャラクターと一緒になって怒ってみたり、といろいろな感情を爆発させていたものなのだが、今日はおかしい……。そろそろ時間を確認すれば、日付が変わる頃。両親たちはとっくに寝付いただろうし、隣の部屋の麗奈だっていくら学校が休校状態になったからといっても夜いつまでも遅くまで起きているような不良な学生ではないだろう。アニメを五本、十本……と観ていくが、一向に俺の気分というものは盛り上がりに欠けている。近藤の話を聞いたせいだろうか?


「REONAに、恋人!?ま、まさかな……だって、REONAなんて最近出てきた新人だろう?そんな新人がいきなり恋人が出来たとかっていって情報を公に出すようなことをするだろうか。そもそもREONAに恋人なんて出来てほしくない!」


 でも、REONAだって一人の女の子。年齢がイマイチ分からないものだから、女性と言うべきか、女の子と呼ぶべきか悩むところだ。だが、俺の中では永遠に女の子で良いと思う!そして、きっと可愛らしい女の子に違いない!必死になって作品と向き合い、とことん満足するまで妥協をするようなことはしないアニメ愛に満たされているREONA!だからこそREONAが出演しているアニメはヒットしているに決まっている!


「くぅ~っ……でも、そんなREONAでも出演しているアニメが同じだからって連絡先を交換しちゃうのか?だったら俺も声優を目指してやろうか……いや、さすがに今の歳からどんなに頑張ったとしてもREONAに出会えるのは難しいと思う……くそ、鬱が起こる……」


 別に、俺は鬱になりかけても、特に自分の体を傷付けてしまうようなことはしたことがない。それもREONAのボイスがあるからだ。REONAのボイスを聴くといい感じに心身が癒されて、鬱の心が穏やかになっていく。でも、もしかしてREONAに恋の相手が!?なんて聞くと心中穏やかには過ごせられないんだよ!

 近藤が言っていた雑誌を見たREONAファンたちはどのような心境になっているんだろうか。俺のようなREONA愛からすれば、その取材をしていた声優を袋叩きにしている可能性だって……あるかもしれない。少なくとも、俺は、ただじゃおかない気がする。でも、もしREONAが公認しているような付き合いをしているのだったら?事務所間でも認めていて、大人の二人に任せているような関係にでもなっているとしたら?……REONAが、俺のREONAが……どこかの輩のモノになってしまうってことか!?


 むしゃくしゃする気持ちを抑え込むように、深夜を迎えても寝ずにアニメを観続けている。でも、一度むしゃくしゃしはじめてしまった心はなかなかに落ち着いてくれなくて、明日からしばらく続くリモートワークの間に軽くつまむ予定で買ってきたはずの菓子類を開けてバリバリと食べてしまっていた。

 こういう状態だと寝た方が良い?でも、気分は落ち着いてくれないんだ。REONAが、いつかどうにかなってしまうんじゃないかと想像するだけで、俺の頭はぐるぐると回っていってしまう。とうとうアニメにも集中できなくなってきてしまった。これは本来の俺なら絶対に有り得ないことなんだ。もっと遅い時間帯までアニメに浸るなんて日常茶飯事だったし、夜更かしも当たり前。だけれど、今日は早めに横になった方が良いんだろうな……うん、これはきっとREONAが睡眠時間が短い俺に向けたメッセージなのかもしれない。


『早く寝なさいよ!バカ!早く寝なさいよ!バカ!早く寝なさいよ!バカ!』


 たまたま付けたイヤホンから流れたきたREONAボイス。あー……イイ!この声がたまらん!ずっと聴いていたいところだったけれど、今日のところは無理にでも体をベッドに潜り込ませた。寝るのはだいぶ早い。でも、嫌でも眠らなければ……明日だってリモートワークって言われているけれど、最低限の仕事はしなくちゃいけないんだ。でも明日はリモートで出来るような仕事はすぐには入って来ない……はず。

 そう自分に言い聞かせていると意外にも睡眠というものが急に襲い掛かってきた。こんな時間に睡眠が襲ってくるなんて珍しいな。もしかして俺の心って、そこまで疲弊していたのか?それとも体の方が睡眠を求めていたんだろうか?いずれにしても、睡眠の方からやってきてくれたのであれば、それに素直に応えることにした。


 でも、出来ればREONAが……REONAの姿は見たことがないので、REONAが担当したアニメキャラクターの一人や二人でも夢に出てきてくれないものかと強く強く願いながら真っ暗にした部屋の中で静かに眠りに就いた。


『みなさーん!今日は、ライブに来てくれてどうもありがとうーっ!!!』

『今日は、みなさんにサプライズプレゼントがありまーっす!!』

『みんなが待ちに待った、REONAちゃんが来てくれていますよーっ!!』

『じゃあ、みんなでREONAのことを呼んであげてくれーっ!!』

『せーのっ!!!』


『『『REONAーっ!!!』』』


『初めまして、みなさん!声優のREONAです!今日のライブでは、私の初お披露目になりました!私を見てガッカリした人、もしかしたら多いかもしれませんね。秘密にしていて、ごめんなさい!でも、これからは私、REONAの情報を少しずつでも公開していきますので!引き続き、応援よろしくお願いします!!』


『REONAーっ!!可愛いーっ!!!全然ガッカリしてないぞーっ!!』

『REONA!REONA!!応援してるーっ!!』

『REONAーっ!愛しているぞーっ!!!』


 すげー、盛り上がっているライブ会場。

 そして、とうとう姿を現したREONA。……だが、俺の位置からはREONAの顔をはっきりと目にすることができない!くそっ、席がいけないのか!?もっと、もっと前に!後で怒られたっていい!せめて、せめてREONAの顔を少しでも目に焼き付けておきたい!!

 席をちゃんと守ってください!と警備員に注意を食らいながらも、やっとのことで前の方へとやってきた俺。そして、REONAの顔を、その姿を目にすることがついに出来た!その姿は……。


 ピピピピッ ピピピピッ


「…………夢、か……」


 なんと、やっとその顔を目にすることができたと思ったのに、スマホのアラームによって起こされてしまったものだから気分は最悪。声の感じ的には、やっぱり若そうな女の子っていうのだけは覚えている。が、苦労して前へと移動したというのに、REONAのご尊顔をまったく目に入れることができなかった……いや、この場合、目には入ったのかもしれないが、夢から醒めたことによって忘れてしまったと言った方が正しいのかもしれない。くそっ、同じ夢っていうのはどれだけ頑張っても見られるものじゃないからなあ。出来れば、REONAの顔をきちんと確認したところで起こしてもらいたかったぜ。


『朝よ!おはよう!朝よ!おはよう!朝よ!おはよう!』


 しばらくの間は、イヤホン無しでも良いか。

 スマホから音声を流して、REONAの声に俺も『おはよう』と応える。あ、ドン引きしたか?別にこれぐらい普通だから!二次元愛、REONA愛の俺を馬鹿にするなよ!?


 着替えている間も(いつもならスーツだが、今日はラフな格好だ)スマホからはREONAの様々なボイスが流れて耳に届いてくる。うんうん、これはあのアニメのときのボイスだな~とかっていちいち覚えている俺は、相当……妹から言わせると重症なのかもしれない。でも、良いじゃないか!これぞ愛があるからだ!

 あと少しだったのにねぇ……夢って、残念なところで醒めちゃうものねぇ……がんば!


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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