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第十五話 鬱な俺が……リアコだと?

 急遽、ハゲ上司からの連絡が入り、明日からしばらくの間はリモートワークをしてくれと頼まれた。

 まあ、別に良いけれど……ふへへ、それに空いた時間は自分の部屋でREONAグッズに浸れるんだもんな!

 どうやら妹の学校もしばらく休校になるらしいから昼間は同じく家にいるらしい。

「あ。シュークリームもおまけで貰ったものだから傷まないうちに食べてくれ」


 そうそう、俺がスイーツ店で購入してきたものはアップルパイだけだが、おまけとしてシュークリームも貰ったんだった。今日は、さすがにこれ以上胃に詰め込むのは難しいだろうから、明日のおやつにでも貰うことにしよう。店員のお姉さん的には趣味で作っていたような口ぶりではあったもののシュークリームも絶品らしいから今から食べるのが楽しみでしょうがない!


 会社は、しばらくの間はリモートワーク。それに、朝おこなっていた朝礼というものもわざわざおこなう予定も無いらしい。ってことは、多少は寝坊ができる!?感染は大変な事態になっているが、リモートワークってかなり良いものなのかもしれないな!ただ、営業マンがリモートワークって対応できるかどうかが未だに不安だけれど……。まったく、ハゲ上司もデスクワーク組ながらリモートワークで問題無いことでも、営業まわりであちこち出回っている営業マンたちはリモートワークで無事に仕事を進めていくことができるのだろうか?不安でしかないな……鬱になる。


「……症状は、咳……喉、大切にしないと……」


 何やらぶつぶつと呟いている妹の近くに座ると不安そうにスマホを握りしめているようだ。感染はそれはそれは恐ろしいものかもしれないが、きちんと予防をしておれば今のところは大丈夫だろうと思っている。飛沫感染で簡単に感染するとは言われているが、マスクもあるし、消毒液もあるからな。


「喉?コンビニに行くから飴でも買ってきてやろうか?」


「え?あ、うん……えっと、お願い……」


 ちょっと不安そうにスマホの画面を見ては、俯いている麗奈の様子をみると、お兄ちゃんである俺は何か少しでも力になってやりたいと考えてしまう。まあ、コンビニには最初から出掛けるつもりだったし。自宅で仕事をする上で、ちょっとつまめるモノの一つや二つぐらいあっても良いかなと思っていたからちょうど良い。麗奈はやけに喉を気にしている様子だから、のど飴系が良いんだろうか?コンビニにうがい薬とかって売ってたっけ?それもあれば、買ってきてやるとするか。


「俺、ちょっとコンビニ行ってくる!すぐ、そこの!すぐに帰るから!」


 もちろんマスクは着用して。

 何かあってからでは遅いしな。いつどこから感染してしまうか分からなくなってきてしまったし、そのウイルスを家庭に持ち込むわけにもいかないからきちんと家を出る前には消毒をするし、家に帰ってからも消毒ができるように小さなスプレータイプのモノをスーツの中に入れて常備するようにした。


 外に出ると、少しばかり涼しくなってきた風に、ふぅと息を吐く。これでマスクが無ければとても気持ち良いのかもしれないが、俺だってわけの分からない感染には罹りたくはない。近場のコンビニには、ものの数分で着いてしまった。まずは、飴。喉に良いとされている飴ならば複数のメーカーの物を次々に選びかごに入れていく。そして、うがい薬のようなものが無いかと探してみたが、それは無いみたいだ。もしくは在庫が切れたか?お、ここにはまだマスクの在庫があるらしい。取り敢えず、品棚にあるだけのマスクをかごに入れていった。うん、これだけあればしばらくの間は大丈夫だろう。

 食べるものも食べたし、スイーツも食べたものだから食べ物は特に買う必要が無い。買うとすれば、菓子の類だろうか……。あとはインスタントの飲料の粉類。簡単につまむことができる菓子をいくつかと、インスタントのコーヒーの粉を買い占めてお支払いへ。

 まあ働いているから大した金額にはなっていない。飲み会に駆り出されればこれ以上に金がかかるってもんだ。それに可愛い妹のためにも必要なものが買えて良かったと思う。レジに向かう前には、喉にも優しそうな温かい飲み物のインスタントの粉をいくつか見つけたのでそれもかごに突っ込んでいった。


 小さなビニール袋に詰めても、中身が中身だけに大して重くはない。アイスでも買った方が良かっただろうか?こう、コンビニに来るとコンビニのアイスだったり、肉まん系統がどうしても目に付いてしまって買いたくなってしまう気分になるが、必要最低限のものだけ買えれば良い。無駄金は消費するわけにはいかないからな。今月末にはREONAが出演する予定のライブも待っていることだし、なるべくお金は貯めておきたい。


「……ただいまー」


 もちろん自宅の中に入る前には体のあちこちに消毒スプレーを拭きかけて消毒をしていった。マスクも使ったものはそこら辺に置くことはなく、すぐにゴミ箱に捨てる。マスクは使い捨てのように使うことになるようだが、コンビニでだいぶ補充することができたし、しばらくはドラッグストアなどにおいて新たに買う必要は無さそうだ。

 リビングに行くとまだ自室には向かわず、リビングでニュースを目にしながら、スマホを操作している妹。父と母はテレビを観ながらお茶を飲んでまったりとしていた。

 あまり家族が近くにいるときにスマホをイジっている姿っていうのは見せたことがなかったから今日の麗奈はちょっと珍しい。本当に緊急の連絡か何かでも入って、バタバタしているのだろうか。


「ほら、麗奈。飴と喉に良さそうなお湯で溶かして飲むヤツ。レモンとか生姜湯とか大丈夫だったよな?飴もいろいろあったんだけれど、なるべくのど飴系統のヤツを多めに買い込んできたつもりだから」


「え、こんなに?あ、ありがと……」


 テーブルの上にあれこれと並べていく商品に麗奈は目を丸くしながらも素直にお礼を言ってくれた。そうそう、こういう素直なところもあるから妹のことは嫌いにはなれない。だが……俺がREONA愛を語るときだけはやけに『キモイキモイ』って言ってくるんだよなあ……お兄ちゃんは寂しいぞ!


「麗奈もREONAのこと知らないわけじゃないんだよな?……俺ってそんなにキモイか?」


 ここぞとばかりに兄と妹で話してみることにした。近くには両親がいたが、兄と妹の会話は静かに見守ってくれる様子らしい。


「だって……兄貴って、普通のファンにしては行き過ぎてるところがあるじゃん。アニメキャラクターの誕生日とかも覚えているし、しょっちゅうREONAが担当したキャラクターたちのボイスも聴いているんでしょ?それ……ただのファンじゃないじゃん。……そういうの、リアコって言うんじゃない?」


「リアコ?」


「……だから、マジで声優とかキャラクターたちに恋しちゃってるような人たちのこと。まさに、兄貴ってそれに当てはまる気がするんだよね。別に、趣味ぐらいならスルーできるけれどさ……リアコって……有り得なくない?」


「え、なんでだ?好きな人の活動を応援したいとか、お祝いしたい気持ちってオタクなら誰もが持っているもんだろう?」


 俺の言葉を聞くと大きな溜め息を吐いてしまった麗奈。俺、そんなに変なことでも言ったんだろうか。


「世のオタクがどうとかは分からないけれどさ、リアコになると……ファンって感じじゃないじゃん。行き過ぎ。ホントに、そのREONAって子に恋してるみたいに聞こえるんだもん。声優のファンだとか、キャラクターが好きとかってレベルって感じじゃないみたい」


「おう!REONAのこと愛してるぜ!今日アップルパイ買ってきたろ?それだって、REONAがSNSでライブ出演を発信したせいでもあるからな!」


「……それ、本当に行くの?」


「当たり前だろ!それに今まで顔も非公開だったREONAがいよいよライブで初お披露目されるんだぜ!?行かないわけがないだろう!」


「……でも、今ちょっと世間って危ないじゃん。ライブだってもしかしたら中止になっちゃうかもしれないんだよ?」


「え、マジか!」


 あー、確かにライブともなれば多くの人たちが同じ空間に集まる。マスクとかは絶対に着用することになるかもしれないけれど、大声とかは出せなくなったりするのかもしれない。REONAに愛を伝えたくてもできないかもしれないんだよな……それは、寂しいかもしれない。

 たまたまコンビニに用事があったから、ついでに妹が喉を気にしていたようだったから喉に良さそうなものも買い占めてやった。


 が、妹が言うには俺は『リアコ』らしい。え、男でもそんあふうに言ったりするのか?なんか、俺は、いろいろ行き過ぎらしい……が、それも愛があるからだ!


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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