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第十四話 ハゲ上司からの連絡は鬱に陥ります

 REONAがとうとうライブに!

 この俺の目に入れられることができる!

 ライブ最高だな!おい!

 が、ちょっと心配なことが……

「リモートワーク……ですか?」


 それは、母親の作ってくれた夕食をたいらげ、そして俺が買ってきたアップルパイを家族みんなで食べてまったりと過ごしていたときだった。こんな時間だというのに、会社からの電話が入った。『もしもし』と出てみれば、電話の相手はハゲ上司!ハゲ上司ィィィ!!今は、プライベートな時間になってるんだよ!!今更、電話なんかしてくるんじゃねぇぇぇ!!!と心の中で怒鳴り声を上げていたのだが、この時間に連絡を入れてくるなんて珍しい。まさか、仕事で何かあったとか!?と思った俺は、ヒヤヒヤしつつ、せっかく美味しいアップルパイを食べたというのに、心は鬱が起こりかけていた。……いや、ハゲ上司の顔を見るのも嫌だが、その声を聞くのも嫌なんだよ。なんつーか、ネチネチしているって言うのか?ねちょねちょ?……いや、説明するために考えているだけで、なんか気持ち悪くなってきた……。とにかく、ずっと聞いていたいとは思えない声!単刀直入に、要件だけ伝えて欲しい!と考えながら通話に出ると、なんと明日からしばらくの間、会社に出勤してこなくても良い!と言われるではないか。……もしかして、クビか?俺、クビなのか!?そんなヘマをやらかした記憶は無いのだが……とハゲ上司からの話を聞いていると……。


「明日からは、リモートワーク……ですか?」


『あぁ、感染の話があがり。我々の仕事上どうしてもいろいろと出歩くこともあるだろう?そのため、営業の挨拶まわりも最低限にするように上から知らせが届いたんだ。つまり、営業である黒瀬くんもいつものように営業まわりをするのではなく、なるべく自宅にいながら仕事をおこなってほしい!営業してきた顔ぶれの中には、早くも咳き込んでいる連中もいるらしいじゃないか!キミは!?黒瀬くんは大丈夫なのかね!?と、とにかくキミは自宅にもパソコンがあるらしいじゃないか。そこで営業先とはリモートとやらでやり取りすることはできないかね!?』


 凄い……うん、凄いとしか言いようのないハゲ上司からの説明。いったい、いつ呼吸をしたんだ?と、こっちが心配してしまうほどに一気に言葉をつげてきたものだから一瞬反応が止まってしまった。


「あ、あぁ、はい。俺は今のところは平気ですけれど……。あ、もちろん自宅にもパソコンはあります。でも、リモートワークって……するならするで構わないんですが、それは営業先ともきちんとやり取りができるようになっているんですよね?」


 確かに、俺の部屋にはパソコンがある。もちろんネット環境も完備だ!それを使って作業をすることには大賛成ではあるものの、いくらこちら側がリモートが可能としていたって営業先……つまり、薬局だったり、病院だったり、といったところもリモート対応できているのだろうか?もし、できていないならこっちがいくら準備していたとしても無駄になってしまう。

 でも、感染か……そう言えばさっき見ていたテレビの中でもニュースで、『感染が広まる前に、マスク予防と消毒をおこなってください。感染力はとても強いものとなっています。大人も感染し、重い症状ともなれば肺炎にまでいたると言われています。どうか、皆さん、感染予防にご協力ください』といった内容が流れていたよな……。営業まわりが多い俺は、そのニュースを真剣に見ていたのだが、不意に視界に飛び込んできた妹の麗奈れなも今までに見たことがないくらいに真剣な様子でニュースを見聞きしていた。学校が休校にでもなることを心配しているんだろうか……。


『大きい病院とは既に連絡を取っている!ネット環境を上手く使うことでリモート会議ができると言われているじゃないか。それを使ってくれ!薬局もパソコンやネット環境は入っているだろうし、これからはどんどんリモートで仕事ができるよう手配をしてくれている!だが、少しでも体調に異変があるようならすぐにでも医療機関で検査を受けてくれ!』


 もしかしてハゲ上司、めちゃくちゃ焦ってるのか?いつもなら、厭味ったらしくあれこれ言ってくるハゲ上司だが、今聞いている話し方はそんないつもの調子とは全然違う。早口だし、時々噛んでいるのか言葉がはっきりしていないこともあるし……感染とかもろもろよりも、このハゲ上司が大丈夫か?ついつい、心配しなくても良い人を心配するハメになってしまったじゃないか!


「わ、分かりました。……では、連絡が来るまではリモートで。また会社に行っても良さそうになったら会社から一斉メールで構わないので連絡をください。じゃあ、失礼します」


 ふぅ、やーっと終わったぜ。

 それにしても……規模が大きい事態になりそうだな。ウイルス性の咳、か……。


 電話を終えて再びソファーに座ると、スマホを一生懸命に操作している麗奈の姿があった。友達との連絡だろうか?友達との連絡……にしては、顔が真剣過ぎないか?何か真剣な話し合いにでも発展したのだろうか……学校での友達付き合いってなかなかに難しかったりするもんなあ。うんうん、そういう青春は今のうちにやれるだけやっておいが方が良いぞ!


「あら、和馬。会社からの連絡?どうしたの?」


「明日からはしばらく会社には来るな、だって。自宅でパソコンとネットを使って仕事してくれってさ」


 だが、そのリモートワーク……営業マンにも可能なのだろうか?顔なじみになってきている営業先なら失礼にはあたらないかもしれないけれど、初めての取引先ともなればやっぱり直接顔を合わせて営業をした方が良いんじゃないだろうか。……まあ、ハゲ上司が来るなって言うんだから、行かないけどさー。

 あ、待てよ。これからしばらく自宅で仕事……つまり、空き時間は……したいことができまくるんじゃないか!?それって……俺的にはめちゃくちゃ良い時間を満喫することができるのでは!?……あ、もちろん今も苦しんでいる患者がいれば心配はするけれど……うんうん。でも時間の有効活用ってこういうときにしないでいつするんだ!?今だよな!空いた時間は、REONA出演作品のアニメ観放題!?いつもなら夜ぐらいにしか自由になる時間が無いものだからどうしても睡眠時間を削ってアニメなどを堪能していたのだが、空いた時間はREONAに浸れる!REONAの声に埋もれることができる!……あ、声に埋もれるって分からないか?とにかく、REONAのボイスを聴きまくるんだよ!アニメ片っ端から観る。それも良いかもしれないが、下手するとREONAがまったく出演されない回ってのもアニメにはあったりするもんだ。でも、一回アニメを見逃してしまうと内容が分からなくなってしまう……ので、結局アニメは一通り観なくちゃいけない。時間がかかる!声に埋もれるっていうのは、俺が独自に作成したREONAボイスだけを流しまくるってこと!REONAへの愛があるからこそ出来る技術と言ってくれ!


「はは……マジか。REONAに浸れる、一日中ずっと……へへ」


 気持ちの悪い笑い方をするな、だと!?人間誰にだって変わった笑い方をしているときはあるものなんだよ!俺だけじゃない!決して!そんな笑い方をバッチリ聞いていたらしい妹からの視線が痛い。……いや、そんな目で見なくたって良いだろうが!


「……だから、キモイって。そろそろ声優の追っかけやめれば?」


「ばっか!REONA愛の俺だぞ!?REONAが死んでも……いや、死んだとしても俺のREONAへの愛は永久に不滅なんだよ!」


 家族からすれば『まーた、はじまった』的な視線をバシバシと俺に向けることになる。が、REONAは本当に良い!なんだったら自宅で仕事をする間に、お勧めのアニメを紹介してやったって良い!

 お、なんだ?麗奈も学校から休校連絡でも入ったのか、しばらくは自宅にいるらしい。俺と同じじゃん!

 キモイキモイ言わないであげて?妹ちゃん!あなたのお兄ちゃんでしょうがぁぁぁ!!!

 それに、一途なお兄ちゃんなんだからもうちょっと……ね?だから、キモイは、やめて!?


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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