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第十二話 新たな店のお姉さんは鬱な心を癒してくれた

 よし!

 今月末の声優ライブがめちゃくちゃ楽しみだ!

 くぅ~っ!!こういうことがあるからREONAへの愛は尽きない!

 なにげにREONAってSNSで発信していることも多いしな!

 退社時間になれば、俺は一目散に会社を飛び出した。もちろん、退社するために社員証を機器に読み取らせることは忘れていない!そして、今日は何にしようか……へへ!と心の中で笑いながら、じゃっかん顔も緩んでいただろうか。しかし!今はマスクを着用しているから、多少顔が緩んでいたとしても周りから変な目で見られるという心配も無い!あ、これ良いな。マスク!気分が良いときにはマスク着用!うん、これからも続けていこう!(マスクは昼の速報にもあったように子どもに流行している咳がウイルス性で飛沫感染で簡単に周りに感染の危険があるからその予防としてマスクを用意したのだが……)


 さて、こういう素晴らしい日には……やっぱりケーキだな!甘いモノは、心身に良い!鬱になった心にも良い!!

 俺は、REONA関連で嬉しいSNSの情報が流れてくるとケーキを買うようになった。そのたびに家族からは不思議そうな顔をされているが、『いつもお世話になっているし……』とかって適当なことを言えば家族だって今のところ分かってくれている。それに家族だってケーキが嫌いってわけじゃないから、結局はみんなで美味しく食べるから、ケーキの一つや二つ買って帰っても良いと思う!

 REONAを知るようになってからケーキ・スイーツを取り扱う店にも頻繁に顔を出すようになった、俺。そのため、頻繁に通うようになった店からはすっかり俺の顔を覚えられるようになってきてしまった。『今日はお祝いですか?』と聞かれると少々気まずいことこの上無いのだけれど、『家族みんなで過ごすいい機会ですから』とでも言っておけば特に問題は無い。まあ、ケーキ屋だって売り上げが出れば良い!こっちは美味しいケーキが食べられる!両者にとってメリットが生まれるんだから、最高じゃないか!

 だが、ここら辺のケーキ・スイーツを取り扱っている店はほとんど足を運んだんだよなあ。新たにオープンしているような店は無いだろうか……。スマホで、近所にあるスイーツ店、とでも検索をかければ地図アプリにはぽつぽつとあらわれるお店たち。うん、ここはこの前行ったばかりだし、こっちはその前に行ったはずだ……。って、俺ってスイーツ好きに見られたりしているんだろうか?い、いいだろ!別に!男だって甘いモノが好きなヤツはごまんといるんだ!女性はどう思うか分からないけれど、男もスイーツ好きなら、ちょっと一緒に出掛けるときにシャレオツなスイーツ店に一緒に行くことができるじゃないか!……まあ、俺にはそんな異性の知り合いは……いないけれど。は、彼女!?ばーか、俺は一に仕事!二に仕事!の人間だ!だってREONAが担当したキャラクターグッズを買うために仕事をして金を稼いでいるんだからな!……だから、こんなヤツに……ジョーカノなんて存在がいるわけねえだろ!ふん!別にいなくて困ったことなんて無いしな。むしろこの世の中からREONAがいなくなってしまうことの方が大事になる!もしもREONAがいなくなったら?声優界から引退……となってしまったら?……どうなるんだろうな、俺……。

 っと、そうだそうだ。スイーツ店。

 あー……ここは、あんまり行ったことが無い地域か?おすすめスイーツは……アップルパイか!いいな、美味そうじゃないか!よし、今日のお祝いはアップルパイだ!


 その店は駅に行くまでに立ち寄れる場所にあった。

 こじんまりとしてはいるもののアップルパイが非常に評価が高い店として有名らしい。ちなみに俺は、この店をおとずれるのは初めてだった。店は……あぁ、ここここ。店も、まだ……やってるよな、よし。


「こ、こんにちはー……」


 ついついお店をおとずれると挨拶をしてしまうのは、営業マンだからだろうか。どうしても一声出して、店員さんにお客が来ましたよーっていう合図のようなものを出したくなってしまう。もちろん店に入った時点でチリンチリンと鈴の音が鳴っていたから店員にはお客が来たことは気付いただろう。


「いらっしゃいませー!」


 お。若そうな店員のお姉さんだ。まだ二十代前半……いや、下手したら二十歳になっているかどうかも怪しく見えてしまうぐらいの若さっぽいな。長い髪をポニーテールにして結い上げ、清潔そうなエプロンを付けている。奥でスイーツでも作っていたのだろうか?


「えっと……こちらのアップルパイが美味しいって聞いたんですけれど……」


「はい!みなさん美味しいって言って食べてくださっていますよ。アップルパイはホールのモノ、一つ一つカットされているものがあります」


 ショーケースを覗いてみるとアップルパイだけでなく、この店員のお姉さんに合っているかのようにオシャレなケーキの類もいくつか並んでいた。シンプルなショートケーキから、チョコレートのツヤツヤ感が美味しそうなチョコレートケーキ、シュークリームも置いている。今日はアップルパイ一択でおとずれたが、他にも美味しそうなケーキが多そうじゃないか。今度は違うケーキをチョイスしてみることにしてみよう!


「じゃあ、ホールを一つお願いします!」


「はい!かしこまりました。……お祝いのラッピングなどはどうなさいますか?」


「あ、いえいえ!家族みんなで食べるので、そういうのは大丈夫ですよ」


 う~ん、ケーキ……特にホール系を購入すると当然のごとく、お祝い用にいろいろ(蝋燭とかラッピングとか)付けるかどうか聞かれるのはどうかと……いや、店側だってそういうルールがあるのは分かっている!分かっているんだけれど、毎度毎度聞かれるのもなあ……まあ、この店には初めて来るわけだし、会社帰りのサラリーマンの俺が買って帰るのならばお祝いか何かだと思われるのかもしれない。


「あ、ちなみにお客さんってご家族は何名ですか?」


「え、俺を入れて四人ですけれど……」


「間違えていたらごめんなさい。こちらに来られるのは初めて……ですよね?こちら、おまけにしておくので、良ければ召し上がってください」


 そう言いながらアップルパイとは別の包みに入れてくれたのはシュークリームだった。しかも、四つ!


「え!?あの……」


「時間的に、あと数時間もすればお店を閉じちゃうので。……余りモノで申し訳ないのですが、良ければ……どうぞ」


「は、はい。ありがとうございます。えーっと、お金お金……」


「あ、もちろんアップルパイだけのお支払いで構いませんからね!あの、き、気持ちです!シュークリームは私の趣味で作っているようなものなので……あ、でも一つ一つ丁寧に作っていますので!」


 ええ!?一つぐらいなら分かるが、四つも貰う上にタダで良いのか!?


「え、いや、それはさすがに……」


「ほ、ホントに!今回は、初めてご来店していただいたお礼ってことにしておいてください!」


「は、はぁ……そこまで仰るのなら……有難くいただきます」


 そう言うとようやく納得してくれたらしい店員のお姉さんは今にも鼻歌でも歌いだしそうなほどに上機嫌で丁寧に包装してくれた。


「はい、お待たせしました!是非、ご家族のみなさんと楽しく美味しく召し上がってくださいね」


 『またのご来店を!』と俺が店を出てもしばらくの間、手を振って見送り続けてくれた店員のお姉さん。……凄い、気配り上手な人なんだなあ……。

 スイーツ店探しって楽しいものですよ!いつも通っているお店に通い続けるのも良いのですが、新たな所に行ってみるのも良いものです!


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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