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80話 模擬戦、開幕!

優梨達は控室から移動して、入場口付近でスタンバイしていた。


「いよいよだね…アリスちゃん…」


「まだ緊張してる?」


「うっうん…」


「じゃあ…」


アリスは優梨の頬にキスをした。


「今のって?」


「緊張が消えるおまじないって所かな。」


「ありがとう…お礼に私も…」


今度は優梨がアリスの頬にキスをした。


「ありがとう。」


「うっうん…」


(ラブラブですね。)


(あっ…そういえばメアちゃんが見てるんだったね…?)


(今の状態の優梨さんなら、スキルを存分に発揮出来るはずです。模擬戦頑張ってくださいね。)


(頑張るね…)


《さ〜て会場の皆さん!大変、長らくお待たせ致しました!それでは始まります!冒険者ギルド主催、見なきゃ絶対に後悔する!今世紀最高のイベントと言っても過言じゃない!模擬戦の開幕です〜!!》


«ワァァ!!»


バトルフィールドの中央に立って、マイクを持った司会進行のお姉さんが開幕を宣言した!


「みんな本当に楽しみなんだな?」


「そりゃそうよ。」


「滅多にこんな大きなイベントやらないからね。」


「私が司会したかったな…」


《なお、模擬戦の模様は各、エリアに設置してある撮影機を通じて王都中に中継されます!なので会場の皆さん!視聴者の方々にも熱気が伝わるようにさらに盛大に盛り上がってくださいね!いいですか〜!》


«ワァァ!!»


《それでは参りましょう!白コーナー!皆さん、ご存知のはず、大活躍中のあの二人組!まだどちらも13歳という若さなのに王都ギルド直属でAランク冒険者!数々の偉業を成し遂げて、そして何より可愛い!最強双子姉妹リンとロン!どうぞ、入場してきてくださ〜い!》


すると演奏が始まって、それに合わせてリンとロンが入場した。


「きゃー!!」

「リンちゃんー!!ロンちゃんー!!」

「二人とも可愛いー!!」

「応援してるよー!!」


「ありがとう!みんな!」


バトルステージに着くまでリンは観客達の声援に笑顔で手を振って応えていた。


「いつも思うんだけど…姉さんってファンの前だとキャラが変わるよね…?」

 

「だって応援してくれるファンの前では可愛くしなきゃでしょ?私達はアイドルみたいなもんなんだから。」


リンはきゃぴ!と可愛い仕草をした。


「違うでしょうが…」


《では続いて赤コーナー!つい最近、魔族を倒したと噂の新人冒険者の二人組!強さは未知数!見た目がそっくりだがこちらは双子でも姉妹でもない!地元リーベルの町の期待を一身に背負う、ソノサキユリとアリス!どうぞ入場してきてくださ〜い!》


「呼ばれたよ!」


「うっうん!」


優梨達は手を繋ぎながら入場した。


『町を救ってくれてありがとうー!』

『応援してるわよー!』


「私達も応援されてるみたいだね。」


「ちょっと照れるよね。」


観客達の声援に手を振りながら、どこか慣れない感じで応えていると。


«ユリ!!アリス!!»


「あれって!」


戦いが近くで見れる特別席にクマ子達が居て、声援を送っていた!


「ちゃんと見ててやるからな、しっかりやれよ!」


「そうよ!皆で応援するからね!」


「二人とも頑張って!」


「嬉しい。あんなに近くで応援してくれるなんて。」


「本当だね。」


優梨はクマ子達が近くで応援してくれてることを知り緊張がほぐれたのか、顔をつきが変わった。


「あなた達が対戦相手のソノサキユリちゃんとアリスちゃんね。」


「そっそうです!!アタシ、アリスって言います!!前々からお二人に憧れてて、今日、会えるのを楽しみにしてました!!」


「それはどうも。」


「そっか、ありがとうね!」


素っ気ない態度のロンとは逆にリンは笑顔でアリスの手を握った。


「はわわぁぁ♡リンちゃんがアタシの手を握って♡」


「アリスちゃん〜?」


優梨はジト〜と嫉妬の目で見つめた。


「ごっごめん。つい。」


「面白い子。じゃあ、あなたがソノサキユリちゃんかな?」


「そっそうだけど…?」


「へえ、あなたが?」


リンが顔を近づけた。


「なっ何かな…?」


「ううん。何でもないよ、気にしないで。」


「そう…?」

(確かに近くで見たらすごく可愛かった…まるでアイドルみたい…)


(第一印象では然程強そうには思えないな、というか弱そう、ロンの考えすぎだなこりゃ。)


《両者がステージに揃ったところで、模擬戦を始める前に王都冒険者ギルドのゼウス本部長から挨拶がございます!会場の皆さん、上のモニターをご覧ください!》


すると会場に設置された大型モニターにゼウス本部長の姿が映し出された。


『ホッホッホッ。ワシはあまり長話は得意じゃない。なので手短に言おう。会場の皆、テレビをご覧の方々、これからの将来が期待される若者同士の模擬戦を見て存分に楽しんでくだされ。両チームとも期待しておるぞ。』


«はい!»


『ホッホッホッ。よい返事じゃのう。ワシからは以上じゃ。』


会場中に拍手が起った。


《ゼウス本部長、ありがとうございました!では続いて今回の模擬戦のルールを説明したいと思います!》


「模擬戦のルール…?」


「なんだろうね?」


《ルールは簡単です!一対一の勝ち残り戦で、相手全員を戦闘不能にするか、降参させた方が勝者となります!》


「だって姉さん?」


「相手に降参させるか、戦闘不能にしたらね?」


《ルール説明も終わったところで!さっそく初戦の組み合わせを決めさせてもらいたいと思います!》


司会進行のお姉さんはボックスから紙を一枚引いた!


《初戦はリン対アリス!!》


会場が一気に盛り上がった!


《名前を呼ばれたお二方以外はバトルフィールドから出てください!》


「アリスちゃん、頑張ってね…?」


「うん!まぁでも、相手はあのリンちゃんだし、簡単に倒されるとは思うけどね。」


「ロン〜?激励とかないの〜?」


「油断して負けたら怒るから。」


「はーい。」


優梨とロンはそれぞれバトルフィールドから降りた。


「あなたと戦えるなんて夢見たいです!」


「そんな可愛い子にはハグしちゃう。」


「えっ!?」


リンはアリスに抱きついた!


《なんと麗しい光景でしょうか!戦闘を前に熱く抱擁をしています!》


会場がさらに盛り上がった!


「あのすごく嬉しいんですが!アタシの大事な人が怒るのでハグは!」


「言いたいことがあるんだ。」


「何ですか?」


リンはアリスの耳元で囁いた。


『おまえみたいな雑魚、すぐに片付けてあげるから。』


「えっ…?」


「皆さん、お待たせ!」


《よろしいみたいですね!それでは模擬戦を開始したいと思います!READY、GO〜!!》


『ウォーター・ショット。』

 

「ガハァッ!」


「アリスちゃん!!」


模擬戦が開始された途端、リンは手を鉄砲の形にすると、容赦なく弾丸のような水の攻撃を放って、アリスの腹部にヒットさせた!


《初戦、先手はリン選手〜!》

 

「くっ…なんて重い攻撃なの…」


「弱、この程度の攻撃も防げないんだ?どうやら思った通りの雑魚みたいだね?」


「リンちゃん…?」


「怖かったから、降参してもいいんだよ?」


「アタシはまだやれます…」


「仕方ない、じゃあ、完膚なきまで叩きのめすしかないみたいだね。」


「次が来るよ!!」


「ウォーター・ショット。」


「くっ!!」

 

「アリスちゃん!!」


ついに始まった模擬戦の初戦!果たしてアリスの運命はいかに!



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