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77話 クマ子の選んだ道。

優梨とアリスが仲直りしたその日の夜、眠りにつくまで二人は布団に包まって話すことにした。


「それにしても驚いたよ。まさかクマ子ちゃんから

 あんな報告されるとは思わってなかったな。」


「そうだね。私も驚いたよ。」


クマ子から伝えられたこと。


『オラ、今日からミーナのことミーナママって呼ぶぞ。』


«えっ?»


『ミーナママ?』


『それってつまりどういう意味?』


『クマ子ちゃんは私の養女になって「娘」になるってことよ。』


『ということはクマ子ちゃんの母親になるってことですか…?』


『ええ。そうよ。』


『お姉ちゃんがクマ子ちゃんのお母さんに…』


『オラが娘になるの許してくれるか…?アリス…?』


『いいに決まってるよ!!』


アリスは大いに喜んでクマ子を抱きしめた。


『よかったわね。クマ子ちゃん。』


『ありがとう…』


『でもソフィーちゃんはこの事まだ知らないんじゃ?』


『心配ないわ。今日、偶然にもソフィーちゃんと二人で話してたのよ。クマ子ちゃんが可愛いから妹じゃなくて娘にしたいよねって。だから今の話をすぐに受け入れてくれるはずだわ。』


『そっか。』


『安心したね。』


『えっと、それでだな…おまえらに伝えたい事がもう一つあるんだ…』


『まだ何かあるの?』


『オラ、おまえらの旅について行かないことにしたんだ。』


«えっ!»


『勘違いするなよ、一緒に旅をしたくねぇわけじゃないんだ。』


『何か理由があるんだね?』


『この町とミーナママ達を守りたいんだよ。』


『それが理由なの?』


『オラを受け入れて娘にしてくれたミーナママ達や、魔物なのに優しくしてくれるミノリやこの町の人達も大好きになったんだ。だから守りたいんだよ。』


«クマ子ちゃん…»


『それにその方がアリスとユリだって、安心して旅に出れるべ…?』


『そこまで考えてくれてるんだね…』


『わがまま聞いてくれるか…?』


«いいに決まってるじゃない…»


涙を溢れさせながらも二人でクマ子の手を握って、賛成した。


『許してくれるのか…?』


『お姉ちゃんと町をお願いするね。』


『アリス…』


『ミーナさん達と幸せに暮らすんだよ。』


『優梨…二人とも、ありがとう…うぐっうぐっ…』


感謝を伝えるとクマ子も泣き出した。


『こんなに泣いちゃって…』


『本当の幼い子みたい…』


『おまえらも泣いてるくせに…』


『そうだね…』


『本当に私の自慢の娘と妹達だわ。』


ミーナは三人を温かい眼差しで見つめていた。


−そして場面が戻り、現在−


「二人で旅に出ることになるね。」


「もしかして不安…?」


「どうかな〜」


「悩まないでよ。」


「二人っきりだから、抑えきれないかもね…」


「何を?」


「こ・れ・だよ…」


アリスは優梨の顔に近づくとキスをしたのだった。


「ねっ…?抑えられなかったでしょ…?」


「アリスちゃん…」


「覚悟してね…?」


「はっはい…」


二人はしばらく見つめ合うと、どちらともなく再びキスをしたのだった。そしてそれを見ていたメアというと…


「いいな…私もいつかアイルちゃんと…」


ちょうどその頃、優梨達のいるリーベルの町から少し離れた場所にある都会『サウス』の豪華なホテルの前に例の"二人"をのせた馬車が到着していた。


「着きました。ロン様。リン様。」


「着いたみたいよ?姉さん、起きて?」


「ふわぁぁ…着いたの、ロン…?ここがリーベル…?」


「ここはサウスって街、リーベルって田舎の町だって聞いたけど?」


「なーんだ、田舎なの?つまらない。」


「つまらないじゃないわ。あくまで私達は旅行じゃなく仕事で行くんだから。」


「はいはい、そんなのわかってるってば?私達より3つもランクが低い奴と入ったばかりのド新人と模擬戦するんでしょう?なんで私達みたいな有名なAランク冒険者がそんな馬鹿みたいなことしなくちゃならないのか…理解に苦しむけど…ふわぁぁ…」


「仕方ないじゃない?副本部長からの直々の命令なんだから、サボったりしたら王都ギルドから追放されるかもしれないでしょう?」


「考えすぎじゃない?」


「姉さんは考えなさすぎるのよ…?」


「まぁ理由なんかどうでもいいや、さっさと倒して、王都に帰りましょうね。」


「相変わらず、姉さんは適当よね…?」


ロンとリンの双子姉妹は館に入って行った。


「模擬戦が終わったら、次、どこの魔族退治に行く?」


「ちょうどリーベルから近い街で魔族の城の目撃があるわ。ついでだから帰りに行ってみない?」


「ええ。それでいいわ。」



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