76話 クマ子はある決意をする。
「ただいまです…」
「あら。お帰りなさい?ユリちゃん一人で帰ってきたの?」
「はい…」
「アリスとクマ子ちゃんはまだ修行してるのかしら?」
「はい…」
「何かあったの?元気ないように見えるわよ?」
「何でも…ありません…」
「そう…?」
「部屋で休んでますね…」
「ええ…?晩御飯が出来たら呼ぶわね…?」
「わかりました…」
優梨は力なく喋ると、二階に上がって行った。
「アリス達と何かあったのかしら…」
部屋に戻ると、ベッドに倒れ込んで、枕に顔を埋めた。
(私、最低だ…嫉妬で自分勝手なこと言って…アリスちゃんを悲しませて…逃げてくるなんて…)
(優梨さん…)
(メアちゃんだって、そう思うよね…?)
(そんなことないですよ。)
(えっ…?)
(私にもその気持ちよくわかりますから。)
(気持ちがわかる…?)
(お忘れですか?私だって、以前はアイルちゃんと仲良くする人達に嫉妬してたんですよ。)
(そういえばそうだったね…)
(そんな私の心を理解してくれたのはユリさんじゃありませんか。)
(私…?)
(そうです。ユリさんと話して、心を覆ってたモヤが晴れて、救われたような気がしたんです。)
(心を覆ってたモヤが晴れる…)
(今は嫉妬で辛いかもしれない…でも優梨さんなら素直になれる時が必ず来るはずです…)
(メアちゃん…)
(一度や二度、お互いの想いがすれ違っただけで、あなたとアリスさんの愛は変わらないはずです。)
(そう…?アリスちゃん…私のこと嫌いになったりしないかな…?)
(ええ。アリスさんが帰ってきたら、素直に謝りましょう。きっと許してくれますから。)
(そうだね…そうする…)
(今はゆっくり寝てください。)
(ありがとう…)
優梨はメアの言葉に安心したのか眠りについた。
−それから一時間後−
(優梨さん!起きてください!)
(ふわぁぁ…どうしたの…?)
(アリスさん達が帰ってきたみたいですよ!)
(まっマジか!)
優梨は慌てて階段を降りた。
「ハァハァ…アリスちゃん!クマ子ちゃん!お帰り!」
「ただいま…?」
「ただいまだべ。」
「あっあのね、アリスちゃん…?さっきのことで…私…」
「ちょっと待ってくれ、オラからおまえに大事な話があるべ。」
「えっ?大事な話?」
「オラと付き合ってくれ、ユリ!」
「付き合う!?」
「まぁ。」
「今すぐ付き合って、オラの彼女になってもらいたいんだ!」
「そっそんなこと急に言われても…?」
「駄目なのか?」
「だっだって…アリスちゃんと結婚の約束してるし…」
「それはわかってるべ、この間の説教の時に聞いたからな?」
「じゃじゃあ…?」
「さっき喧嘩したべ?もうあれでアリスの事、嫌いになったんじゃないのか?」
「そっそんな…」
「やっぱり喧嘩してたのね。」
「あっはい…」
「どうなんだ?嫌いになったんじゃないのか?」
「嫌いになるわけないじゃない…私はアリスちゃんを大好きだから!」
「ユリちゃん…」
「まぁ。」
「ごめんね…アリスちゃん…嫉妬したのは私なのに、傷つけるような事言って…?」
「いいの…よく考えたら…ユリちゃんがそこまで好きになってくれてた事が嬉しいから…」
「アリスちゃん…」
「アタシこそごめん…でも信じて…?アタシもユリちゃんが一番、大好きだから…」
「ありがとう…」
優梨は涙を流して喜びながら、アリスを抱きしめた。
「それでオラの告白の返事は?」
「付き合うことは出来ない…」
「やっぱりだったか。まぁいいけどな。」
「えっ?」
「そもそも演技だったし。」
「演技…?」
「おまえがアリスを好きだったことを証明するために告白したんだ。」
「なっなっなんだ、そうだったんだね…?」
「クマ子ちゃんがアタシ達を仲直りさせるためにしてくれたんだよ…」
「アリスちゃんも知ってたんだ…?」
「うん…」
「それと今、決めたけどよ。オラ、おまえ達の恋を応援することにするべ。」
«えっ…?»
「クマ子ちゃん…?それでいいの…?」
「ああ。ふわぁぁ。疲れからか眠くなってきたな。
オラ、お風呂と晩御飯まで二階のソファーで寝てるぞ。」
「あっうん…?」
クマ子は二階に上がって行った。
「アリス。優梨ちゃん。私、2階に行ってくるわね。きっとクマ子ちゃん強がってると思うから。」
「お願いするね…」
「お願いできますか…?」
「ええ。」
少し時間を置いて、ミーナも二階に上がって行った。
「誰だべ…」
「私よ?」
「ミーナか…」
ソファーで寝っ転がるクマ子が振り向くと、クッションを持ちながら涙を流していた。
「やっぱり泣いてたのね。」
「泣いてちゃ駄目かよ…」
「泣いていいんだよ。ほら。私の胸においで。」
「オラはガキじゃ…」
「いいから。」
「じゃあ…」
クマ子は言われるがままにミーナの胸に抱きついた。
「ありがとうね。アリス達の恋を応援してくれて。」
「オラ偉いか…?」
「偉い。偉い。」
「本当にガキ扱いだな…?でも安心する…これって…ふわぁぁ…
「眠いんでしょう?」
「まぁな…」
「いいわよ。このまま眠りなさい。」
「ミーナ…聞いてくれるか…?」
「何かしら?」
「オラさ…お願いあるんだ…」
クマ子はミーナにある事をお願いした。
「あらまぁ。」
「駄目かな…?」
「いいに決まってるじゃない。」
「そっか…」
クマ子は伝え終えると、まるで本当の幼女のように眠りについた。
「スゥゥ…スゥゥ…」
「可愛い。これからアリスやユリちゃんの分まで愛してあげるからね。私の愛しい〇ちゃん。」




