75話 アリスの修行、優梨の嫉妬。(後編)
修行二日目。
「今日も同じ修行をやるのか?」
「必ずこの三日間で極めるって決めたから!昨日みたいにクマ子ちゃんに無茶をさせると思うけど、手伝ってくれるかな…?」
「まぁ、アリスがそうしたいなら、魔力と体力が続く限り協力してやるよ?」
「ありがとう!」
「ふぎゅ!」
アリスはクマ子を抱きしめた。
「ユリちゃんも昨日に続いて、協力してくれてありがとうね?」
「私は別に何も…」
「ユリちゃん…?」
「なっ何でもないよ。頑張ってね…?」
「うん…頑張るね…?」
(やっぱり距離を感じる…昨日の夜だって、一緒に寝たのに明日も早いし寝ようって、すぐに寝ちゃったし…もしかして、アタシのこと…)
「アリス、さっそくやるぞ!」
「あっうん、お願い!」
(今は考えてもわからないんだ、修行に集中しなくちゃ!)
優梨のことが気になりつつ、アリスは気合を入れて、新たな術を完成させるために修行を再開した。
「ベアベア・ムカムカ・クロー!!」
「そりゃぁ!!ぐっ!!きゃぁぁ!!」
だがいくらやっても攻撃を跳ね返すことが出来ず、休息を取るために、ミーナお手製のお弁当を食べることにした。
「モグモグッ。うめぇ。ミーナのご飯はいつ食べても最高だべ。」
「お姉ちゃんがそれ聞いたら喜ぶと思うよ。」
「ユリもそう思うよな?」
「あっうん。そうだね…美味しいよ…?」
「おいおい、その割にはそんなに食べてねぇな?食欲ないのか?」
「もしかして体調わるいとか?」
「そっそんなことないよ!ただ…」
「ただ…?」
「何でもない…気にしないで…?」
「何でもないはずないよ!」
「えっ…?」
「アリス…」
「ユリちゃん、この所、変だよ…なんだかアタシと距離を置いてる感じがする…」
「そっそんなことするわけないよ!」
「いいや、してるよ!アタシのこと…嫌いになっちゃった…?」
「なっ何でそうなるの…」
「じゃあどうして距離を置こうとするの…?」
「そんなつもりは…」
「アタシは大好きなユリちゃんのことをいつも考えてるんだよ…?なのに…そんな感じにされたら…アタシ…」
「そんなことないでしょ…」
「えっ…?」
「アリスちゃんは昨日から、リンとロンって双子姉妹のことばっかり考えてたじゃない…?憧れてるからいい所を見せたいってさ…」
「それは冒険者として憧れているだけで…」
「その二人のこと、可愛いとかも言ってたし…そういうの聞いてたら…なぜか胸が苦しくなって…」
「ユリちゃん…」
「今日は二人だけで修行してくれるかな…?私、先に帰ってるよ…」
「おっおい、待ってよ!」
クマ子の引き止める声に一切、振り向きもせず、優梨は先に帰って行った。
「あいつ…本当に帰りやがった…」
「アタシ…バカだ…」
「アリス?」
「ユリちゃんの気持ちも考えずに傷つけちゃった…」
アリスは涙を流した。
「考えすぎるなよ、少しすれ違っただけだべ?」
「うぐっうぐっ…嫌われちゃったかな…」
「んなわけねぇべ?」
「そんなのわからないよ…」
「だったら、それをオラが証明してやるよ。」
「えっ…?どうやって…?」
「それはな…」




