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74話 アリスの修行、優梨の嫉妬。(前編)

さっそく修行をするために三人は作ったお弁当を持って森に向かっていた。そしてその間にメアがサポートを再開した。


(なるほど、ランク昇格をかけて、アリスさんの憧れていたAランク冒険者の双子姉妹と対決することになったと?)


(うん…)


(何だか元気がありませんね?まだ疲れが取れてないんじゃ?)


(あっいや、疲れはないよ!ただ…)


(ただ?)


(何でもない、気にしないで…)


(そうですか…?)


「それでアリス?修行って一体、どんなことするんだべ?」


「先のザクロ大佐との戦いでヒントを得てね、新たな術を思いついたんだ。それをこの三日間の内に完成させたいの。」


「新たな術な?でも三日間だけで完成出来るんだべか、それ?」


「もちろん、させてみせるよ!」


「おぉ…?すごい熱意だな…?」


「だって!憧れてた双子姉妹と戦えるんだよ!すごいねって言ってもらいたい!」


「仕方ねぇべ、その熱意に応えてやるか。なぁ、ユリ?」


「えっ!そっそうだね!アリスちゃんのためだもん…私、頑張ってアリスちゃんの術の完成を手伝うよ…?」


「ありがとう、二人とも恩に着るよ!」


「あっうん…」


「いちいち大袈裟だべ。」


アリスの奥義を完成さするための修行が始まった!


修行一日目。


「アリス本当にいいんだな!術を唱えて!」


「うん!アタシの完成させたい術は相手の特殊攻撃を炎のパンチで殴ることで、力を吸収して倍にして跳ね返すカウンター攻撃だから!」


「わかったべ!じゃあ、遠慮なくやるぞ!」


「ユリちゃんには跳ね返した攻撃がクマ子ちゃんに当たる可能性が高いから、天使のバリアで守ってあげてほしいの。いいかな?」


「うん…任せて…?」


「行くぞー!ベアベア・ムカムカ・クロー!」


クマ子はアリスに向かって、引っ掻き傷の衝撃波を放った!


「ザクロ大佐の攻撃を跳ね返した時の感覚でやれば!きっと上手く行くはず!そりゃぁ!!」


攻撃を跳ね返そうとした!しかし…


「ぐっ!!駄目だ、跳ね返せない!!きゃっ!!」


攻撃の威力に耐えきれず吹き飛んだ!


「アリスちゃん!!」


「おい、アリス、平気か!」


「平気、平気…跳ね返すのは失敗しちゃったけど、あはは…」


「笑い事じゃねぇだろう?」


「あっ危ないんじゃないかな…?相手の攻撃を跳ね返す攻撃なんて…?」


「一度ぐらいの失敗で諦めないよ…次こそは跳ね返してみせるんだから…」


「アリスちゃん…」


「さぁ、もう一度、お願い!クマ子ちゃん!」


「へっへ。その諦めの悪さ、気に入ったべ。やってやるよ!」


「うん!」


それから日が暮れるまでアリスはクマ子の攻撃を跳ね返そうとしたが、一度も成功出来ずに一日目の修行は終わった。


«ただいま…»


「お帰りなさい。ってあらら?」


ミーナはボロボロになったアリスと疲れ切ってユリにおんぶされたクマ子の姿に驚いた。


「アリスもクマ子ちゃんもすごく疲れた顔をしてるじゃない…?そんなに大変な修行をしてきたの…?」


「まっまぁね…」

(一日中やっても、ザクロ大佐の時みたいに跳ね返せなかった…)


「魔力を使い果たして…ふらふらだべ…」


「ごめんね…?無茶させちゃって…?」


「気にするなぁ…手伝うって言ったのはオラなんだし…それに寝れば回復できる…」


「晩御飯が出来るまでまだちょっと時間がかかるから。疲れも取れるだろうし、先にお風呂に入っちゃいなさい。」


「そっか。無茶させたクマ子ちゃんに先に入ってもらいたいから。昨日と同じくユリちゃんと入る?」


「いいよ、いいよ。私、そんなに疲れてないから後で、今日はアリスちゃんとクマ子ちゃんで入って…?」


「そう…?あっそれなら、3人で入ろうか?」


「三人じゃ狭くなっちゃうよ、二人で入りなって…?」


「わかった…?じゃあ…クマ子ちゃん?一緒に入ろうか?」


アリスとクマ子はお風呂に入りに二階に行った。


(本当によかったんですか?アリスさんとお風呂に入らなくて?)


(今日はクマ子ちゃんに譲ってあげるよ…)


(そうですか…)


この時、メアは優梨の表情を見て、何かの想いを押し隠しているように思えたのだった。


「ふぁぁ…気持ちいいべ…今日の疲れが取れてくようだぁ…」


「本当だね…」


「やっぱりユリよりアリスの方が大きいな?」


「ちょちょっと、どこ見て言ってるの?」


「そりゃ胸だべ?」


「セクハラ!」


「ぶはっ!いきなりお湯かける奴があるか!」


「だって、クマ子ちゃんは元おじさん熊だから…」


「だから何だよ?オラはただおまえら顔も背丈も似てるのに胸の大きさだけ違うから不思議に思っただけだべ?」


「そっそうなの?」


「でもこれだけ大きいと触ってみたい気も…」


「やっぱりセクハラ!」


「ぶはっ!またやったな!今度はオラの番だぞ!」


「わっ!」


「覚悟しろ!」


「ストップ、ストップ、アタシが悪かったって。」


「問答無用だ!」


「ふっふ。楽しそうね。」


ミーナがお風呂場の会話を聞きながら、用意した二人の着替えを置いた。


「つい、はしゃいじゃったべ…疲れてたの、すっかり忘れてた…」


「ねぇ…クマ子お姉ちゃん…聞いてくれる…?」


「何だよ?その顔、悩み相談か?」


「アタシ…ユリちゃんに何かしたのかな…?」


「何でそう思うんだ?」


「少し距離を感じるというか…」


「気のせいだべ?ユリはおまえのことが大好きだろ?好きなのにそんなことするかよ?」


「だっだよね…考えすぎか…」


「まぁ、いつかおまえからユリを奪って、オラの嫁さんにするけどな。」


「そんなことさせないよ〜?」


「今はおまえが優勢かもしれないけど、オラはそう簡単には諦めないぞ、その事を忘れんなよ?」


「ふっふ。わかったよ。」


「その態度、本当にわかってんのか?」


「クマ子ちゃんは恋のライバルで可愛い妹だよ。」


「可愛い妹…」


「照れちゃって。」


「照れてないべ!」


「ふっふ。」


「もう。」


しかしクマ子は内心、嬉しかった。





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