毒舌妹のメグ少佐の苦悩➁
「えっ!新人メイドの一人が働きすぎで、熱を出して倒れた!本当ですか、メイド長さん!」
「はっはい…レアお姉様のためにって、頑張りすぎちゃったみたいで…?」
「ハァァ、魔物が熱を出すなんて、余程に無茶な働き方をしたんでしょうね…それでその子は今どこに…?」
「彼女の部屋に安静に寝かせています。」
「助かります。流石はメイド長さんですね。この事はお姉様はご存知で…?」
「レアお姉様は朝早くから、お気に入りのメイド数名と近くの高原まで、ピクニックに行ってらっしゃるので…」
「ハァァ…だから城が静かだったんですね…?お姉様ったら…自分の仕事をサボっていつもいつも…」
「私も行きたかったな…」
「えっ…?何か言いました、メイド長さん…?」
「なっ何でもありません!後は私が彼女の看病を…」
「いいえ、あなたは業務に戻ってください。メイド長さんが指導してくれないと新人メイド達が困ってしまいますから。私の力を使って回復させます。」
「よろしいんですか…?メグ様は自分の力をあまり使いたくはないのでは…?」
「大事な部下が苦しんでる時にそんな事は言ってられません。」
「メグ様…わかりました。よろしくお願いします。」
メイド長を仕事に戻すと、すぐ寝込んでいるメイドのもとへ向かった。
「ハァハァ…誰ですかにゃ…?えっメグ様…!?」
「起き上がらなくていいですよ。安静にしていてください。」
「は…はい…ありがとう…ございますにゃ…」
「失礼しますね。」
メグ少佐は猫耳メイドのおでこに手を当てた。
「まだ熱いです。きっと魔物になったばかりなのに魔力を大幅に使って働いたから、体が耐えきれなかったんですね。」
「ハァハァ…駄目なメイドで…ごめんなさいにゃ…」
「どうして謝るんですか?」
「だっだって…無茶をして…少佐であるメグ様に…迷惑を…怒ってらっしゃいますよにゃ…?」
「そんなことありません。」
「にゃ…?」
「弱ってる方に怒ったりしないですよ。それにちゃんと働いてくれて、むしろ感謝しています。」
メグ少佐は頭を撫でると優しく微笑んだ。
「メグ様って…本当はすごく…優しい方なんですね…」
「怖い人だと思ってました…?」
「はっはい…怒られてばかり…いたので…」
「そっそれはですね!お姉様がちゃんと魔族としての役目を果たさないからつい怒りっぽくなっているだけで!普段はおとなしい方なんですよ、私!」
「そっ…そうなんですかにゃ…?」
「私だって本当は…あなた達、メイド達と笑顔で仲良くお喋りとかしたいんですよ…
でも笑顔で話したりする自体、あまり得意じゃなくて…不器用で…私って…」
「フッフッ。フッフッ。」
「笑わないでくださいよ…?」
「だってメグ様が…そんな悩みを…持ってたなんて…」
「誰にも言わないでくださいね…?恥ずかしいですから…?」
「わかりましたにゃ…」
(メグ様って、可愛い性格の方なのかも…)
「では回復させますね。目を閉じてください…?」
「目を閉じるんですね…」
「失礼します…」
「ふぐっ!」
するとメグ少佐がメイドにディープキスをした。
«ぷはぁ。»
「どっどうしてキスを…?」
「私達、サキュバスは精気をもらう代わりに相手の肉体を治癒、魔力を向上させる事が出来るんです…」
「そうだったんですかにゃ、知らなかった。」
「それで体はどうですか…?」
「確かに楽になってきました。」
「どれどれ…」
メグ少佐は再度、猫耳メイドのおでこに手を当てた。
「熱が引いてきました。」
「ありがとうございますにゃ。」
「お礼なんていいですよ…むしろ私も精気を頂けて助かりましたから…」
「そうですかにゃ…?」
「とても美味しかったです…あなたの精気…」
「にゃ…」
猫耳メイドは胸をときめかせた。
『ただいま!メグたん!』
「あっお姉様ったらやっと帰ってきたみたいです!
説教しなきゃですね!」
「あっメグ様!」
「何ですか?」
「お話が出来て嬉しかったです。」
「私もですよ。それじゃあ。」
メグ少佐は微笑むと部屋を出て、レア大佐を叱りに行った。
『てめえ、また役目をサボって遊びに行きやがったな!!』
『ごめんなさい!!メグたん、許してぇ〜!!』
城中にメグ少佐の怒る声とレア大佐のひたすら謝る声が響いていた。
「メグお姉様…私…あなたが好きになっちゃいました…」




