68話 姉妹の約束〜それぞれの愛した女の子と幸せになること。
優梨達が魔族を倒したこと、そしてミーナとソフィーが結婚を前提に付き合うことになったことを祝して盛大なパーティーをした後、優梨とクマ子は一緒にお風呂に入っていた。
「ぷへぇ…いい湯だ…五臓六腑に染み渡るべ…」
「あはは、クマ子ちゃん、おじさんみたい。」
「元はそうだべ?」
「そういえばそうだったね…?前はおじさん熊だったんだっけ、まぁ今は女の子なんだし、気にしなくていっか。」
「ミーナとソフィーの作ったご飯すごく美味しかったし…オラは大満足だ…」
「ふっふ。クマ子ちゃん。ミーナさんとソフィーさんにすっかり懐いてたよね。」
「あの二人になら、ユリとアリスみたいに心を許してもいいかなって思っただけで…別に懐いたとかでは…ブクブクブクッ…」
「照れちゃって。」
「ユリこそ、照れてるんじゃないか?何でアリスとじゃなくオラと一緒に入ることにしたんだ?」
「それもあるかな…」
「ほかに理由があるのか?」
「きっと二人だけで話したいことだって、あるだろうなって思ったから…」
「なるほどな、それでオラと…アリスはユリを好きになる前は姉ちゃんが好きだったんだっけか?」
「そう…そしてミーナさんもアリスちゃんが好きだったんだ…つまり私は…」
「暗い顔するなよ。」
「クマ子ちゃん…?」
「どんな経緯があるにせよ、アリスから愛されてるはおまえだ。素直に喜べよ。」
「そうだよね…ありがとう。」
「今度はオラの愛を受け止める番だぞ、ユリ?」
「えっ!」
「何だ、その困った表情は〜?まさかオラの愛だけは受け止められないなんて言わないよな〜?」
「そっそれは…」
「ユリ〜?」
クマ子は優梨のお腹をくすぐった。
「あはは、くすぐったいよ〜!クマ子ちゃん!」
「ちゃんと答えないから、おしおきだ〜。」
「やめてぇ〜!」
二人がお風呂でじゃれ合っている頃、リビングでアリスとミーナが温かいココアを飲みながら、ソファーに座っていた。
「ウフフ、あんなに騒いで楽しそうね。」
「そうだね。」
「驚いたでしょう。私がソファーちゃんと結婚を前提に付き合うって聞いて。」
「そんなに驚かなかったかな…ソフィーちゃんがお姉ちゃんのことを好きだってことは近くで見ていてわかってたから。」
「そうなの?」
「本当にお姉ちゃんは鈍感なんだから。」
「あはは。言われちゃった。」
「あのね、お姉ちゃん…私もお姉ちゃんに言わなきゃならないことがあるんだ…」
「わかってるわ。聞かせて。」
「うん…」
アリスはザクロ大佐との戦いの最中に優梨に告白して、両思いになったことを伝えた。
「おめでとう。アリス。あなたに私以上に大事な人が出来て。お姉ちゃんとして、とても嬉しいわ。」
「あっ…ありがとう…」
「アリス…?」
アリスは涙を堪え切れず流した。
「約束、守れなくてごめんね…」
「約束って、私と結婚するってことよね?」
「えっ…?覚えててくれたの…?私がまだ小さかった頃にした約束なのに…?」
「当たり前よ。私の初恋だもの。」
「お姉ちゃん…」
「でもね。あれから時が経って、今、お互いにもっと大事な人に出会ったのよ。あなたはユリちゃんで私はソフィーちゃん。ねっ。」
「そうだね。」
「きっと私達。お互いに幸せになれるわ。」
「お姉ちゃん!!」
アリスは抱きついた。
「アリス。」
「私、お姉ちゃんを好きになってよかった…この恋は一生、忘れないよ…」
「私だってこの恋を一生、忘れたりなんかしない…」
「お姉ちゃん…」
「ユリちゃんにいっぱい愛してもらうのよ…」
「お姉ちゃんこそ…ソフィーちゃんにいっぱい愛してもらってね…」
アリスとミーナの姉妹はそれぞれの愛した女の子と
幸せになることを約束したのだった。




