67話 ソフィーの愛の告白。
「どっどうして、ソフィーちゃん!」
「そんなの当たり前じゃない!!アリスちゃんだって覚えているはずでしょ!!
ミーナちゃんが魔族の部下に殺されかけて、血まみれになった姿を!!ミーナちゃんをあんな目に合わせた連中の仲間だった子を信用できるわけないじゃない!!」
「クマ子ちゃんはあいつらとは違うよ!」
「そっそうですよ!」
「魔物は魔物よ!!いつ私達、人間を裏切って、牙を向けるかわかったもんじゃないわ!!」
「クマ子ちゃんはそんなことしない!!」
「いえわからないわ!!」
「ソフィーちゃんのわからずや!!」
「二人とも落ち着いて!」
「もうやめてくれ!!」
「クマ子ちゃん…?」
「仕方ないべ、どう繕ってもオラは魔物だ…人間から恐れられて当然だべ…」
「仕方なくなんかないよ…?」
「クマ子ちゃんは何も悪いことしてないじゃない…?」
「ありがとうな、でもオラがここにいるとアリスの姉ちゃんに辛い記憶を思い出させちまうかもしれない…だからおまえの妹になるのはやめるべ…」
«クマ子ちゃん…»
「じゃあな…」
「待って!」
「えっ…?」
店を出ようとしたクマ子をミーナが引き止めた。
「あなたどこへ行くの?」
「どこって…オラの生まれた森に帰ろうと思って…」
「そこに家族か仲間はいるの?」
「仲間はいないべ…家族ともずっと昔、はぐれちまったし…」
「そうだったんだ…」
「そんな悲しい生い立ちだったなんて…」
「だったら森に帰ることないじゃない。ここに住みなさい。」
「ミーナちゃん…?」
「いいのか…?オラは元魔族の部下で…魔物だったんだぞ…?一緒に住んでいいのか…?」
「アリスがあなたを妹のように可愛がるなら、私もあなたを妹のように可愛がるのが当然でしょう?」
「お姉ちゃん…」
「ミーナさん…」
「オラのことを妹だと思ってくれるのか…?」
「もちろんよ。こんな可愛い妹が出来て。私、嬉しいわ。」
「ありがとう…」
クマ子は照れながらミーナに抱きついた。
「よかったね。クマ子ちゃん。」
「お姉ちゃんならわかってくれると思ってたよ。」
「私にはそんなこと一度も言ってくれたことないのに…」
「ソフィーちゃん?」
「ミーナちゃんの馬鹿!!」
「えっ…?」
「ぐっ…」
ソフィーは泣き顔を見せると店を飛び出した!
「ソフィーちゃんが私に怒った…」
「私、追いかけます!」
「ユリちゃん!」
優梨は店を出ると、遠くにソフィーを見つけ、後を追いかけた。
「待ってください!」
そして腕を掴んだ。
「はっ離して!」
「このままでいいんですか?」
「どういう意味…?」
「ソフィーさんはミーナさんのことが大好きなんですね?」
「どっどっどうしてそれを!?」
「見てればわかりますよ。」
「だったらわかるでしょう…ミーナちゃんは私の気持ちになんか1ミリだって気づいてくれない…
私のことなんてただの親戚としか思ってないんだ…」
「それはまだ好きだって、ちゃんと伝えてないからですよ!思いは言葉にしないと伝わりません!」
「そっそうだけど…」
「じゃあ、伝えなきゃ!」
「駄目よ…私にはそんな勇気ないもの…
それにミーナちゃんはアリスちゃんが好きなんだもん…私の想いはミーナちゃんに届かない…」
「そんなのまだわかりませんよ!」
「わかるよ…だから伝えない…」
『ハァハァ…ちゃんと聞かせてよ…ソフィーちゃん…』
「その声は…?」
すると振り向いて居たのは息を切らし、額に汗をかいたミーナだった。
「追いかけてきてくれたの…?」
「ハァハァ…心配になったから、居ても立っても居られなくなって…」
「さっきの話、聞いちゃった…?」
「うん。」
「そっそっか…」
「ねぇ。ちゃんと伝えて。あなたの気持ち。」
「だっだって…届かないのがわかってるのに伝えるなんて…」
「いいから。」
「わかったよ…じゃあ、ふぅぅ…」
ソフィーは一度、深呼吸して覚悟を決めた。
『ミーナちゃん!!結婚を前提に私と付き合ってください!!』
(言っちゃったぁ…)
『うん。いいよ。』
「えっ…?今なんて…?」
『私、ミーナもソフィーちゃんと結婚を前提にお付き合いしたいです。』
「本当に…?」
「ええ。本当よ。」
「わぁ!よかったですね、ソフィーさん!」
「でっでも…?ミーナちゃんはアリスちゃんが好きなんじゃ…?」
「アリスにはもう私より大事な人が出来たみたいだから…」
ミーナはまるですべてを知っているかのように優しい笑顔で優梨を見つめた。
「ミーナさん…」
「それに私。ソフィーちゃんのこと大好きよ。
私が悲しい時、辛い時にいつも支えてくれて励ましてくれた大事な家族みたいな人だもん。
あなたとなら結婚してもいいなって…何度、思ったことか。」
「うぐっ…うぐっ…ミーナちゃん!!」
ソフィーは嬉し泣きしながら、ミーナに抱きついた。
「ありがとう…私の想いを受け入れてくれて…
ミーナちゃんのこと、必ず幸せにするから…」
「うん。幸せになろうね。」
「素晴らしい光景だよ…」
優梨は二人が微笑み合う姿を見て感動していた。




