62話 魔族ザクロ戦、決着!!(後編)
【今すぐにその強気な態度を恐怖に変えてやる!!】
『ぐっ!』
ザクロ大佐は重力で優梨の動きを止めた!
【フハハハッ!!どうだ、恐れ入ったか!!
さっきとは比べものにならないほどの力で一歩も動けまい!!このまま捻り潰してやるからなァァ!!】
『確かにさっきより強い、だけど私が越えられない壁じゃない!』
優梨は簡単に解いた!
【おのれ、だったらこれならどうだ!!
ネオリパルション・ショット!!】
『エンジェル・ソード!』
向かってきた攻撃を真っ二つに斬った!
『それだって通用しないよ!』
【ありえん…我は赤魔石を使い強くなっているはず、きさまは何者なんだ…?】
「教える義理はないよ!」
【まさか本当に魔王様が仰っていた我々の天敵が再び地上に現れたとでもいうのか…?】
「干渉出来るのも…あと2分です…」
「あと2分だって!」
『時間がないんだ、この一撃で終わらせる!』
優梨は光の剣を握りしめて走った!
【もしそうなら…】
『わぁぁっ!?』
ザクロ大佐は優梨の一撃が当たる寸前に地面に手を置き大きな穴を作って、本人もろとも落とした!
(大丈夫ですか!)
(平気…怪我はないよ、驚いたけど…)
(周りを見てください…?もっと驚きますよ…?)
(なっ…なんで…)
「宇宙空間にいるの!?」
優梨は宇宙空間に漂っていた。
『あっでも空気がある、やっぱりそう見立ててあるだけか…』
「ユリちゃん!!」
落ちた穴からアリスが覗いて呼びかけてきた!
『安心して、アリスちゃん!私は無事だよ!』
「異次元空間だから危ないよ!!すぐに戻ってきて!!」
『わかった!』
【させると思うか?】
『この声はザクロ大佐!どこに居るの!』
辺りを見渡したが姿はなかった。
(居ない…?)
【グラビティ・メテオ。】
『なっ何!?』
無数の小さな隕石が襲いかかってきた!
(あんな攻撃ありなの!?)
(今は…躱して…ください!)
『テレパシーがまた途切れ始めてる…?』
そして背中の天使の羽が現れたり消えたりし始めた。
【気づいようだな?この空間は普通の空間と異次元空間の狭間、アーノ大尉の力も届きにくいのだ!】
『考えたね…?』
【きさまの光属性の力もその状態では半分の実力しか出せまい!】
『半分出せれば…十分だよ…』
(あれ…どうしてだろう、意識が…?)
(しっかり…して…ください!)
【影響が出来てきたようだな?この狭間に居続けると魂を持っていかれるのだ。】
『なるほどね…魔族のあなたなら平気ってわけ…?』
【我も同じだ…魂を持っていかれる…】
『あなたも捨て身ってこと…?』
【確実にきさまを殺すためならば…我の命ぐらいかける…全ては魔王様のためだ!】
『私だって…こんな所で殺られるわけにいかないんだ!』
優梨は覚悟を決めたのか、飛んでくる隕石を必死に斬り続けた!
【数に限りはない…何度でもやってやるぞ!】
『また飛んでくる、これじゃキリがない…でもザクロ大佐を倒そうにも姿が見えない…どうすれば…』
(意識を…集中して…ください!…そしたら…魔の気配が…どこにあるか…わかって…)
『意識を集中するか…やってみる!』
優梨は光の弓矢を持ち、目を閉じて集中した。
【等々、観念したか…?だったら!】
巨大な隕石を向かわせた!
【これでくたばれ!!】
「ユリちゃん!!」
『居た、あそこだ!!エンジェル・アロー!!』
【ぐわぁぁっ!!】
優梨の放った光の矢は見事に命中して、姿が見えなかったザクロ大佐の胸を貫いた!
【馬鹿な…我の擬態が…見破られるとは…】
『ハァハァ…私の勝ちだね…』
【そのようだ…だがただでは…くたばらんぞ…残念だったな…フハハハッ…グハァッ!!】
ザクロ大佐は爆発した!
『そんな!?』
それに優梨も巻き込まれたように見えた!
「ゴホッ。ゴホッ、ユリちゃん!!ユリちゃん!!」
しかし応答はなかった。
「ハァハァ…ザクロ大佐の気配が完全に消滅しました…優梨さんの勝ちです…」
「いやだ…いやだよ…こんな終わり方…うぐっ…うぐっ…うわぁぁん!!」
「私だって…」
『どうして二人とも泣いてるの?』
«えっ…?»
上を向いたら、服がボロボロになりながらも、無事に生還した優梨の姿があった。
「生きてたの…?」
「当たり前だよ。」
「ユリちゃん!!」
アリスは泣きながら抱きついた。
「ごめんね。心配させて。」
「ううん…謝らなくていい…」
「ですが、爆発に巻き込まれたんじゃ…?」
「助けてくれたんだ。」
「そうでしたか…」
すると闘技場内が大きく揺れて、物が壊れ始めて、空間が歪み始めた。
「何が起こってるの!?」
「そうか、この異次元空間、闘技場はザクロ大佐の力で作られたもの!
本人が居なくなれば崩壊するのは当たり前です!」
「そっそんな!?」
「ザクロ大佐の言ってたのはこれだったんだ!」
「ここから出ましょう!異次元に吸い込まれたら、確実に命はありません!」
「でっでもここからどうやって出ればいいの!?」
「入ってきた扉から出るんだよ!」
「それだ!」
「急ぎましょう!」
次の瞬間、扉の方を落ちてきた大きな落石によって塞がれてしまった。
「なっなんてこった…」
「アタシに任せて!フレイム・スマッシュ!」
だが炎を纏えず、少し削ったぐらいにしかならなかった。
「駄目だ…魔力が足りなくて、スキルが発動しない…」
「私がやるよ!エンジェル・ウイング!」
しかし背中に天使の羽は現れなかった!
「どっどうして…?」
「力を貸してくれている天使に何かあったのでは…?」
「アイルちゃんに…?」
闘技場はさらに崩れた。
«きゃっ!!»
「こっこのままじゃ…」
「申し訳ありません…私に魔力が残っていたら…
空間移動でここを出ることが出来たはずなのに…」
「それは仕方ないよ。」
「アーノ大尉は役目を果たしてくれたから。」
「ユリさん…アリスさん…」
そんな三人を救おうと、アイルが再びスキルを発動しようとしていた…
「今、助けますから…」
「駄目だよ!!次、スキルを使ったら、アイルちゃんの命が!!」
「ごめんね…約束守れなくて…スキル、空間移動!!」
「駄目ー!!」
優梨達を救うべくアイルは天使力のすべてをかけた
瞬間移動能力を唱えた!!




