61話 魔族ザクロ戦、決着!!(前編)
「…というわけだったんです。」
『ありがとう!クマ子ちゃんを救ってくれて!』
「アタシからもお礼を言わせて、ありがとう。」
「お礼なんて…私はあなた達にひどいことをしたんです…特にあなたには…」
「確かに町も破壊したし、お姉ちゃんに悪夢まで見せた…」
「ええ…許されるなんて思ってません…」
「だけど許す。」
「えっ…?どうしてですか…?」
「アタシはそんなネチネチ引きずるタイプじゃない。」
「それが理由ですか…?」
「悪い?」
「いえ…?」
『ふっふ。アリスちゃんらしいね。』
【何が起きてるか、さっぱりわからんが、きさまがアーノ大尉であることは間違いなさそうだな?】
「そうです。」
【ベアー中尉の体を乗っ取ってまで、我の前に再び現れるとはそれほどに復讐を果たしたいか?】
「それが出来ないことは重々承知、あなたを倒せるのはユリさんだけです。」
【ではなぜ現れた?ベアー中尉を助けに来ただけではないはずだろう?】
「察しが良いですね、私にはまだ与えられた任務があるんです。」
【なんだと?】
「エンジェル・ウイング!」
【ぐっ!この光はまさか!】
『天使の術!』
クマ子(アーノ大尉)の背中に天使の羽が現れた。
「あれってユリちゃんの術じゃ…?」
「続けていきます。エンジェル・インタフィアレンス!」
片手から眩しい光を打ち上げると、異次元空間のすべてを覆い尽くした!
「ハァハァ…成功したようですね…」
【きさま、我の空間に何をした!?】
「あなたの作り出した空間を一時的に中和したんです…」
【そんなことをして何になると言うのだ…?そうか、そういうことか!】
(優梨さん、聞こえますか!)
(その声はアイルちゃん!)
(よかった…やっと繋がりましたよ…って!よく見たらなんですか、その神々しい姿は!?)
(なんか百合パワーが覚醒したみたい。)
(覚醒を!ということはアリスさんと?)
(あっうん…両思いでした…)
(おめでとうございます!!)
(でっでもまだ正式に付き合ったわけじゃないからね!お互いの気持ちを言い合っただけで…)
(それでも覚醒したことは大成果です!その覚醒した力と私達、天使の力をミックスさせましょう!
そしたらザクロ大佐を必ず倒せます!)
(わかった!やるよ!)
『エンジェル・ウィング!!』
優梨は神々しい光を放ちつつ、背中に天使の羽を纏った。
「ユリちゃんにも羽が!」
【おのれ、やはりか!】
『これで絶対に負けないよ!』
【赤魔石を使った我がそう簡単に殺られるものか!
それに空間を中和するなど膨大な魔力が必要なはず、そう長くは持ちまい!】
「ハァハァ…言う通りです…私の術は持って、後3分ぐらい…それ以上はベアー中尉の身が持たない…」
『3分もあれば十分だよ、任せて!』
【口の減らない生意気な小娘めが、ネオリパルション・ショット!】
『なっ!?』
ザクロ大佐は優梨を狙わずにクマ子(アーノ大尉)に攻撃をしたのだった!
【術が解けるのを待たずに今、殺せばいいだけのことだ!今度こそ地獄に落ちるがいい!】
『間に合わない!!』
【フハハハッ!残念だったな!】
「くっ!」
《そんなことさせるもんか!!》
「えっ…?」
「うぉぉぉ、フレイム・スマッシュ!!」
アリスが前に立ち、間一髪で向かってきた攻撃をぶん殴って遠くにふっ飛ばした!
「この命に変えてでもクマ子ちゃんは私が守る!!」
「アリスさん…」
『助かったよ!ありがとう、アリスちゃん!』
【ありえん…?赤魔石で強くなった我の攻撃を吹き飛ばしただと…?】
『あなたにはわからないだろうね。愛の力には無限の可能性があるんだよ。』
【意味がわからん、意味がわからん!!】
ザクロ大佐は怒りで魔力を全開にした!そしてその事で闘技場内が大きく揺れた!
【お前ら人間の小娘ごときが我を超えることなどありえんのだァァ!!】
(優梨さん、戦う覚悟はいいですか?)
(不思議と怖くない、戦える。)
(強くなられましたね。)
(そうなのかな。)
【ぶっ殺してやる!!】
『行くよ!!』
果たしてどちらが勝つのか!!




