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57話 優梨とアリスの愛の力は魔族の強さを超える(前編)

「どうしたらいいの…?」


【すっかり戦意喪失したようだな、そんな状態では戦えまい、きさまから殺してやろう。】


「させるか!!」


アリスがしゃがみ込む優梨の前に立った!


【邪魔をする気か?】


「アタシが生きてる限り、ユリちゃんは殺させやしない!!」


その瞬間、アリスの全身が青い炎のオーラに包まれた!


【ほう、それがスネーク大尉を倒した例の青い炎か?】


「ああ、そうだ、愛の力だ!」


「愛の力…」 


【その力で我を楽しませろ。】


「アタシを本気にしたこと後悔させてやる!」


「アリスちゃん!」  


「きっとまだ回復し切ってないんだよね。

 アタシが戦うから、その間、休んでて。」


「そんなこと出来ないよ!」


【さぁ、かかってこい!】


「行ってくるね。」


「待って!!」


アリスは一人でザクロ大佐に戦いを挑んだ!


【リパルション・ショット!】


「そんな攻撃何度もくらうか!!」


アリスは素早い速度で移動して、姿を消した!


【どこに行った?】


「フレイム・スマッシュ!!」


【グフッ!】


そしてザクロ大佐の頬を思いきり殴った!


「これで終わりじゃねぇぞ!!」


【グォッ!グォッ!】


続けて腹部にパンチの連打をした!


「すごい…アリスちゃんが圧倒してる…」


「フレイム・キック!!」


【グハッ!】


そして蹴りを入れた!


「ハァハァ…どうだ!」


【フッフッフ…】


しかし攻撃をまともに受けたはずのザクロ大佐は唇から血を滲ませながらも余裕の笑みを浮かべていた。


「何で笑ってやがる…?」


【確かにさっきより強くなったようだ。一瞬とはいえ我の目でも追いつけなかった。今の攻撃もよかったぞ、だがな?】


「ぐっ!また体が動かない!」


【まだきさまはその力を完璧に使いこなせていない、そうだろう?】


「だったら…何だってんだ…」


【制御出来ない力は自らを滅ぼす、きさまはその状態を維持するのにかなりの魔力を放出している、もって数分が限界だろう?】


「数分も稼げれば十分だ…」


【やはりか、あんな小娘を休ませるために、自分が捨て駒になる覚悟で戦っているな?】


「あの子はアタシより強いんだ…舐めるなよ…」


【光属性の力を使えないあの小娘など、恐るに足らん、それを証明してやる。】


「なっ何をするつもりだ!」


【グラビティ・ボール!】


ザクロ大佐は優梨に向かって、大きな重力の球を放った!


「逃げるのが間に合わない!きゃっ!」


しかし優梨に攻撃が当たることはなかった。なぜなら…


「あれっ…ダメージがない…?どうして…?」


「ぐっ…」


「そっそんな…?」


アリスが盾となって、身を挺して守ったからである。


「よかった…ガハァッ…」


「アリスちゃん!!」


それに全ての力を使い切ったのか、全身から青い炎のオーラは消え、その場に倒れた。


「しっかりして!!」


「ごめん…もう…戦えそうにない…ガハァッ…」


「そんなのどうだっていいよ!!どうして、どうして私なんかのために…」


「だって…ユリちゃんは…大事な人だから…」


「大事な人…」


【まさか我の力を跳ね除けて助けに行くとは、命尽きたら、ゾンビ化させてでも部下にしたくなったぞ。】


「不謹慎なこと言わないで!!今、回復薬を飲ませてあげるからね!ってあれ…回復薬がどこにも…」


優梨は鞄の中を必死に探したが回復薬が見つからなかった。


「ごめん…さっきユリちゃんに…使ったので…最後だったんだ…」


「じゃじゃあ、回復が!」


"スモール・ヒールが新たに使えるようになりましたよ!"


優梨は前にアイルから聞いた術を思い出した。


「そうだ、ヒール!回復する術があるんだよね!今の私なら唱えられるはず!スモール・ヒール!!」


するとアリスの体の傷がみるみるうちに癒えていった。


「やった、成功だ…」

 

「ハァハァ…」


「なのにまだ苦しそう…」


【愚かな、肉体は回復出来ても奴は全ての魔力を使い切った。魔力が完全に尽きたら人間はどうなると思う?】


「どうなるっていうの…?」


【アーノ大尉の末路を見たはずだろう?それと同じく朽ちてあの世行きだ。】


「そっそんな…私…アリスちゃんが居なかったら…戦えないよ…」


「弱気な事…言わないで…」


「えっ…?」


【はぁ…我は非常にがっかりしている、きさまら、あまりに弱すぎる期待外れだ。

 さっさとこのつまらない戦いを終わらせて、あの町を今度こそ破壊し尽くすことにしよう。】


「さっきの球を放つ気だよね…?」


「お願い…ザクロ大佐を…倒して…」


「今の私に出来るかな…」


「きっと…ユリちゃんになら…出来る…」


「私になら…?」


「クマ子ちゃんを…救って…」


「アリスちゃん…」


「アタシから…伝えたいこと…あったの…覚えてる…?」


「もちろん、覚えてるよ…」


「今…伝えても…いいかな…?」


「いいよ…」


『アタシ…アリスは…ソノサキユリ…ちゃんに…恋してます…』


「恋…」


それを聞いた瞬間、優梨の胸がこれまで以上に熱くなった!


【小娘達よ、くたばるがいい、グラビティ・ボール!】


ザクロ大佐は重力の球を放った!


「アタシを…置いて…逃げて…?」


「逃げないよ!」


今度は優梨がアリスの前に立った!


「ユリちゃん…」


『私だって、アリスちゃんに恋してるんだから!!』


《百合パワーの覚醒を確認。

 LOVEモード発動、相思相愛相手:アリス。》


その瞬間、優梨は神々しいオーラを纏った!


【くっ!なんだ、あの眩しい光は!】


「女神様みたい…」


『力が溢れてくる!これなら、そりゃぁー!!』


優梨は向かってきた攻撃を殴って跳ね返した!


【そんな馬鹿なことがぁぁー!!】


そしてザクロ大佐は跳ね返ってきた自分の攻撃をまともにくらって吹っ飛んだのだった!


「すごい…」


『今、魔力を回復してあげるから。』


優梨が手を握ると、魔力が送られたのか、アリスの表情が次第に落ち着いてきた。


「どうかな?」


「本当だ。体が軽い。魔力が完全に回復した気がする。」


「それを聞いて一安心したよ。」


「ユリちゃんには驚かされてばかりだな。見たこともない術を唱えたり、敵の術を殴って跳ね返したり、ついさっきだって魔力を回復させてくれたよね。まるでこの世界の人間じゃないみたい。」


『アリスちゃんの言うとおりだよ…私はこの世界の人間じゃない…』


「それってどういう意味…?」


『私は別次元の世界から、この世界にやってきた人間なんだ。』


「つまり異世界人ってこと…?」


『いきなりこんなこと言われても驚くよね…』


「そっか…納得した。」


『あっあれ…?もう納得するの…?』


「だって生まれがどこだろうとユリちゃんはユリちゃんだもん…」


『アリスちゃん…』


「教えてくれてありがとう…

 好きな人をもっと知れたから…

 とっても嬉しい…」


『好きな人…』


優梨は顔を真っ赤にした。


「私達…両想い…だったんだね…」


『でも…いいの…?アリスちゃんはミーナさんのことを結婚したいぐらい好きだったはずでしょう…?』


「もちろんお姉ちゃんのことも大好きだよ…でもそれ以上にね…ユリちゃんの事が大好きになっちゃったみたい…」


(私、漫画みたいにNTR百合しちゃったんだ…)


「ユリちゃんが私をこんな感じにしたんだから…ちゃんと責任もって、私のこと愛してくれないと容赦しないんだから…わかった…?」


『はっはい!肝に銘じます!』


「約束だよ…?」


(可愛いなぁ。私と同じ顔なのにマジで可愛い。)


【ハァハァ…きさまら何をもう勝ったつもりになってるんだ…?】


「ザクロ大佐!」


『やっぱり生きてたんだね?』


【当たり前だ!】


「しぶとい野郎だ。」


【ハァハァ…しかし我がここまでダメージをくらったのは魔族になってから初めてだ…だが!!】


ザクロ大佐はボロボロになった上着を脱いで、魔力を高めた。


【我はまだ戦えるぞ!!きさまらを生きてはこの城から出さん、絶対にだ!!】


『アリスちゃん、後は私に任せてもらっていいかな?』


「わかった。力をコントロール出来ないアタシが戦っても足手まといになるだけだから。信じて見守ってる。お願いするね。」


『うん。』


優梨は微笑むと前を向いた。


【きさま、本気で一人で勝てると思っているのか?】


『クマ子ちゃんを救うためにも速攻で倒させてもらうから!』


【フッ、図に乗るのも大概にしろ!!我は魔族だ、きさまら人間の小娘ごときに負けるはずがあるものか!!】


『関係ない、倒してみせる!』


【だったらやってみろ!!】


百合パワーを覚醒させた優梨vsザクロ大佐の真の一騎打ちが幕を開けた!



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