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百合パワーは最強なのです!!〜女子高生が与えられたスキル「百合を感じるたびに強くなる能力」で異世界を救うかもしれない話〜  作者: ぎゅうどん
百合で強くなる女子高生とアリスvsザクロ大佐の部下達の戦い!編
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53話 優梨vsザクロ大佐の部下(五階編④)

優梨とアーノ大尉の戦いは最終局面に入っていた!


「シャドウ・ショット!」


「エンジェル・ショット!」


影の弾丸と光の弾丸が相殺した!


「ハァァ!!」

「そりゃぁ!!」


お互いに体当たりでぶつかり、とてつもない衝撃波が起こった!


「どうやら今の私達は互角のようですね?」


「そうみたいだね?」


その様子をアイルとメアは固唾を呑んで見守っていた。


「この勝負、どちらが先に力が限界を迎えるかで勝敗が決まるね…」


「ええ…」


「大丈夫だよ。救世主が負けるはずがない。」


「そうですね…私もそう信じてます。」


「あっ見て!」


するとその直後、動きがあった!


「ガハァッ…」


「えっ!?」


アーノ大尉が血を吐いて苦しそうにしたのだ!


「なっ何が起きたの…?」


「ハァハァ…どうやら赤魔石の膨大な力に私の体が耐えきれなかったようですね…」


「そっそんな…」


【愚か者め、貴様ごときが赤魔石を扱えるはずかない、我の忠告を無視するからこうなるのだ。】


苦しむアーノ大尉の姿をザクロ大佐は嘲笑っていた。


「ガハァッ…ゴハァッ…」


「もうこれ以上、戦うのはやめよう…?」


「やめません…」


「どうして…?」


「あなたこそ、おかしいでしょう…あなたは救世主…悪い敵が弱っている、今が倒すチャンスのはず…」


「あなたは悪い敵じゃないよ…」


「今なんて…?」


「過去を聞いて、私は感じたんだ。あなたにはまだ良心が残ってるんじゃないかって。」


「ハハハッ…良心ですか…」


「今、あなたを魔から開放してあげるから。」


優梨は目を閉じて、祈りのポーズをした。


(あの時、賛成は致しましたが…エンジェル・ヒーリングが通じるかはわかりません…)


(クマ子ちゃんにだって通じたんだ。きっとアーノ大尉にだって…)


「ふざけるのも大概にしやがれ!!」


「グハァッ!」


アーノ大尉は優梨の頬を殴った!


(大丈夫ですか!)


(平気…あまり強く殴られてないから…)


「知ってますよ、その術ぐらい!誰が私を元に戻して欲しいと頼みましたか!」


「頼まれてないけど…ほっとけないよ…?」


「私を悪役のままで終わらせてください…」


どこか切ない表情をした。


「それって…?」


「これが私の最後の術です…」


アーノ大尉は黒い羽をはためかせて、天井近くまで飛んだ。


「ハァァ!」


そしてとてつもない魔力を放出した。


(気をつけてください!間違いなく、アーノ大尉は一番強力な術を唱えるつもりです!)


(わかってる…やるしかないことぐらい…)


(優梨さん…)


優梨は暗い表情で光の弓を構えた!


「シャドウ・バード!!」


そして巨大な影の鳥が勢いよく飛んで来た!


(早く矢を放ってください!)


(出来ない…)


(何を言ってるんですか!このままじゃ!)


(でっでも…)


(放ちなさい!!)


「うぐっ…エンジェル・アロー!!」


涙を流し優梨が放った光の矢は影の鳥を突き抜けて浄化すると、そのままアーノ大尉を貫いた!


「これでいいんです…」


黒い羽が消えたアーノ大尉は地上に真っ逆さまに落ちていったが、それを優梨が受け止めた。


「うぐっ…うぐっ…ごめんね…」


「なぜあなたが…謝るんですか…」


「あなたを悲しみから救ってあげたかった…でもその気持ちは押し付けでしかなかったんだよね…」

 

「そんな顔を…しないでください…」


「えっ…?」


アーノ大尉は優梨の頬に触れた。


「私は嬉しいんです…」


「どうして…?」


「あなたは強いと…わかった…赤魔石を…使ってまで…力量を…確かめて…よかった…」


「それだけのためにあの危険な石を使ったっていうの…?」


「あなたなら…あの憎き…ザクロ大佐を…殺せる…」


「じゃあ…あなたの大切な人を殺した魔族って…?」


「ザクロ…大佐です…」


「そうだったんだ…」


「部下になり…殺す機会を…ずっと…伺いましたが…私の実力では…殺せなかった…のです…」


「そっか…」


それを聞いたザクロ大佐はというと…


【我を殺そうとしていただと!】


怒りで机を叩いた。


「情け…ないですよね…」


「安心して…」


「えっ…?」 


「ザクロ大佐は必ず倒してみせるよ…あなたの仇も含めて…」


「本当に…?」


「うん…」


「ありがとう…ございます…」


「きっと萌子さんのいる所に旅立てるよ…」


「そうだと…いいです…」


「アーノ大尉…」


「あなたの…名前を…教えて…ください…?」


「ソノサキユリだよ…」


「ユリさん…素敵な…名前…ですね…」


そう笑顔で言い残して目を閉じると、アーノ大尉は光の粒になって消えていった…


(終わりましたね…)


(うん…)


「んっ…あれ…私…?」


「アリスちゃん!」


目覚めたアリスの元に駆けつけた。


「よかった…生きてたんだね…」


「そう簡単には殺られないよ…」


「戦いはどうなったの…?」


「倒したよ…私が勝った…」


「じゃあ、どうしてそんなに悲しい顔をしてるの…?」


「だっだって…うぐっ…うぐっ…」


優梨は涙が溢れながら、アーノ大尉との出来事を話した。


「そうだったんだ…アーノ大尉にそんな過去が…」


「うん…だから…許してあげてくれるかな…アーノ大尉のこと…?」


「わかった。許すよ。」


「ありがとうね…うぐっ…うぐっ…」


「おいで。」


「うわぁぁん…」


優梨はアリスの胸でひたすら泣いたのだった…


「優梨さん…」


「アイルちゃん!」


ふらついたアイルをメアが受け止めた。


「もう戻って…来てくれたんですね…?」


「女神様に報告して、急いで戻って来たから…」


「そうなんですね…ありがとうございます…」


「戦いは…?」


「勝利しましたよ…優梨さんが…」


「よかった…」


「ええ…よかった…」


「もしかしてスキル唱えたの…?」


「はい…一度だけ…」


「少し休んで…?サポート代わるから…?」


「じゃあ…最上階に着くまで…頼みます…」


アイルは眠りについた。


「アイルちゃん…」


そして時を同じくして、アーノ大尉が倒された事でミーナが数時間ぶりに目覚めた…


「あれ…?私、いつの間に…眠って…?」


「ミーナちゃん!!」


「ソフィーちゃん?」


「やっと目覚めてくれたね…」


「ずっと付き添ってくれてたの?」


「だって…心配だったから…」


「ありがとう。ソフィーちゃん。」


「ミーナちゃん…」


「アリスはもしかして…?」


「優梨ちゃんと一緒に魔族退治に行っちゃった…」


「そっか…」


「ごめんね…二人を止められなくて…?」


「謝ることないわ。二人が選んだことだもの。」


「でも、今頃…二人は魔族達に殺されてる…可能性だってあるんだよ…?」


「だいじょうぶよ。」


「どうしてそう言い切れるの…?」


「アリスは私の妹よ。アリスは最強なんだから。」


「そっか…」


「それにユリちゃんも付いていてくれる。彼女も強いんだから。もしかしたら、アリス以上に。

 あの二人なら、きっと魔族を倒せるはずだわ。」


「なんか説得力がある…」


「さてと!」


ミーナはソファーから起き上がると、そのままキッチンに向かった。


「まっ待って!まだ休んでいた方がいいよ!」


「私、あの二人が帰ってきたら、すぐに美味しいご飯を食べさせてあげられるようにしておきたいの。

 それだけが私が二人にしてあげられる唯一の事だから。」


「だっだったら、私にも手伝わせて…?」


「いいの?」


「うっうん…」


「ソフィーちゃんにはいつも世話になってばかりね?」


「気にしないで…好きでやってることだから…」


「本当にソフィーちゃんみたいな優しい親戚がいて、私は幸せ者ね。感謝しなくちゃ。」


「優しい親戚か…」


「何か言った?」


「あっううん、何でもないよ…?」


「そう?それじゃあ、さっそくご飯作り始めましょうか。」


「うん…」


ソフィーは切ない恋心を必死に隠すように寂しい表情で笑ったのだった。



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