45話 アリスvsザクロ大佐の部下(四階編①)
現れたのはへらへらとした表情をした人型の蛇の魔物だった。
「やっぱりおまえだったか…」
「ウルフとの戦いを見てたぞ?おまえがあの10年前のお嬢ちゃんだよな?」
「ああ、そうだ。」
「オレもおまえのことは覚えてるぞ?
自分の姉を傷つけられて、チビのおまえが泣きながら強く睨みつけてきたのをよ、あの時はゾクゾクした、最高だったな。」
「最高だっただと…?」
アリスは怒りを顕にした。
「グヘヘッ、いいねぇ、その表情、あの時を思い出すぞ。」
「笑うんじゃねぇ!」
「グヘヘッ。」
「だから、笑うなって…」
アリスは膝をついて、両手で顔を隠した。
「あなた最低だね!」
「ひでぇな、まだ会ったばかりだぞ。」
「今のはオラもムカついたべ、おまえ、正真正銘のクズだな?」
「おまえにだけは言われたくないな、クマの小娘?
ザクロ様に恩恵を受けながら、裏切った大罪人だ、このまま無事に城を出られると思ってるのか?」
「ふん、そんなこと知るか、オラのご主人様はユリ一人だけだ!」
「ザクロ様じゃなく、こんな人間の小娘ごときに服従するなんて、おまえ馬鹿じゃねぇの。」
「オラのご主人様を馬鹿にしやがったな!」
クマ子は怒った!
「やるか?本当はあのお嬢ちゃんと戦いたかったが、おまえでもいいんだぞ?」
「望む所だべ!」
「待って、クマ子ちゃん!冷静に考えよう!」
「んだけど、オラは!」
『アタシがやる…』
«えっ…?»
アリスが立ち上がった。
「おめえさん、戦えるのか…?」
「そうだよ…?泣くほど辛いはずでしょう…?」
「誰が泣いてるって?」
両手を外して顔を見せると、目つきが鋭くなっていた。
「泣いてたわけじゃないんだ…?」
「度を超えそうなぐらい怒りを感じて、暴走しそうになったから、抑えてたんだ…」
優梨とクマ子はあまりの殺気にゾクッとした。
(なっなんだべ…こいつ、こんな豹変するやつだったのか…?)
(いつもより迫力がある気がする…)
(ノートにアリスさんは怒ると人格が変わると書いてありましたが…実際に見ると鬼みたいですね…?)
(でもそれだけ怒ってるんだ、そしてそれがアリスちゃんを強くする…)
「結局、誰がオレと戦うんだ?早く決めてくれよ。」
「アタシに戦わせて欲しい…」
「わかった。戦って。」
「ありがとう…」
「そのかわり無茶はしないでね?」
「うん…」
「行くよ。クマ子ちゃん。」
「おっおう…?」
二人は闘技場の外に出た。
「グヘヘ、嬉しいぞ、おまえが戦ってくれて?」
「そのキモいにやけ顔を消し炭にしてやる…」
「言ってくれるな?だが、オレの真の姿を見ても同じことを言えるかな?」
スネーク大尉は黒いオーラを放った!
「ぐわっ!なんだ!」
(まさかこれって…?)
(敵の魔力が上昇しています!)
「シャァァッ…完了した…」
スネーク大尉は巨大な大蛇になった。
「あれがあいつの真の姿なのか…?」
「そうみたいだね…?」
「オラより遥かに強そうだぞ…?」
(メアちゃんはレベルを見ることとか出来る…?)
(はい!出来ます!)
(教えて!スネーク大尉のレベルって!)
(レベル50です!)
(クマ子ちゃんの言った通りだ…)
「この姿を見ても同じことが言えるか?お嬢ちゃん?」
「だから?」
「いいねぇ。その全く動じてない感じ。それなら遠慮なく戦えるな!シャァァッ!!」
「それはこっちのセリフだ…」
アリスの右腕が青い炎のオーラに包まれた。
「ユリ、戦いをやめさせた方がいいんじゃないか…?あいつ一人じゃとても倒せるとは思えないべ…?」
「私はアリスちゃんを信じてる…必ず倒せるはずだよ…」
「その割には体が震えてるじゃねぇか…?」
「バレたか…」
「でもいい関係だな。お前達。」
「クマ子ちゃん…」
「仕方ねぇな。今回だけは応援してやるか。頑張れよ!」
「ありがとう。頑張って!アリスちゃん!」
「二人とも…」
「負けたら承知しないべ!」
「あいつめ…」
「じゃあ、始めようか、シャァァッ!!」
「見てろよ!」




