41話 優梨vsザクロ大佐の部下(三階編②)
「ガォウー!!ガォォ!!ガォウー!!ガォォ!!」
見た目は小さくて可愛い幼女姿のムカムカベアーは
優梨に容赦なくパンチやキックの猛攻撃をしてきた!
「ちょ!わっ!」
それを優梨はひたすらギリギリで躱していた!
「ガォウー!!」
「ひぃっ!」
外した攻撃で岩を粉砕した!
(まっマジか…?見た目が完全にロリなのに…なんてパンチ力なの…?漫画じゃん…?)
(見た目で人を判断してはいけないのいいお手本です!油断してたら、優梨さんでも殺されちゃいますよ!反撃してください!)
(小さな女の子に手なんか出せないよ〜!)
その姿をアリスが心配そうに見ていた。
(ユリちゃん…きっと攻撃出来ないでいるんだな…多分、アタシでも同じ考えになると思う…)
「おい!」
「えっ?」
攻撃をするのを止めた。
「もしかして疲れた…?」
「そんなわけねぇべ!子供扱いするな!」
「ごっごめん…?」
「小娘!」
「なっ何…?」
「何でさっきから攻撃を受け流すばかりで、おまえから攻撃をして来ねぇんだ!」
「えっ…だって…」
「だって何だよ!ナヨナヨしやがって!」
「今の姿のあなたと戦うのは…気が引けるというか…何というか…」
「ムカァッ!おまえ、オラをなめてんだな!」
「そっそんなつもりで言ったんじゃなくて!」
「わかったべ…」
「わかってくれたの!」
「だったら今、言った言葉を後悔するぐらいボコボコにしてやるべ!」
「全然、わかってないじゃん!」
「見てろ!これが魔物になって手に入れたオラの力、『ベアベア・ムカムカ・パワーアップ』だべ!ガォウー!!」
くま耳幼女は叫びながら、黒いオーラを体中に纏い始めた!
「ぐっ!何が起きてるの…?」
「アタシでもわかるぐらい、邪悪な力がどんどん強くなってる!」
(優梨さん、気をつけてください!
レベルが38→45にレベルアップしました!)
(そっそんなに!?)
「待たせたな、小娘!」
瞳がグォォッと闘志の炎で燃え上がっていた。
「ここからが本番だべ!」
(ゴクリッ…確かにさっきより、迫力が増したように感じる…)
「覚悟しろ!ガォウー!!」
ダッダッダッ!!と全速力で向かってきた!
「くらえー!!ベアベア・ムカムカ・クロー!!」
「わっ!?」
爪の攻撃を躱すと、地面に大きな引っ掻き傷が出来た。
(なんて破壊力の攻撃でしょうか…?)
(ひぇぇ…あれをまともにくらってたら、今頃、私はバラバラになってたよね…?)
「躱すのだけは本当にうめぇな、でも連撃だったらどうだ!ガォウー!!」
「当たったら、殺される〜!」
「ユリちゃん!」
優梨は必死に逃げ回り攻撃を躱した。それによって、闘技場の中は最初の原型を留めていないほど荒れた状態になった。
「ハァハァ…もう隠れられる岩もこれしかないよ…」
「降参して!!」
「えっ…?」
「戦えないのは見ていればわかるよ!
このままじゃ、殺されるだけだから!」
「でっでも、降参したら町が!」
「ユリちゃんがみすみす殺されるのを黙って見てられないよ!」
「アリスちゃん…」
「掴・ま・え・た!」
「ほえっ!?」
くま耳幼女は両腕を掴むと、ニコッと無邪気な笑顔を見せた。
「いっいつの間に!?」
「仲間と喋ってて、気がつかなかったべ?」
「腕を解いて!早く逃げて!」
(アリスさんの言う通りです!早く!)
「わかった!せーの!あれっ…?全然、解けない…?」
「当たり前だ!オラは力持ちだからな!おりゃーー!!」
「きゃぁぁ〜!!」
ブルン!!ブルン!!と勢いよく振り回した!
「やめて〜!!目が回る〜!!私、酔いやすいの〜!!」
「誰が止めるか!前にやられたお返しだべ!このまま吹き飛べー!!」
「いやぁぁ〜!!」
「ユリちゃん!」
優梨は思いっきり投げ飛ばされて、天井に叩きつけられた!
「ガハァッ…流石に効いた…」
そして頭から地上へ落下していった!
「受け止めなきゃ!」
「駄目!私を助けたら、戦いが負けになっちゃう!」
「でっでも!」
「安心して!」
(あの術を唱えてください!)
(うん、そのつもりだよ!)
「オラの勝利だべ!」
「エンジェル・ウイング!!」
「ぐっ!なっなんだ!?眩しい!?」
「この光って!」
優梨の背中に天使の羽が現れて、パラパラと純白の羽根を落としながらゆっくりと地上に降りた。
「なんて…綺麗なんだべ…」
つい言葉が溢れるほど見惚れていた。




