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百合パワーは最強なのです!!〜女子高生が与えられたスキル「百合を感じるたびに強くなる能力」で異世界を救うかもしれない話〜  作者: ぎゅうどん
百合で強くなる女子高生とアリスvsザクロ大佐の部下達の戦い!編
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38話 優梨vsザクロ大佐の部下(二階編①)

ウルフ少尉を倒した二人は次の対戦相手が待つ2階に向かうために、闘技場の奥にあったトンネルを通って暗い空間の中の一本道を進み、そして扉まで辿り着いた。


「ここだね…次の対戦相手が待ってる部屋って…」


「アリスちゃん…?大丈夫…?

辛そうな表情してるよ…?」


「平気だよ…」


「本当…?」


「さぁ、グズグズしてないで、入るよ。」


「あっうん…?」

(明らかに無理してるように見えるけどな…)


(余程、次の相手とも戦いたいのではないでしょうか?)


(次の相手…?あっそっか!次の相手は…)


扉を開いたら、中は明かりの少ない、闘技場というよりもダンスホールのような作りになっていた。


「ここって本当に闘技場なの…?」


「アタシにもわからない…?」


すると真ん中でスポットライトが光り、現れたのは優梨達をこの城まで案内したバット中尉だった。


「フッフッフ。お二人方、お待ちしておりましたよ。」


「2階で待ってるって言ってたもんね…」


「手の込んだ登場しやがって…?」

 

(アリスちゃん、もう戦うモードに入ってる…)


(口調と目つきが変わりましたからね。)


「戦いは見てましたよ。とても素晴らしかった。

 あなたならウルフ少尉を簡単に倒せると思ってましたよ。」


「お世辞言ってんじゃねぇ、反吐が出る…」


「あの方は我々の中でも最弱で、虚勢を張るだけの見るに堪えないただの能無しのおバカさんでしたから。」


「ひどい…仮にもあなたの仲間だったんでしょ?

どうしてそこまで言えるの…?」


「あんな雑魚さんに同情までしてくれるんですか?あなたのお仲間は随分とお優しいことで、我々は魔物、あなたの敵なんですよ?」


「そっそうだけど…」


「安心して…アタシも今の話を聞いてたら同じ気持ちになったから…」


「アリスちゃん…」


「おや?あなたもですか?」


「わるいか…」


「あなた方、偽善者にも程がありすぎるんじゃありませんか?

 汚い表現だと思いましたが、聞いててこちらも反吐が出そうになりましたよ。」


「何だと…」


「あなた何もわからないんだね…?」


「何が仰っしゃりたいのですか?」


「あなたには優しさがわからないんだ。

 だからそんなことが簡単に言えるんだよ。」


「理解不能な事を仰らないでほしいものです。

 優しさなど、我々、闇を糧とする者には

 ただの無用な長物でしかないですからね。」


「あなたには何を言っても駄目みたいだね?」


「はい。そういうことです。

 くだらないお喋りはこのぐらいにして、戦いを始めましょう。戦うのはどちらですか?」

 

「おまえも10年前に町を破壊した奴だ…アタシが絶対に倒してやる…」


しかし意気込みとは真逆にアリスは足がふらついて、倒れそうになった。


「やっぱり辛そうだよ…?」


「平気だって…」


「嘘だ!ちゃんと正直に言って!」


「・・・・体力はさっき飲んだ薬で回復したんだけど…魔力を考えてるより使いすぎたみたいで…まだ回復しきれてない…」


「ほら!」


「でっでも…」


「私が10年前の町の仇を討つよ。」


「ユリちゃん…」


「信じて、必ず倒してみせるから。」


優梨は熱い瞳でアリスの手を握った。


「わかった…信じる…」


アリスは場外に出た。


「戦うのはあなたで決まったみたいですね?」


「容赦しないよ!」


「あなたも虚勢を張るタイプのようだ。

 いいでしょう。その虚勢がどこまで続くか見物ですね。」


バット中尉は空中高く飛んで、優梨達を見下ろした。


(優梨さん!気をつけてください!

 バット中尉はレベル35、ウルフ少尉より上です!)


(わかった!)


「飛ぶ手段もない人間ごときが私に勝てると思った事を後悔させてあげますよ!

 くらいなさい!ヘビー・ウェイブ・ボイス!!

 ギォォォォーー!!」


«きゃぁぁ!!»


バット中尉のとてつもない超音波の叫びを二人はまともに受けてしまった!


「なんてうるさい音なの、鼓膜が破れそう!」


「あっ…」


「アリスちゃん!!」


アリスは耐えきれず白目を向いて倒れた!


(助けに行かなきゃ!)


(安心してください!気絶しただけです!)


「どうでしたか?私の攻撃は?」


「ハァハァ…ひどいじゃない!

 戦ってないアリスちゃんまで巻き込むなんて!」


「おや、それは気づきませんでした。」


「絶対にわざとでしょう!」


「まぁ、でもこの程度の攻撃に耐えきれない方が悪いのでは?」


「許さない!!」

 

「だったら、攻撃してみてくださいよ!

 出来ればですが!ギォォォォーー!!」


「ぐわぁっ!!」

(だっ駄目だ…こっこのままじゃ…私も…)


(優梨さん!意識をしっかり持ってください!)


(はっ!一瞬、危なかった…助かったよ…)


(反撃に出ましょう!優梨さん!)


(そっそうだね、やるぞ…)


優梨は必死に起き上がると手で鉄砲の形を作り、狙いを定めて放った!


「フレイム・ショット!!」


指先から勢いよく飛び出した炎の弾丸はバット中尉の胴体へ一直線に向かって行った!しかし…


「こんな攻撃、簡単に躱せますよ。」


バット中尉は素早く躱して、当たらずにドカーンッ!!と爆発した!


「残念でしたね。空中を飛んで直接、私に攻撃でもしない以上、あなたに勝機はありませんよ?

 さぁ!くらいなさい!私の美声をギォォォォー!!」


「いやぁっ!!」


(優梨さん!!)


(ごめん…そろそろ限界…)


(諦めないでください!!)


(でっでも…攻撃は…躱されちゃうし…私が空を飛べたら…)


(今こそあの術を唱える時です!)


(あの術…って、もしかして!?)


「意外に粘りますね?通常の人間なら私のこの攻撃を2回もまともにくらったら、確実に意識を失うはずなんですが?」


「アリスちゃんとの約束を果たすんだ…恥なんか捨ててやる!」


「恥?何の話をしているんですか?」


「エンジェル・ウィング!!」


「くっ眩しい!!一体、何が起こっているのですか!?」


優梨のことをキラキラキラッ!と光が包み込んで、瞳に百合の花のシルエットと頭の上に輝く輪っか、背中に真っ白な美しい羽が現れた!


「あっあの姿はまさか!?」


ザクロ大佐もそれを見て驚いていた。


【ばっ馬鹿な!この世界には実在出来ない存在のはず!】


「やはりですか…」


そして意識を取り戻したアリスは優梨のその姿を見て、呟いた。


「ユリちゃん…まるで…天使みたい…」




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