36.5話 その想いが百合パワーの源。
初戦の相手がいる場所に着くまで、アイルにこれまでの状況を説明した。
(一対一の戦いですか。予想通りですね。)
(敵はレベル30以上あるらしいからね…
倒すって大口叩いたけど、内心は勝てるか不安だよ…)
(不安になることありませんよ。確かに今のレベルは"20"でまだ差はありますが、スキルを発動すればそんなハンデないようなもんですから。)
(私、いつの間にかレベル20になってたんだね…?)
(戦う前に今のステータスをお伝えしておきましょうか?)
(お願いするよ…?)
(現在、レベルは20、体力は60、防御力は32、俊敏さは27、優れた勘は25、術力は29です。)
(数字で聞くと着実に力がついてきてるのが、わかって少しは安心できるな…)
(今の術力なら、教えしてもよさそうですね。)
(なっ何を…?)
(実は魔王や魔族達に有効的な属性の術があるんです。)
(もしかして光属性とか…?)
(すごい!大当たりです!よくわかりましたね?)
(この世界、世界観がゲームっぽいから、何となく…?)
(ですが、ただの光属性ではありませんよ?)
(ただの光属性じゃない…?)
(私がお教えしたいのは…)
「えっ!?」
「どっどうしたのいきなり驚いて!何か罠でもあった?」
「あっいや、だと思ったんだけど、気のせいだった…」
「そっそう…?」
(私にそんな術唱えられるの…?というか似合わないんじゃ…?)
(唱えられますよ!それに絶対に似合います!)
(わっわかったよ…少しでも勝率が上がるなら、恥ずかしさも耐えることにする…)
(救世主らしくなってきましたね。)
(アリスちゃんと町の人達のためだから…)
(優梨さん。)
(私、頑張る…)
(全力でサポートします。)
(アリスちゃんは私が守るんだ…)
(その強い同性への想いがあなたのスキル、百合パワーの源となるんです。)
(そっか。それが今ならよくわかるよ。)
優梨は胸の鼓動を確かめて、アリスを見つめていた。
「着いたみたいだね…」
大きな扉があった。
「いよいよか…」
「じゃあ、開けるよ。」
「うっうん…」
(一体、どんな敵が待ってるんだろう…)
アリスが扉を開いた。すると中は岩場だらけの闘技場になっていた。
「広い…本当にここって城の中なの…?」
「多分、異空間だろうね…ザクロ大佐が作り出した…」
『ヘッヘッヘ、待ってたぜ、お嬢ちゃん達。』
現れたのは人型の狼だった。
「あなたが初戦の相手なんだね…?」
「ああ、そうさ、俺の名前はウルフ少尉だ。」
「そっそんな…どうしてあんたが…
あんたはあの時…私が倒したはずじゃ…?」
「どっどうしたの!アリスちゃん!」
「あいつは10年前にアタシが殺したはずの魔物なんだ…」
「えっ!?」
優梨はその言葉に驚いた。




