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28話 百合度60%のライバル

次の日の朝、私はミーナさんの作ってくれた朝食を食べた後、昨日と同じくアリスちゃんから指導を受けるために森に向かうことになった。


「きょ…今日から本格的に…冒険者に必要な知識を教えていくね…まっまず初めは森のモンスターを狩って…素材を取る練習だよ…わかったかな…?」


「わかりました…?」


「そっそれじゃあ…出発…」


(アリスさん、明らかに態度がおかしいですね…?)


(昨日の夜からなんだ…?私と目が合うたびに目線をそらすんだよ…?)


(それって、もしかして!)


(アイルちゃん?)


(あっ〜!!)


(なっ何!?いきなり大声上げて!?)


(思った通りでした!今、アリスさんで優梨さんへの百合度を測定してみた結果!♡の数が3つになってますよ!)


(♡の数が3つ…?)


(お忘れですか!♡の数が3つだった場合は百合度60%、優梨さんに強く百合感情を抱いている段階だって前に説明したじゃありませんか!)


(覚えてるよ…?でも確かミーナさんの測定の時も同じ数だったよね…?)


(あの時とは全然違います!アリスさんは優梨さん本人に百合感情を抱いているんです!)


(なっなっなっ何ですと〜!?)


優梨は雷に打たれたような衝撃を受けた。


(きっかけはわかりませんが、これほど百合度が高くて、戦闘力も強い、絶対にアリスさんはパーティーに誘うべきです!)


(アリスちゃんが…私に…私に…)


(あの…すごく動揺されてますか…?)


(だっだって…私に百合感情を抱く人なんていると思ってなかったから…姿だってそっくりだし…胸以外は…)


(等々、胸の大きさの違いを自分でも言うようになりましたね…?)


(それに一番はあの美しい姉妹百合の邪魔をしたくないのに…)


(キスしたのに?)


(あっあれはアクシンデントいうか!私からしたわけじゃないし…)


(でも優梨さんもあれからアリスさんを意識してますよね?)

 

(そっそんな意識なんて…)


(顔が赤くなってるのが何よりの証拠ですよ。)

 

(もっもう…)


「ユリちゃん、聞いてる…?」


「えっ!なっ何?」


「昨日、唱えてたスリープ・ショットって、独学で覚えたの…?」


「独学…?」


「Cランクでやっと唱えられる術だし…教えてくれた師匠みたいな人とかいるのかなって…?」


「まっまぁ、そうだね…師匠みたいな人はいるよ…?」


「やっぱりそうだよね…ギルドに登録する前から鍛えてなきゃ、あんなすごい動き出来るはずないから…」


「アリスちゃんには師匠とかいるの…?」


「いないよ…?全部、独学…」


「その方がすごいと思うけどな…?」


「アタシ…昨日は負けたけど…もし、次に戦うことがあったら、負けないから…」


「もしかしてライバルだと思ってくれてる…?」


「そうかもしれない…」


「そっそっか、ライバルか…」

(ライバル百合ってことかな…?)


(その可能性はありますね。)


(それってエイラって子も同じなんじゃ…?)


(まさか。エイラさんに限ってそれはありませんよ。)


(そっそうですか…)


「ねぇ…何でスリープショットだったの…?」


「えっ…?」


「あんな難しい術を唱えられたんだから…ほかの術も唱えられたはずだよね…?どうしてあれで決着を着けたの…?」


「こんなこと言ったらおかしいと思われると思うけど…戦いとはいえ、アリスちゃんを傷つけたくなかったんだよね…」


「アタシを…?」


「うっうん…」


「そっそうなんだ…」

(そんなにアタシを大事に思ってくれるなんて…)


二人はお互いの顔を直視できないぐらい緊張しながら歩き、目的地の森まで着いた。


「そっそれではさっき話したように…森のモンスターを狩って、素材を取る練習を始めるね…」


「はっはい…よろしくお願いします…」


「じゃあ…手頃なモンスターを探して…」


すると近くの茂みからガサガサッと何かが動く音がした。


「ちょうどよくモンスターが近づいてきてるみたいね!」


「本当だね…?」

(アリスちゃんの表情が変わった…?)


(獲物を狩るプロの目ですね。)


「現れるよ、注意してね!」


「はっはい!」


すると勢いよく見慣れたモンスターが現れた。


「アガアアッ…」


それは優梨が倒したことのあるグレッター・ゴブリンだった。


(なっなんだ…見たことあるゴブリンじゃん。あれなら、私でも倒せるよね?)


(いえ、前のゴブリンとはどこか様子が違うみたいです…?)


(えっ…?)


(邪悪なオーラを纏っているように見えます…)


(確かに言われてみれば暗い感じがするような…?)


「その姿、取り巻く邪悪なオーラ、まさか…?」


「アリスちゃん…?」

 

私はアリスちゃんの強張った表情を見て、ただ事ではない事態が起こっているんだと理解した。



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