26.5話①お風呂での回想〜(優梨)
「ふぅ…疲れた…」
アリスちゃんからの指導初日をすぐに終わらせてしまって、その償いじゃないけど、つい先程まで、ミーナさんの経営している洋食屋の接客のお手伝いをしていたのだ。そして今はお風呂に入っているわけ。
「ミーナさんの洋食屋、繁盛してるんだなぁ…
お昼とはいえ開店した瞬間、あんなにお客さんが入ってくるなんて…
閉店の夜7時までずっとお店の席、満席状態だったし…それになにより…」
店の制服がフリフリのスカートが特徴的なウェイトレスの衣装だったのだ…ミーナさんは喜んでくれたし、アリスちゃんは慣れてるみたいだったから、恥ずかしいから着れないなんて言えなくて、それがきつかった…
「まぁでも初めてバイトみたいなことしたな…ちょっと楽しかったかも…」
〜自分が接客してた時のことを思い出す〜
『いらっしゃいませ。こちらの席へどうぞ。』
「やっぱ、恥ずい!ブクブクッ!」
恥ずかしさのあまり湯船に潜った。
「プハァ!でも…一番やっちまったのは…森でのことだよね…アリスちゃんには絶対に秘密にしなくちゃ…」
"お姉ちゃんの唇…柔らかい…"
「あかん、油断したら思い出しちゃう!ブクブク!」
再び湯船に潜った。
「プハァ!落ち着け…私…ほかのことを思い出そう…
そうだ、そういえば、ミーナさんの親戚が手伝いに来てたな…名前は確か、ソフィーさん。
私より優しくて、ミーナさんみたいに綺麗な人だったな…)
〜ソフィーさんとの会話を思い出す〜
「へえ。ソフィーさんはこのお店が再開した当時から、お手伝いをしに来てるんですか?」
「うん。少しでもミーナちゃんの役に立ちたくてね。」
「ソフィーさんはこの制服って着たりしないんですか?」
「あっうん…私にはその可愛い制服は似合わないと思うから…」
「もったいない。絶対に似合いますよ。」
「そっそんな、私なんて…」
「アリスちゃんとミーナさんにも聞いてみましょうよ。絶対に似合うって言うと思い…」
「駄目っ!!」
「だっ駄目でしたか…?」
「ごめん、大声出して…アリスちゃんに聞くのはいいけど、ミーナちゃんに聞くのは駄目…」
「そっそうですか…?」
「ごめんね…」
どうしてミーナさんに聞くのをあんなに止めたんだろう?それにあの照れたような表情…
「わからん…」
優梨は首を傾げた。
「クシュンッ…誰か私の噂でもしてるのかな…?」
ソフィーは机の写真立てを手に取った。
「ミーナちゃん…」




