21.5話 隊長さんの娘さんってもしかして…
「アリス、こりゃ、また派手にやってくれたな?」
「ゴクリッ…本当ですね…」
「コイツら全員、完全に伸びてますもんね…?」
「ごめん、またやっちゃった…?」
「ワハハッ、いいんだ、いいんだ。気にするな。
どうせコイツらからいちゃもんつけられたんだろ?」
ワイルドな隊長さんはニコッと笑って聞いてきた。
「そっそうです!この人達からです!」
「なっ!ユリちゃん!?」
「その反応、違うのか?」
「アタシからあの不良達をけしかけて、ボコボコに倒したんだ!昨日、大事なお姉ちゃんに手をかけようとしたから!」
「そうなのか?」
「でも、結果、私が不良達に襲われそうになったのを助けてくれた形になったよね…?」
「そっそれは…」
「なるほどな、今の話でわかったぞ。要するにだ、
この不良達にお嬢ちゃんが襲われそうになっていたところにアリスがタイミング良く現れて、不良達をボコボコにして助けたって事なんだな?」
「はい!」
「ユリちゃん…?」
「隊長…いくら何でも都合よく解釈しすぎなのでは…?」
「そうですよ…?これほどの暴力沙汰をそれだけで片付けるのは…」
「いいんだ、いいんだ、この不良のコイツらに昨日あれだけ説教しといたのによ、まったくこりねぇで、またやりやがったんだぜ?コイツらが100%悪いに決まってる。だからアリスにはお咎めなし。」
「いいの?」
「そのかわり、暴力は振らないように気をつけるんだぞ?」
「わかった。気をつける。」
「ならいい。」
「でっですが…?王都の報告書にはどう書けば…?」
「そんなもん、町の治安を守るために協力してくれたとでも書いとけ。この不良共を説教部屋へ連れて行くぞ!」
«はっはい!»
「じゃあ、後のことは俺らにまかせて、お前達は帰って大丈夫だぞ。」
「もういいんですか…?事情聴取とかは…?」
「こんなもんするまでもねぇさ。アリスは遠くの依頼から今日帰ってきたばかりで疲れてるだろうし、確かお嬢ちゃんはミノリから聞いたが、明日から訓練だろう?帰って心身ともに休めといた方がいいぞ?」
「ありがとうございます…?」
「迷惑かけてごめん、ウイス隊長。」
「ワハハッ。気にするなって。それじゃあな。」
ワイルドだけど優しい隊長さんは縛り付けた不良達を連れて冒険者ギルドに戻って行った。
「見た目は怖いのに、とても優しい隊長さんですね…?」
「驚いたでしょう。」
「正直、驚きました…」
「あはは。だよね。最初会った時はアタシも同じ反応したよ。」
「でっですよね…?」
「だけど本当に部下思いで優しいおっさんだよ。
それに娘さんも優しい人だし。」
「隊長さんに娘さんが居るんですね…?」
「多分だけど、ユリちゃんも受付で会ってると思うけどな?」
「隊長さんの娘さんってもしかして…?」
「ミノリさんだよ?」
「あはは…やっぱり…」
私はミノリさん親子を姿は似てないけど、性格は確かに似てるなと思った。




