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21話 アリスさんは本当に強い冒険者だった!

「そっくりだが、おまえら双子なのか…?」


「私もそう思うぐらい本当にそっくりだよ…」


「じゃあ、あんなに似てて赤の他人なのか…?」


「信じられねぇ…」

「夢でも見てるんじゃねぇか…?」


「何をゴチャゴチャ言ってんだ、今さら謝っても許さねぇぞ、クソ不良共!」


«ひぃっ!»


(喋り方と目つき以外は…)


(あと胸の大きさもですよ?)


(そこいちいち言わなくていい…)


「どっどこの誰か知らねぇが、変ないちゃもんつけて、おれらの邪魔をするんじゃねぇ!」


«そうだ!そうだ!»


「こっちは昨日の恨みを晴らしに来たんだ!」

「せっかく兄貴が気に入った女と遊ぼうとしたのに、この小娘が邪魔したんだぞ!」


「無理やりだったくせに…?」


「うるせぇ!それが俺達のやり方だ!」


「だからァ…その昨日、おまえらが無理やり遊ぼうとした女がアタシのお姉ちゃんだって言ってんだよ?」


「なんだと…?じゃあ、昨日、あの女が言った強い冒険者の妹ってのが…」


「アタシだ!」


「そうだったのか…?全然、気づかなかったぜ…?」


「俺もだ…?」

「俺も…?」


(あの私にそっくりな姿見たら、すぐわかるでしょうが…どんだけ馬鹿なんだ、この人達…)


(仰る通りですね…)


「なるほどな、だがおまえの相手は後回しだ、今はコイツに借りを返さねぇと、俺達の気がおさまらねぇんだ、その後だったら相手してやる。」


「そういう事だ、それまで邪魔だからあっち行ってろ。」

「ヘっへっへ。それともお嬢ちゃん、俺達と遊びたいのかな?」


「またあのパターンかい…」


「キモ…」


「なんて言った?ボグゥッ!!」


«えっ!?»


その場にいた一同が驚愕した!なぜならアリスさんが躊躇なく近づいてきた不良をぶん殴ったからだ!


「おっおい!大丈夫か!」


「グべッ…」


「兄貴、完全に気絶しちまってる!!」

「そっそそれにひでぇ…たった一発食らっただけなのに…」

「ああ…顔がへこむなんて…」

「ゴクリッ…なんてパンチ力してやがるんだ…」


「次は誰だ?」


「おまえら予定変更だ!あの娘をボコす前にこいつを先にやるぞ!いいな!」


«おっおう!»


不良達がアリスさんの周りを囲んだ。


「あっあの!加勢しましょうか!」


「大丈夫、あなたはそこで見ていて。」


「はっはい…?」


「覚悟は出来てんだろうな!もう容赦はしねぇぞ!」


「御託並べてないで、かかってくるならとっとかかってこいよ?」


「生意気な!おまえら遠慮はいらねぇみたいだぜ!全員でやっちまえ!」


«おうよ!!»


不良の子分達、全員でアリスさんに襲いかかった!


「のろすぎる…」


しかし次々来る攻撃をアリスさんは呆れながら、危なげなく躱した。


「全然、当たらねぇ!?」

「どうなってるんだ!?」


「今度はアタシの番だ!コノォ!!コノォ!!コノォ!!コノォ!!」

 

「グヘッ!!」

「グハッ!!」

「グオッ!!」

「ブヘッ!!」

「ブハッ!!」


あっと言う間に襲ってきた不良を一人残らず、ぶん殴って倒した!


「あっ兄貴…グヘェ…」


「マジかよ…あんな一瞬で…あの人数を瞬殺だと…?」


(アリスさん、私より強くない…?)


(ええ…スキルを使った様子もありませんし…

 優梨さんより基礎戦闘力が高いのは確かですね…)


「残るはおまえだ、クズ野郎、おまえだけはさっきの奴らよりボコボコにしてやるからな?」


「なっなめてんじゃねぇぞ!!クソガキが!!」


アリスさんの挑発に我を忘れて殴りかかった!

でもそれを糸も簡単に片手で受け止めた!


「痛てて!はっ離しやがれ!」


「よくも、よくも、アタシの大事なお姉ちゃんに手をかけようとしてくれたな!コノォ!!コノォ!!コノォ!!」


「グフォッ!!グヘァッ!!グハァッ!!グギァ!!」


容赦なくひたすら殴り続けた!


(敵ながら見てられないぐらい…残酷にやられてる…)


(凄すぎますね、アリスさん…)


「あがっ…あがっ…グヘェ…」


「仕方ねぇ、このぐらいで許してやるよ。」


投げ飛ばされた不良は見るも絶えないぐらいボコボコになって完全に気絶していた。


(うわぁ…あの不良…あんなに殴られたし…絶対に全身骨折してるよね…?)


(なんか逆に可哀想に思えてきますね…?)


(自業自得だけどね…)


「ふぅ、終わった、さてと。」


アリスさんは私の手を握ってきた。

   

「あなたがソノサキユリちゃんだね!」


「はっはい…?そうですけど…?」

 

「お姉ちゃんから話は聞いたよ!

 昨日はお姉ちゃんをこの不良達から助けてくれたみたいで本当にありがとう!」


「そっそんな…というかさっきの怖い目つきと全然、違いますね…?今は普通だ…?」


「驚かせちゃったかな。アタシ、戦いになると性格が変わるみたいなんだよね。」


「そっそうなんですか…?」


「不思議、お姉ちゃんの言ってた通りだ。アタシに本当にそっくりだね?」


「私も驚きました…?」


「でもここは似てないな?」


アリスは優梨の胸を触った。


「きゃ!いきなり何するんですか!」


「あっごめん、ごめん、アタシの分身みたいで、つい。」


「むっむ…」


「わるかったって。」


『おいおい、こりゃどうなってるんだ?』


「えっ?」


冒険者ギルドから数名の隊員達を連れたかなりワイルドな顔立ちとムキムキな体をしたおじさんが現れた。


「だっ誰…?」


「ウイス隊長!」


「隊長!?この人が!?」



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