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19話 猫耳パジャマだよね、これ?

(なるほど。ミーナさん姉妹は苦労なされたんですね。)


(だからつい、私、頑張ったねって、年上なのに頭を撫でちゃった…)


(優梨さんらしいですね。)


(それって褒め言葉…?)


(さぁ、どっちでしょう。)


(もう…)


するとミーナがノックして部屋に入ってきた。


「お風呂湧いたよ。」


「ありがとうございます。」


ミーナさんにお風呂まで案内してもらった。


「着てる服は後で洗濯しておくから、かごの中に入れてね。着替えはここにあるから。」


「着替えまで用意してもらって、すみません。」


「気にしないで。」


「あの…聞いてもいいですか…?」


「何かしら?」


「どうしてミーナさんまで服を脱いでるんですか…?」


「あら。さっき約束したじゃない?

 一緒にお風呂に入ろうねって。」


「本気で言ってたんですか!?」


「本当は嫌だった…?」


「そっそういうわけじゃなくて…」


「じゃあ、入ってくれるのね。」


「はっはい…」


私は目を輝かせてるミーナさんに断りきれなくて、一緒にお風呂に入った。


(うぐぐ…やっぱりちょっと恥ずかしい…)


(一緒にお風呂に入るのがですか?)


(だっだって、誰かとお風呂に入るの慣れてないんだもん…私、一人っ子だったし…)


(友達とは入らなかったんですか?)


(小学の頃は幼馴染みのめぐみんとよく入ったけど、それ以降はあんまり…)


「体洗ってあげるわね。」


「あっいや、いいですよ!自分でも洗えますから!」


「私に洗われるの嫌…?」


「ぐっ…わかりました…お願いします…?」


「やったぁ。隅々まで綺麗にしてあげるわね。」


私の扱いがわかってきてる気がする…と思いつつ、ミーナさんに体を洗ってもらった。


「お礼に今度は私が背中洗いましょうか…?」


「あら。嬉しい。お願いするわね。」


ミーナさんの背中を洗ってる最中…


「なんだかアリスに洗ってもらってる気分だわ…幸せ…」


「それはよかったです…」

(ツルツルで綺麗な肌だなぁ…)


(見惚れてますね。)


(はっ!いや、そういうのじゃなくて!羨ましいなって見てただけで!)


(誤魔化さなくていいんですよ。そういう同性へのドキドキが百合パワーの源になるんですから。)


(そっそれもそうね…)


それからミーナさんの背中を流し終わると、一緒に湯船に入った。


「ぷはぁ…気持ちいい…」


「その表情もアリスにそっくりだわ。」


「そっそうですか…」


「ごめんなさいね。私はアリスとで慣れちゃってるから、気にしてなかったけど…浴槽、二人で入ると狭いわよね…?」


「確かに狭いですね…でも小さい頃にお母さんとよく一緒に入ってたことを思い出して…わるい気はしないです…」


「お母さんか。ユリちゃんの親御さんはどちらも元気なの?」 


「はい。元気にやってると思います。」


「元気にやってる?親御さんとは会ってないの?」


「えっと、故郷が遠い場所にあるもので…」


「そうなのね?」


(嘘にはならないよね…?私の暮らしてたのはこの世界じゃないもん…?)


(ですね。)


「寂しくはないの?」


「寂…もう15歳ですからね…流石にそれほどでは…?」


「大人なのね。」


「でも、今は小さい頃を思い出して…少し会いたくなったかもしれません…」


「ユリちゃん。」


「えっ…?」


ミーナは優梨を胸に抱き寄せた。


「この状況は一体…?」


「どんな事情があるかはわからないけど。今は一人ってことよね。私を姉でもいいし、お母さんだと思ってもいいから甘えてね。」


「あっありがとうございます…」

(なんかこの異世界に来て、初めてほっとしたかも…)


優梨は心の底からそう感じた。


(なんか見ていて癒やされますね。)


(アイルちゃんに見られてるの忘れてた…)


そしてしばらくしてお風呂から上がり、用意された服を着替えると…


「きゃー♡アリスと同じで似合ってるわ♡」


「ミーナさん…?これって…?」


私の着替えはどこからどう見ても猫耳パジャマだった。


「下着のサイズは大丈夫だったかしら?

 あなたに合いそうなブラのサイズがアリスの小さい頃のしかなかったんだけど?」


「大丈夫でしたよ…?ってそこじゃなくて!

 このパジャマって普通じゃなくないですか…?」


「家にいる時、アリスはいつもそれを着て寝てるから…あなたにも着て欲しかったんだけど嫌だった…?」


「わかりましたよ…着ればいいんですよね…着ますよ…」

 

「ありがとう!ユリちゃん大好き!」


(私に猫耳なんて似合わないと思うけどな…?)


(似合ってますよ。可愛いです。)


(可愛いって言われると照れるよ…)


それからミーナさんと少し雑談して部屋に戻った。


「一緒に寝たいなぁ?」


「そっそれはまたの機会で…?」


「駄目かぁ…わかったわ。また明日ね。おやすみなさい。」


「おやすみなさい…?」


ミーナさんは落ち込みながら、扉を閉めた。


「私と寝られなかっただけであんなに落ち込むなんて、ちょっと心が痛むな…まぁいいか…」


(優梨さん、今日は本当にお疲れ様でした。)


(色々とあって大変だったけど、何とか無事に異世界での1日が終わってよかったよ。)


(ゆっくり休んでください。)


(アイルちゃんもね。)


(お気遣いありがとうございます。)


(おやすみ。)


(おやすみなさい。)


「自分の居た世界に帰るためだ。明日も頑張るぞ。」


優梨は自分に言い聞かせると眠りについた。




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