14.5話 私って、美人の女の人に弱いのかな?
不良達との戦いから、数分後、冒険者ギルドから援軍の隊員達が数人やってきて、深手を負った仲間の介抱と私が倒した不良のパーティーを拘束したのち、ギルドまで連行して行ったのだった。
そしてミーナさんは軽く事情聴取を受けて、事の成り行きを説明していて、私にはショートヘアの女の隊員さんが頭を撫でながら話しかけてきていた。
「いやぁ、今回はすまなかったね?
なんでも君が不良のパーティーからミーナさんを助けて、さらに倒してくれたんだってね?
まだ子供なのにすごいねぇ、偉い!偉い!」
「あの…子供じゃありません…?私、これでも15歳です…?」
「そうなんだね!てっきり10歳ぐらいだと思ってた!」
「あはは…よく言われます…」
(素直な人だなぁ…?)
(多分、思いついたらすぐに口にしてしまうタイプの方ですね。)
(だろうね…)
「一人であの不良達を蹴散らすぐらいだし、君も中々の冒険者だと私は思うんだけど、何ランクなのかな?」
「まだ冒険者ではないです!これからなろうとは思ってはいますが…」
「まっマジか、素人なのにそんなに強いのか!
言葉通りだとするとまだ登録はしてないってことでいいのかな?」
「そっそうです!明日、冒険者登録しに行こうかなと思っていたもので…」
「じゃあ、明日、君が冒険者ギルドに来るのを楽しみにしてるね。私、普段は受付を担当してるんだ。」
「受付のお姉さんだったんですね?」
「そうだよ。そういえば君の名前まだ聞いてなかったよね、教えてくれる?」
「園咲優梨です…」
「じゃあ、ユリちゃんって呼ぶね。私の名前はミノリだよ。」
「ミノリさんですね…」
「これからよろしくね!」
「はっはい!」
「お〜い、ミノリくん〜!
お嬢さんへの事情聴取も終わったし、そろそろ、ギルドに戻るぞ〜!」
「わかりました〜!今、行きます〜!
そしたらユリちゃん!明日、冒険者ギルドで待ってるから。」
ミノリさんは陽気に手を降ると、冒険者ギルドに帰って行った。
「よく喋る、元気な人だったな…」
「それがミノリちゃんの長所だもの。」
「ミーナさん!」
「彼女は私の店によく食べに来てくれるお得意さんなのよ。」
「そうなんですね?」
「それじゃ私達も向かいましょうか。」
ミーナさんは私の手を握った。
「どっどうして手を?」
「この方が案内しやすいし、あなたが迷子にならなくて済むでしょう。一石二鳥じゃない。」
「迷子って…ミーナさんは私を何歳だと思ってるんですか…?」
「10歳ぐらい?」
「ミーナさんもですか…」
「もしかして手を繋ぐの嫌だった?」
「そっそんなことはないです…」
「ならよかったわ。」
手を繋ぎながら経営している洋食屋まで歩き始めた。
「見て。あの女の子可愛い。
お姉さんと仲良く手を繋いで歩いてるわ。」
「癒やされるわね。」
(優梨さん、完全に子供だと思われてますね…?)
(前の居た世界で慣れてるよ…)
「本当にアリスと一緒に歩いてるみたいだわ。」
「もしかしてアリスさんも私と同じぐらいの背丈なんですか…?」
「そうね。大体、同じぐらいじゃないかしら?」
「ちなみに歳は…?」
「14歳よ。」
「一つ年下か…」
「あっでも違う所もあったわ。」
「どこですか?」
「胸の大きさ。アリスは小さい背の割に結構あるのよ。」
「いいな…羨ましい…」
「アリスはそれがコンプレックスだって言ってたけどね。」
「なんて贅沢な悩み!」
「お風呂に入る時もじろじろ見ないでって隠すぐらいなのよ。」
「えっ…?まだ一緒にお風呂に入ってるんですか…?」
「そうよ?それがどうかした?」
「あっいえ…」
(もしかして、ミーナさんとアリスさんって…?)
「アリスはね。隣の町の依頼を受けて、今日で一週間以上も家に帰ってきてないのよ。私、寂しくて、寂しくて。」
「だからあの時、妹さんは町に居ないって言ってたんですね?」
「でもあなたに会えて、寂しさがぐっと減ったわ。」
「それって私がアリスさんに似てるからですか…?」
「その通り〜。」
ミーナさんは頭をスリスリしてきた。
(流石は美人…いい匂いがするな…)
(惚れましたか?)
(ちっちがうよ!)
(でもさっきから顔が真っ赤ですよ?)
(これはその…年上だし緊張してるだけで…)
(またまた美人に弱いだけじゃありませんか?)
(そっそうなのかな…?私って美人の女の人に弱いのかな…?)
(己の好みをさらけ出すのも百合パワーを高めるのに必要な事ですよ。)
(そっそうですか…)
「着いたわよ。ここが私の経営している洋食屋。」
「えっいつの間に!」
いつの間にか、ミーナさんの経営している洋食屋のに着いていたらしい。
「店の名前は"キッチンアリス"よ。遠慮せずに中に入って。」
「お邪魔します…」
店のドアを開けると店内の雰囲気にどこか懐かしさを感じた。
「なんだろうこの懐かしさは…以前にも来たことがあるような感じがする…」