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14話 美人のお姉さんを救い出せ!!(後編)

「お嬢ちゃん、危ないわよ!」

「こいつらに何されるかわからないぞ!」


 野次馬の人達が心配してくれていた。

 

「皆さん、大丈夫です。

 私、そんなに弱くないですから。」


「ほう、随分と自信があるんだな?」


(喋り方が違う…?あの子、アリスじゃない…?)


美女は困惑していた。


(優梨さん、本当にやるんですね?)

 

(うん、あのお姉さんを助けたいんだ。)


(わかりました。さっき教えた術を使えば、きっとあの人数相手でも勝てると思います。全力でサポートするので、思いっきり戦ってください。)


(ありがとう。そうさせてもらうね。)


すると行く手を阻む私に不良の一人が舐めた態度で近づいてきて…


「ヘっへっへ。お嬢ちゃん、怪我したくなけりゃそこをどきな?それとも俺達と遊びたいのかな?」


「アハハハッ、やめとけよ。」

「こんな色気もねぇチビなんか、つまんねぇだろ。」


「俺は小さい女の子も好きだぜ。」

 

「誰が遊ぶもんですか…?」


「なっ?」


私は呆れ顔をしながら、肩に触れようとした不良の腕を掴んだ。


「痛たた!!」


「おいおい、なにふざけてんだよ?」

「こんな小娘に腕を掴まれたぐらいで。」


「ふざけてねぇよ!こいつとんでもない力なんだ!」


「何!?」


「この変態、ロリコン!!」


「うわぁっ!?」


一本背負して地面に叩きつけた!


「今、何が起きたんだ…?」

「お嬢ちゃんが不良を地面に叩きつけたように見えたけど…?」

「まっまさか…?」


「おっおい、大丈夫か!」

「しっかりしろ!おい!」


「グェ…」


「嘘だろ…完全に気絶して伸びちまってるぜ…?」

「ばっ馬鹿な、今のたったの一撃でか…?」


「あなた達、今すぐお姉さんを離しなさい!さもないと全員、この人みたいになるよ!」


«ワァァッ!»


野次馬の人達が歓声を上げた。


「あっ兄貴、あいつ只者じゃありませんぜ!」

「まるで化け物だ!」

「ここは一旦、逃げたほうが!」


「おまえら、情けねぇこと言ってんじゃねぇぞ!

 それでもDランクの俺、デアス様のパーティの一員なのか、コラァ!」

 

«ひぃぃ、すみません!»


「しかしあんなチビのどこにそんな力が…」

 

「やっぱりアリスじゃないの…?」


「おまえ、今、アリスって言わなかったか?

 まさか、強い冒険者の妹って、あいつなのか?」


「違う…最初、あまりに似てるからそうだとばかり思っていたんだけど…

でもあの子は妹じゃないみたい…」


「そうかよ、まぁ、どうでもいいことだ。

 おまえら!大勢でかかれば怖くねぇだろ!

 生意気なその小娘をボコボコにしてやれ!」


「そっそれもそうだな?」

「みんなで一斉にかかれば怖くなんかねぇ!」


私の周りを武器を持った不良達が囲んだ。


「お前達、卑怯だぞ!」

「正々堂々と戦いなさいよ!」


「調子に乗るな、野次馬共!

 おまえらもボコボコにされたいか!」


その言葉に怯えた野次馬達は一瞬で黙った。


「ヒャハハッ、それでいいんだ、それで。」


「あなた達、本当に最低ね…?」


「おまえも黙れ、怒らせるようなこと言いやがったら、いい女だろうが、ボコすぞ?」


「ひっ…」


美女は恐怖から声が出なくなった。


「覚悟は出来てんだろうな、お嬢ちゃんよ?」

「もう容赦しねぇぜ?」


「そっちこそ覚悟出来てるよね?泣いて謝っても手加減しないよ?」


「舐めんじゃねぇぞ!」

「オレらは最強のデアス兄貴のパーティーの一員だ!」

「みんな、やれー!」


「大勢を相手にするのはゴブリン戦ですでに慣れてるよ!そりゃ!!そりゃ!!そりゃぁー!!」


「うわぁっ!!」

「グヘッ!!」

「グハァ!!」


優梨は次々に来る攻撃を躱してたり、流したりして、一人ずつ確実に倒していった。


「兄貴、やっぱりこいつ強すぎです!」

「俺達じゃ、全く歯が立たないです!」


「どわっ!!」


「残るは後、あなた達、二人を入れて、三人…」


«ひぃぃ!»


不良はまるで蛇に睨まれた蛙のようになっていた。


「仕方ねぇ、俺が直々に小娘を締めてやるしかねぇようだな?」


«兄貴!!»


「そのかわり、お前ら、俺が戦ってる間、この女を離すんじゃねぇぞ?」


«へい、了解です!»


美女の拘束を交代して、今度は不良パーティーのリーダー格が近づいてきた。

 

「駄目、駄目よ…助けに来てくれたあなた、私の事はいいから逃げて!

 あのデアスって人はギルドの隊員さん達を一瞬で倒した強者よ!

 あなたも無事じゃ済まなくなるわ!だから早く!逃げな…うぐっ!!」


「おっと、少し黙っててもらえるかな?

 兄貴の勝負の邪魔になるんでね?」


「うっうっ!!うっうっう!!」

 

不良の一人が美女の口を無理やり手で塞いだ。


「ヒャハハッ。これで集中して戦えるってもんよ。なぁ、そう思うだろ?お嬢ちゃんもよ?」


「このチャンスを待ってたんだ!

 スリープ・ショット!」


「ぐわっ!」

「ぐぉっ!」


「その術はまさか!?」


優梨は両手を鉄砲の形にしたら、不思議な音波みたいなものを飛ばして、二人の不良の顔にクリーンヒットさせた!

 

「兄貴…ごめん…急に眠気が…」


「俺もだ…ごめん…」


不良の二人はバタリッと気絶するように眠りについた。


«グガァァァ…»


「えっ?えっ?一体、何が起きて…」


それはつまり美女が開放されたということだ。


「お姉さん!私の所まで来てください!」


「はっはい!」


「おっおい、待て!おまえ! そっちに行ったらどうなるか、わかって!」


美女は不良の脅しに屈せずに必死に走って、優梨の後ろにしがみついた。


「よかった。上手く行った。」


「助けてくれてありがとう…あなた強いのね…?」


「そっそんな…」


「本当にアリスにそっくりだわ…」


「アリス…?誰ですか…?」


「私の妹よ…」


「妹さんですか。」


「そうか、そうかよ、完全に俺を怒らせたなァ…

 お前もこの小娘をぶちのめした後で、ボコボコにしてやるからな!!」

 

「ひぃ…」


美女は震えていた。


「お姉さん。怯えなくていいんですよ。

 私が絶対にあの最低野郎をぶっ倒してみせますから。」

 

「あなたはあの人が怖くないの…?」


「怖くないかと言われると怖いです。

 でもあなたを見捨てられませんから。」


「あなた優しいのね…まるで本当にアリスみたい…」


「ゴクッ…そうですか…?」


あまりの美しさに私は息を飲んだ。


「あなた、お名前は?」


「園咲優梨です…」


「ソノサキユリ。ユリちゃんか。素敵な名前ね。

 私はミーナよ。よろしくね。」


「ミーナさん…」


「いつまでお前らだけで喋ってやがるんだ!どこまでもコケにしやがって!」


「忘れてた、ミーナさん、離れていてください!」


「戦うのね…?」


「はい!」


「わかったわ…じゃあ、これだけさせて。」


「えっ?」


ミーナは顔を近づけると優梨の頬にチュッ♡とキスをした。


「なっなっなんで!?」


「あっもしかして、私にキスされたの嫌だったかしら…?」


「そっそんなことはありません!

 ただいきなりキスされて…驚いただけというか…どうしてキスを…?」


「いつも妹にしてあげるおまじないのキスなの。

 あなたが怪我をしないように願ってキスをしたわ。」


「そっそうでしたか。ありがとうございます。」


「絶対に負けないでね。」


ミーナはその一言を伝えるとその場を離れた。


「ハァ…ハァ…」

(アイルちゃん…?私、お姉さんにキスをされてから…胸がドクンッ、ドクンって痛いぐらいに高鳴ってるんだけど…一体、何が起きてるの…?)


(それは今までにないくらい強い百合を感じて魔力が桁違いに増幅している証拠です!)

 

(確かに力が漲ってくる気がする!!)


優梨の瞳に百合の花のシルエットが現れた。


「なっなんだ!?さっきより存在感が大きくなった気がするぞ!?」


「今なら誰にも負ける気がしない。」


「負ける気がしないだと舐めてんじゃねぇ!

 くらいやがれ、コノヤロー!」


不良は殴りかかった!しかし!


「遅い。」


「なっなに!?あっさりと躱しやがっただと!?」

 

「あんたみたいなクズ男は反省しなさい!!」

 

「グハァッ!!」


私は不良の顔を力いっぱいぶん殴って、遠くまでふっ飛ばした!


「あがっがっがぁぁ…なんだ…あいつは…グヘッ…」


不良は鼻血をだらだらに流して、白目を向いて気絶したのだった。


「ふぅ…終わった…」


「ユリちゃん!」


「わっ!?」


ミーナは強く抱きしめた。


「本当にありがとう。あなたを信じてよかったわ。」


「そう言われると嬉しいです…」


«ワァァッ!»


野次馬の人達が歓声を上げた。


「すごいわ!本当に倒しちゃった!」

「お嬢ちゃん、君、すごすぎるぞ!」

「あのギルドの隊員さんですら、倒せない相手だったのに!」

「本当にすげーよ!」


「そっそんな…」


「あとね、もうひとつ。」


「うにゃ!?」


ミーナは自分の大きな胸の谷間に優梨を抱き寄せてた。


「あなたが怪我をしなくてよかったぁ!」


「ミーナさん、苦しいですぅ…」


「あっごめんなさい!」


「ぷはぁ。」


「何かお礼をさせてもらえないかしら?」


「お礼なんていいですよ!そんなつもりで助けたんじゃないですから!」


すると優梨のお腹がグゥゥッと鳴った。

 

「あらら、その鳴りよう。余程、お腹が空いてるのね?」


「あはは…」

(すごく恥ずかしい…)


(お腹が空くのは仕方ないですよ!お昼は森の木の実しか食べてないんですから!)


(だっだけど…)


「私、この近くで洋食屋を経営しているの。

 よかったら、お礼として晩御飯をご馳走させてもらえないかしら?」


「いいんですか…?」


「もちろん。好きな料理を作ってあげるわ。」


「好きな料理を…」


(ご馳走になったらいかがですか。せっかくのご厚意ですし。)


(そっそうだよね…?)


「どうかしら?」


「じゃ…ご馳走になります…」


「やったぁ!」


「まっ待ってください!さっきみたいに抱きしめるのはちょっと!」


「あっごめんなさい?嬉しくてまたやる所だったわ。

 あなたが本当に妹のアリスにそっくりだから、つい。」

 

「そっそうなんですね…?」

(妹さんにもやってるんだな…あの強烈なハグ…)


「妹にやってあげると喜ぶのよ。」


「へっへぇ…?」


(実は優梨さんも嬉しかったり?)


(なっなんで!?)


(違うんですか?)


(まぁ、少し…)


(やっぱりでしたか。)


(これじゃ私が変態みたいじゃん!!)



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