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百合パワーは最強なのです!!〜女子高生が与えられたスキル「百合を感じるたびに強くなる能力」で異世界を救うかもしれない話〜  作者: ぎゅうどん
百合で強くなる女子高生のパーティー、サツキ大尉の過去を知る編
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130話 サツキの気まぐれ

リリカがウフ大尉を倒したその頃、ブラッド大佐の部下達は会議のために集まった。


「遅い!会議はすでに始まっているというのに一向に姿を現さないとはウフ大尉め、何をやっているんだ!」


「どうせ奴のことだ、村のどこかの家にでも忍び込んで、若い娘でも襲ってんじゃねぇのか?」


「うむうむ。ザーギ大尉の仰る通り、その可能性が高いでござるな。前々回の遅刻の理由もそうでござった。」


「だろ?だから待ってたって仕方ねぇし、とっとと

、このかったるい会議を終わらせちまおうぜ?」


「かったるい会議だと!!きさまはブラッド様の部下としての自覚が足りぬぞ、もっとやる気を出さぬか!!」

 

「へいへい。」


「反省してないな!?」


「グロウ中佐、ザーギ大尉は説教など聞く相手ではないだろう?そんなことより伝えねばならない重要なこととは何だ?」


「オッホンッ、そうであったな、今回の会議、皆に集まってもらったのはほかでもない、いずれやって来るであろう、冒険者のソノサキユリ達への対策についてだ。」


「対策ね?」


「万全に越したことはないでこざるからな。」


「その通りだ、現時点で決まっていることは誰をどの相手と戦わせるか、魔族を二人倒したとされる一番の強敵、ソノサキユリはあのサツキ大尉に戦わせるとして、残りの実質の相棒とされる青い炎を操るアリスという娘にブラッド様率いる私とソード少佐で戦い、もう一人のロリーヌという使い魔の娘にポワン大尉、ザーギ大尉、ウフ大尉の3人で戦ってもらう。よいかな?」


「わかった、我はそれでいい。」


「おいおい、ちょっと待てよ!いくらそのアリスってガキがあのソノサキユリの相棒だからって、ブラッド様と中佐と少佐の二人がかりで、たかだか使い魔の娘にすらオレら3人で戦えだと?ちと弱気というか慎重すぎやしねぇか?」


「きさまは知らぬのか?アリスという娘もソノサキユリと同じAランク冒険者なのだぞ?」


「Aランク冒険者!?」


「つまりランクが確かならば魔族を倒せるほどの実力があるということだな?」


「ああ、だから用心に越したことはないとブラッド様はお考えになられたのだ。」


「それを聞いて納得したぜ…?確かにAランク冒険者はオレら大尉クラスじゃ太刀打ちできねぇはな…?」


「拙者もAランクと戦うのは御免でござる。」


「納得したか?」


「ああ、本当は一人相手に3人で戦うなんてオレの趣味じゃねぇが、今回ばかりは作戦に従ってやるよ。」


「拙者も賛成でござる。」


「それがいいだろう。」


「どうやら、まとまったようだな。」


「それにしても、やけに素直に聞くんだな?ソード少佐?あんただって普段、そういう戦法で戦う柄じゃないだろ?」


「今回ばかりは戦う相手が強い、ただそれだけのことだ。」


「倒せるなら、プライドもいらねぇってことか、割り切ってるね。」


「とにかく奴らが来たらそれで頼んだぞ、いいな?」


「心得たでござる!」


「へいへい、了解。」


「わかった。」


「では会議を終了する。」


部下達はグロウ中佐を除いて会議からそれぞれの部屋に戻って行った。


「ハァ、ウフ大尉のやつ、結局来なかったぞ?部屋に行って、直接、説教せねばならんな?」


グロウ中佐はウフ大尉の部屋に行った。


「ウフ大尉、聞こえるか!私だ、グロウ中佐だ!」


しかし、応答はなかった。


「やはり村に行ったのかもしれんな、困った奴だ。我々と村の人間の間には生贄の子供を差し出す代わりに村に手を出さないと約束を交わしているというのに?まぁ、守る気など最初からない約束だ、関係ないのだが、明日の日の出までには戻って来るであろう、説教はその時でいいか…」


グロウ中佐はその場を後にした、すると…


「行ったか。」


近くの壁に影として潜んでいたリリカが人の姿に戻った。


(ウフ大尉が殺されたことをまだ誰も気付いていないみたいだ、これならまだ城の潜入を続行できる…)


リリカは見つからないように再び影になって、城の中を隅々まで探索した。すると気になる場所があった。


(あの扉だけ厳重に鍵がかけられて見張りが付いている、何かあるのか?)


その瞬間、誰かの足音が近づいてきた。


(誰だ?)


そこに現れたのはサツキ大尉だった。


(なぜあの子がここに?)


「何か、御用でしょうか?」


「ここって、生贄の子がいる部屋で間違いない?」


「そうですが?」


『眠れ、そして目覚めたら、今の事を忘れるんだ。』


「ふわぁぁ…」


(えっ?)


サツキ大尉は術で見張りを眠らせると、扉にノックして喋りかけた。


「聞こえるかい?聞こえたら返事して?」


「だっ誰ですか…?」


「ボクだよ、サツキ大尉。」


「サツキ大尉ですか!」


「しっ!あまり大声を出さないで?ほかの魔物達に見つかったら厄介だから。」


「すっすみません…用は何でしょうか…?」


「君にかけられた呪いを解く方法ってあるの?」


「えっ…?それを聞いてどうするんですか…?」


「いいから、答えて。」


「ブラッド大佐が言ってました…この呪いは我が殺されでもしない限り解けはしないと…」


「やっぱり、かけた術者が殺されないと解けない系の術なのか…わかったよ、それじゃ…」


「まっ待ってください!」


「何?」


「もしかして私を助けてくれるんですか…?」


「違うよ。」


「えっ…?」


「ボクが直接助けることはしない… でも近々、この城にブラッド大佐を退治しようと強い子達がやって来るんだ。」


「本当ですか!」


「彼女達に生贄のあなたのことを伝えてあげる、きっと正義感の強いあの子達なら絶対にあなたを助けてくれるはずだから…」


「それがもし本当だとして… どうしてそんなことをしてくれるんですか…?私はあなたにひどいことを言ったのに…?」


「気まぐれだよ…」


「気まぐれ…?」


「長居すると厄介だから、もう行くね。」


「ありがとうございます…」


「えっ…?」


「今のことがたとえ嘘だったとしても… そんな風に希望を与えてもらえたことが嬉しくて…」


「ボクはそんなに器用な人間じゃないよ… あなたが無事に城から出られることを祈ってるね、じゃ…」


サツキ大尉は自分の部屋に戻った。


(やっぱりあの子…)


リリカにはサツキ大尉の気持ちが痛いほどよくわかった。


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