124話 新たな仲間、ドーラ。
「ロリーヌちゃん…?」
「バカって、おまえ…」
「ユリお姉様、アリスさん!人差指を前に出してください!」
«どっどうして…?»
「いいから!早く!」
«はっはい!»
「チクッとすると思いますが、我慢してください!」
«えっ?»
「ガブッ、ガブッ。」
«痛っ!»
ロリーヌは優梨とアリスの人差指をちょっと噛んで血を出させた。
「おまえ…一体、何を…?」
「さぁ、お二人の血を飲んでください!ユリお姉様とアリスさんの血なら、ほんの少しでもかなりの魔力を回復出来るはずです!」
«ロリーヌちゃん…»
「意味わかんねぇよ…?おまえは私を許さないって言ってたじゃんか…?」
「許してはいません。」
「だろ…?だったらどうして…?」
「このまま私に負けたままで消えていいんですか?」
「えっ…?」
「私は納得してません。万全じゃなかったあなたに勝ったからって、何の自慢にもなりませんから!」
「おまえ…」
「いいんですか?あなたのことはアホの弱い魔物だったって、私の記憶に残りますよ?」
「ムカッ。おまえな…」
「今度はコンディションを整えて、正々堂々と戦いましょう。いつでも相手になりますから。」
「いい度胸してんじゃねぇか?そんなに言われちゃ、まだくたばるわけにはいかねぇな?」
「生きる気になってくれたんだね?」
「ああ、このチビ犬に舐められた状態で終われるかよ。」
「あなたより背が高いですけどね。」
「うっうるせ…ヴァンパイアになって、成長しなくなったんだから仕方ねぇだろ…」
「いいから早く血を飲んでください?もう、下半身ないですよ?」
「わっわっ!早く飲んで!」
「あはは、本当だ。じゃあ、二人とも遠慮なく頂くぞ、いいな?」
«うん!»
「パクッ、パクッ。」
ドーラは優梨達の人差指の血を飲んだ。
«どう?»
「うめえ!!魔力が漲ってくるのを感じるぞ!!」
姿が消えかけていたドーラだったが一瞬で元の姿に戻った!
「よかった…」
「一安心だね?」
「この魔力量なら当分は空腹状態にならないはずだ。ありがとう、お前達。」
「いいよ…お礼なんて…」
「アタシはユリちゃんの考えに賛成しただけだから。」
「この恩は決して忘れないぞ。」
「急にキャラが変わりましたね?柔らかい表情になりましたよ。」
「本来の私はこれなんだ…腹が減ると怒りっぽくなるだけで…」
「そうなんですか?地だと思ってましたが?」
「何だと!」
「あれっ?怒ってるじゃないですか?」
「今のはおまえがわるいだろうが!」
「何ですか?やるんですか?」
「おまえこそ!」
「まぁまぁ。喧嘩しないで。」
「あの、それで頼みがあるんだが…?」
「何かな?」
「時間が経つといつか魔力切れをすると思うんだ…そしたら私はさっきみたいに消えることになっちゃう、だから…」
«うん…?»
「まっまさか…?」
「お願いだ!空腹にならないようにこれからも私に血を与えてくれないか!その分、お前達の役に立ってみせる、約束するから!」
「やっぱり!」
「それってつまりアタシ達と旅に付いてくるってこと?」
「旅…?」
「言ってなかったっけ…?私達はね…」
優梨達は自分達が魔族退治の旅をしていることを話した。
「えっ!?じゃあ、お前達って!ここ最近、魔族を二人も倒したって噂のあのソノサキユリとアリスだったのか!?」
「そっそうだよ…?」
「気づいてなかったんだ…?」
「はぇぇ…まさかそんなすげえ奴らだったとは…通りで魔力がとんでもないわけだ…?」
「ハァ…お二人とも、ちゃんと名前を言ってるのに気づかないなんて…あなたバカですね?」
「ムカッ!バカって言うな!」
「バカにバカって言って何がわるいんですか?」
「おまえ!ガキだから知らないんだな!バカって言う方がバカなんだぞ!」
「その発言自体、バカっぽいですよ?」
「そっそうか…?」
「案外、素直なんですね…?」
「ドーラちゃん、魔族退治の旅は危険があるよ?」
「そうですよ、強い敵と戦わなきゃならなかったり。」
「それでも一緒に来る?」
「ああ、それでも構わないぞ。お前達みたいな強い冒険者と一緒なら怖いもの知らずだ。」
「そっか。じゃあ、これからよろしくね。ドーラちゃん。」
「よろしくね。」
「よろしくな。」
「昨日みたく駄々こねて、迷惑かけないようにしてくださいね?」
「しねぇよ!つうか、私はおまえよりは年上のはずだからな?」
「そういえばあなたの歳は今、いくつなんですか?」
「本来なら今年で14歳だ。」
「本当だ。うちより2歳も年上だ。」
「だろ?」
「というかロリーヌちゃんは12歳だったんだ?」
「人間の年齢にしたらですけどね。」
「おまえより年上なのは事実だ。」
「そうは見えませんけどね?」
「ふん、このチビ犬が。」
「あなたこそ、チビで泣き虫のヴァンパイアのくせに?」
「言いやがったな!」
「何です?」
「すぐ喧嘩するね。」
「喧嘩するほど仲がいいんじゃないかな?」
「ふっふ。確かに。」
«ぐぬぬっ…»
ヴァンパイア娘のドーラが仲間になった!
(さらに賑やかになりそうですね。)
(だね。)