122話 ロリーヌvsヴァンパイア娘
『痛だだ!!よせ、やめろ!!』
「ぺっ。」
ロリーヌは一旦、噛みつくのを止めて距離を取った。
「ユリお姉様にはキバ一本も触れさせませんよ!」
『ふうっ、ふうっ。なっなぜだ!おまえだって、眠り薬入りの食事を食べたはずだぞ!どうして眠らないんだ!』
「どうやらうちの正体にまだ気づかないようですね!」
『おまえの正体だと…?』
「うちは人間じゃなくて魔物!人間なら眠りにつく強力な眠り薬でもうちには全然、効かなくて当たり前です!」
『えっ…?おまえ魔物だったの…?』
「なっ何言ってるんですか、あなたは!この犬耳を見れば誰だってすぐ解るでしょう!」
『全然、わからんかった…?ただ単にコスプレしてるだけかと…?』
「あなたよほどの馬鹿ですか…?」
『そっそんなことはどうでもいいんだ!よく私が魔物だと気づいたな!こんなに完璧に人間になりきっているというのに!』
「確かにそこは迷いましたよ…?アホみたいに魔物の匂いはダダ漏れなのに、魔力があまりに弱かったので、魔物か人間なのか判断するのに時間がかかりました…だからそこの努力だけは認めてあげてもいいですよ!そこだけは!」
『えっ…?アホみたいに魔物の匂いがダダ漏れだった…?』
「はい、匂いに敏感なうちにはむせ返るほどでした。」
『それなのに魔物としての魔力があまりに弱すぎた…?』
「はい、うちでも簡単に倒せるレベルだと。』
『ばっ馬鹿にすんなー!!これでも私はヴァンパイアなんだぞ!!おまえみたいなチビ犬に負けるか!!』
「ごちゃごちゃうるさいですね?弱い奴ほどよく吠えるって言いますよ?」
『それは弱い犬ほどだろうが!!グワァッ!!』
ドーラは怒り狂って、ロリーヌの首に噛みつこうとした!
「覚悟はいいですね!容赦はしないですよ!ガルルッ!!」
『それはこっちのセリフだぁ!!』
「遅いです。」
『えっ…?』
「ガブッ、ガブッ!!」
『ぎゃゃあー!!』
ロリーヌは攻撃を楽々と躱すと、容赦なくドーラの体のあちこちを噛みまくった!
『痛い、痛い!!やめて、許してぇ!!』
「じゃあ、参ったって言いますか!」
『言います!言います!参りましたぁ!!』
ドーラはあっさり負けを認めたのだった。そして!
『あっ…』
ポーンッ!と変身が解けて、ドーラは美女からロリーヌより小さい幼女になった。
『うぐっ…変身まで…』
「あなた…本来の姿ってそんな感じだったんですね…?うちより背が小さい…」
『うぐっ、うぐっ…うわぁぁん!!』
「えっ!」
『ひどいよ、あんまりだよ!!せっかく少ない魔力を必死に溜めて変身してたのに!!全部、水の泡になったぁ!!うわぁぁん!!』
「なっ泣かないでくださいよ!これじゃまるでうちが悪いみたいじゃないですか!」
『知るか、おまえのせいだもん!うわぁぁん!!』
「お願いですから!泣き止んでください!」
『うわぁぁん!!』
「ユリお姉様!アリスさん!誰でもいいから起きてください!」
『うわぁぁん!!』
「うちじゃ対処しきれません〜!」
ロリーヌはひたすら泣き続ける小さいドーラにてんやわんやするのだった。
(うちこそ泣きたいよ!ワァァン!)