115.5話 メイドはメイドに恋をする。
誓いのキスをした後、メグ少佐とララは二人で結婚式で恒例のケーキ入刀をして、それをみんなで食べることになった。
「あら。ケーキ用のフォークが一つ足りないわ。」
「本当ですね?」
「だったら私が取ってきます♡」
「あら。ありがとう。メイドちゃん。」
「お願いしますね。」
「は〜い♡」
鹿角メイドは会場から出て、厨房を目指して廊下を歩いていると、窓から月を見て泣いているメイドが居た。
「うぐっ…うぐっ…」
「泣いてるの?」
「えっ!?」
「驚かせちゃったかな。ごめんね?」
「いっいえ…」
「会場には入らないの?」
「私は入っちゃ駄目だと思うんです…」
「どうして?」
「素直に祝ってあげられないから…」
「結婚することを?」
「本当はメグお姉様の幸せを心から祝ってあげたいんです…でもどうしても胸が苦しくなって…涙が止まらなくなって…」
「もしかしてメグ様が好きだったの?」
「はい…」
「そっか…」
「私はメイド失格です…ご主人様の幸せを素直に祝ってあげられないんですから…」
「そんなことないんじゃないかな。」
「えっ…?」
そっと優しく抱きしめた。
「いっぱい泣きなよ。私が胸をかしてあげるから。」
「いいんですか…?」
「涙がもう出ないやってぐらい泣いたら、笑顔でおめでとうって言ってあげられると思うの。」
「ありがとう…うぐっ…うわぁぁん…」
猫耳メイドは鹿角メイドの胸でひたすら泣いた。
「どうかな?」
「はい。いっぱい泣いたらスッキリしました。祝ってあげられそうです。」
「本当だ。いい笑顔だね。目は少し赤いけど。」
「そうですか…?」
「そうだよ。」
«ふふっふ。»
「あっ忘れてた!私、レアお姉様に頼まれて、フォークを取りに行かなきゃだったんだ!それじゃ、あなたは会場に戻るんだよ!」
「はい。本当にありがとうございました。」
「いいんだよ!気にしないで!」
鹿角メイドは階段を降りて行った。
「メグお姉様…私…大事な人が現れたみたいです…」
猫耳メイドは自分の胸に手を当てて高鳴る鼓動を確かめたのだった。