110話 魔族ソウル戦、決着!(前編)
優梨とララがリュナ達のもとへ向かっているその頃、当の本人達は激戦を繰り広げていた!
【ソウル・ファントム!】
«ヒャッヒャッヒャッ!»
お化けのような物体が大勢現れて、リュナの周りを囲んだ!
「それっ。」
〈ヒャッヒャッ…〉
「おや?」
攻撃をしたが、体をすり抜けた!
「えいっ、やっ、ほれっ。」
【フッフッフッ、いくら触れようとしても無駄だぞ?こ奴らには実体がないのだからな?】
「でもそれって、こっちにも触れらないってことだよね?ただの脅かしなら、アタシには通用しないよ?」
【そんなことのために我がこの術を唱えるわけないだろう?見せてやる、こ奴らの恐ろしさを。】
マーガレットは指を鳴らした!
【攻撃開始だ。】
すると合図と共にお化け達がリュナの体を押えた!
「あれ?君達、触れられるの?」
«グワァ!!»
そして残りの全てのお化け達が口を大きく開けると、光線のようなものを溜め始めた!
「あらら、流石にこれは。」
バァンッ!!と一斉に放たれた、数十発の光線がリュナを直撃した!
【フッフッフッ、フハハハッ!見たか!あんな大勢の攻撃をくらって無事なはずがない!】
「ふぅ、今のはちょっと危なかった。」
【なっ!?】
煙の中から、着ていた服が多少、破れながらもあまりダメージを負っていないリュナが現れた。
【そんな馬鹿な…?あれだけの攻撃が直撃していて、その程度の傷しかないだと…?】
「防御力強化の術が間に合わなかったら、かなり大ダメージくらってたよ、油断しちゃったな。」
【なんだと…?】
«ヒャッヒャッヒャ…?»
「でもマーガレットに作ってもらった、大事な服がこんなにボロボロになっちゃった。」
«ヒャッヒャッ…»
「絶対に許さねぇぞ?」
«ヒィ!!»
リュナの圧にお化け達はとてつもない恐怖を感じた!
【なっ何を怯えているのだ!きさまらに実体はないのだぞ!奴にきさまらを倒せはせぬのだ!さぁ、再び攻撃せよ!】
「ヒャッ!ヒャッヒャッヒャ!」
(そうだ!ご主人様の言う通りだ!)
「ヒャッヒャッヒャッヒャ!」
(あいつは我らに触れられない!)
「ヒャッヒャッヒャ!」
(怯えなくていいんだ!)
「ヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
(もう一度、攻撃すれば倒せるはず!)
「ヒャヒャ!ヒャヒャ!」
(みんな!行くぞ!)
«ヒャ!!»
(ああ!!)
お化け達は意を決して、リュナに再び襲いかかった!
「君達、私が触れられないから怖くないって思ってるんだ?じゃあこれはどうかな?」
【なっ何をするつもりだ…?】
『ライト・クロス!』
«ヒャァッー!!»
【ぐっ、眩しい!!】
出現させた光の十字架で、お化け達は一瞬にして消え去った!
【きさま…一体、何をした…?】
「今のはライト・クロスって術で、お化けみたいなモンスターに効果抜群な光属性の術だよ。」
【光属性にそんな術があったとはな…?】
「世界は広い、知らないことなんて山ほどあるもんさ。だから世界は面白い。」
【悠長にべらべらと喋りよって、すでに勝ったつもりか!】
マーガレットは刀を握ると、リュナに向かって斬りかかった!
「遅いよ。」
リュナはコンバットナイフで応戦、刀を真っ二つに折って、刃先を首に向けた!
【このまま斬って殺すのか…?我は構わぬぞ…?マーガレットが殺されようと我は消えることはないからな…?】
「そうかい…」
【だか、奪った魂は元に戻るだろう…我の計画は打ち砕けるわけだ…】
「だろうね…」
【さぁ、どうする…?最愛の妻のマーガレットの命を取るのか、それとも街の人間共の魂を救い出すことを取るのか、選べる答えは一つだけだぞ…?】
「そんなの…」
【我の計画も再びやり直しだな…?】
(フッフッフ、この体が殺されたら、今度はリュナ、きさまの体を頂けばいいだけのこと…)
「マーガレット…君を救えない…アタシを許してくれ…」
«待ってください!!»
「えっ…?」
【なっ何だ…?】
二人が声のする方へ見上げると、優梨達が飛んでやって来ていた!
「君達、なぜここに!」
『マーガレット姉を救い来たっす!』
「だから刀を下げてください!」
【マーガレットを救いにだと…?】
優梨達は地上に降りた。
「ここへ来たということはマナちゃんの暗示は解けたのかい?」
「ララちゃんがスキルで解いてくれました!」
『そうっす!』
【あのララにスキルだと…?それに我の暗示を解いた…?そんな馬鹿な…?】
「そっか…」
リュナは状況を理解したのか、ナイフを仕舞った。
【わけがわからん!】
動揺しつつマーガレットは空を飛んで離れた!
「君はいつか才能を発揮するって、マーガレットはいつも言ってたし、私もずっとそうだって信じてたよ。」
『リュナさん…』
「ちなみにどんなスキルなのかな?」
『レアスキル「術を解く能力」っす!』
「だから暗示を解くことが出来たんだね。すごいじゃないか。」
『えへへ…でも、自分のスキルだけじゃソウル大佐の魂を倒して、マーガレット姉を救ってあげることは出来ないっす。だから。』
「なるほど、ユリちゃん。君にならそれが出来るんだね?」
「はい!私の術で必ずマーガレットさんを救ってみせます!」
「期待してるよ。二人とも。」
«はい!»
【話は聞かせてもらったぞ、本気で我をマーガレットの体から追い出せるとでも思っているのか?】
「もちろんだよ!」
『おまえの計画もここまでっす!』
「後輩ちゃん達の言葉をアタシは信じるよ。」
【そうか、それならきさまらがどれほど思い上がっているか、その身に思い知らせてやるとしようかァァ!!】
マーガレットは怒り狂って、邪悪なオーラを上げていった!
「これが本当の最終決戦だね。」
『自分の力が続く限り、全力で二人をサポートするっす!』
「それでアタシは何をすればいいかな?」
「えっとっすね…」
「私が力を集中して術を放てるまで、二人で出来るだけ注意を引き付けてください。お願いできますか?」
「もちろんさ。君を信じるよ。」
『自分だってそうっす。』
「ありがとうございます。」
「それじゃ後輩ちゃん達、覚悟はいいよね?ここからは一切、油断しちゃ駄目だよ?わかったかい?」
«はい!»
次回、魔族ソウル大佐編、完結。