11話 棚からぼた餅的だね。
それから私は町を目指して、ひたすら歩き続けて一時間後…
日が暮れかけながらも、なんとか明るいうちに町の門までたどり着いた。
「やっと町の門まで着いた〜」
(お疲れ様でした。)
「アイルちゃんも道案内、ありがとう。」
(無事に到着なされて、ほっとしてます。)
「スゥ…ハァァ…それじゃあ、街に入るとしますか。」
深呼吸をして、意を決して私が門から街に入ろうとしたら…
「おいおい、そこのお嬢ちゃん?
勝手に街に入ろうとされちゃ困るな?」
鎧を着たおじさんが門の隣にある受付みたいな所から出てきて、注意するように私に話しかけてきたけど、見た感じ門番なのかな…?
「入っちゃ駄目なんですか…?」
「知らないのかい?この町の門を通る者は誰であれ
通行許可証を提示してもらわないと通れないルールになってるんだよ。」
「そっそんな!?」
「まぁでも通行許可証ならすぐ作れるよ。」
「ほっ本当ですか!」
「でもそれには通行許可証を発行するために銅貨2枚を払ってもらわないと駄目だよ?」
「銅貨…?」
「えっ!銅貨を知らないのかい?」
(銅貨って…きっとこの世界の通貨だよね…?
というか私、よく考えてみればこの世界のおかねなんて持ってないよね…?
アイルちゃん、一体どうすれば…?)
(安心してください!この世界の通貨なら、腰に巻き付けてある巾着袋の中にありますよ!手を入れて確認してみてください!)
(巾着袋…?)
私はアイルちゃんの指示通りに巾着袋に手を入れた。すると本当に硬貨があって…
「そうそう!それだよ!」
「これで通行許可証作ってもらえるんですか…?」
「そうだよ。すぐ通行許可証作るから、名前を教えてもらえるかな?」
「園咲優梨…」
「ソノサキ、ユリちゃんね。今、通行許可証を発行して名前を刻むから少し待っててくれ。」
「はっはい…?」
私は長椅子に座って、通行許可証が発行するまでの間、アイルちゃんにさっきの銀貨について聞くことにした。
(どうしてこの巾着袋から銅貨が出て来たの…?ここに来るまで空っぽだったはずだよね…?)
(実はですね!優梨さんはこの世界の人間ではないのである特別な高待遇を持っていらっしゃるんです!)
(高待遇…?それって一体…?)
(それはですね!本来は倒したモンスターは冒険者ギルドに持って行って、受付で買取してもらわないとお金にはならないのですが、優梨さんには特別にモンスターと戦い、勝利するとそのたびに経験値とプラスして、この世界の通貨であるコインが賞金として貯まるようになってるんですよ!)
(何そのゲームで聞いたことあるようなシステム…?)
(現在、優梨さんの持つ通貨の総数は金貨が23個と銀貨が81個と銅貨が120個あるわけです!)
(すごそうだけど、コインがどれだけの価値なのかわからないな…?)
(確か、優梨さんの居た国で例えると、金貨が一万円ぐらいだとして、銀貨が千円、銅貨が百円ぐらいの価値ですね?)
「あわわ…そう考えると大金に思えてきた…
まだ何も活躍してない私がそんなにもらっていいのかな…?」
「これから活躍すればいいんですよ!
もう一つ説明として、腰についた巾着袋は貯まった硬貨を転送できるようになってまして!
いざ、貯めた硬貨を使いたくなった時にいつでも取りたい分だけ、取り出せるようになっているんです!)
(だから空っぽだったのに銅貨が入ってたのか…)
(なので貯まった硬貨を使いたくなった時は巾着袋を使ってくださいね!)
(うん…わかった…?)
「お嬢ちゃんお待たせ!通行許可証が出来たよ!」
「はっはい!」
「はい、通行許可証ね。」
私はカード型の名前入り通行許可証をもらった。
「これな、再発行するときはまた銅貨2枚かかるから、無くさないように気をつけな。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃあ、あらためて、ようこそ!
復活を遂げた奇跡の町、リーベルへ!さぁ、門を通って!」
「スゥ…ハァァ…じゃあ、お邪魔します!」
私はもう一度、深呼吸して、門を通り抜けた。