クマ子エピソード①〜アリスのおさがりを着る〜
優梨達が旅に出たその日の夜、クマ子とミーナは初めて一緒にお風呂に入っていた。
「ふぁぁ…いい湯加減だべ…」
「ふっふ。それはよかったわ。」
「ミーナママはアリスより胸でかいんだな?大人って感じだ。」
「ふっふ。大人ですもの。」
「ユリ…アリス…」
クマ子はうつ向いた。
「クマ子ちゃん。おいで。」
「えっ…?」
「ほら。」
「じゃあ…」
クマ子はミーナに寄り添った。
「アリス達が旅に出て、寂しい気持ちはよくわかるわ。私も同じぐらい寂しいもの。」
「ミーナママ…」
「そんな時はいつでも、私やソフィーちゃんに甘えてね。今日からあなたは私達の娘なんだから。」
「本当の歳は…オラのほうが上なんだけど…」
「そういえば、元はおじさん熊だったんだっけ?」
「うん…それでも甘えていいのかな…?」
「過去がどんなだったなんて関係ないわ。今は可愛い女の子じゃない。甘えていいのよ。」
ミーナはクマ子の頭を優しく撫でた。
「じゃあ…甘える…」
「可愛い♡」
「ふぎゅ。」
「あっ苦しかった?」
「平気だべ。そういえばソフィーママはいつこの家に引っ越して来るんだべ?」
「明日にはまとめた荷物を持って引っ越してくるって行ってたわ。」
「そっかぁ。楽しみだべ。」
それから二人はしばらく湯船に浸かってお風呂から上がった。
「ぷはぁ。牛乳美味しいべ。風呂上がりはこれだなぁ。」
「クマ子ちゃん〜ちょっとこっちに来てくれるかしら〜?」
「何だべ?」
クマ子はミーナの声がした奥の部屋に入ると、中はクローゼットになっていて、クマ子が着れる子供サイズの服がずらりと並べられていた。
「これって?」
「アリスが小さい頃に着ていた服よ。思い出の物だから捨てられなくて取ってあってね。クマ子ちゃんなら着られるかなって思ったの。」
「アリスの着ていた服…」
「おさがりになるけど着てくれたら嬉しいな。どうかしら?」
「着るべ。」
「本当!」
「うん…どれも可愛いし着たいと思った…」
「じゃじゃあ!さっそくこのパジャマに着替えてくれるかしら!」
「あっうん…?」
ミーナに言われるがままパジャマに着替えた。
「どっどうだべか?似合うか?」
「きゃぁぁ♡可愛い〜♡」
ミーナはクマ子を思いっきり抱きしめた。
「そっそうか?」
「小さかった頃のアリスを思い出すわ♡」
「喜んでくれたならよかったべ…」
「次はこれを来てくれるかしら♡この服はね、アリスが気に入ってよく着ていた服なのよ♡」
「いっいいぞ…?」
(なんかミーナママのテンションが変だべ…?)
「やったぁ♡じゃあその次はこの服とこの服を…」
しばらくクマ子はミーナの着せ替えタイムに付き合ったのだった。
「可愛い〜♡」
「ふわぁぁ。そろそろ寝かせてくれ〜。」