94話 あの姉妹と再会。
「ここがサウスの街っす!」
「わぁぁ!」
「大きな街だね。」
「そりゃそうっすよ!サウスの街はこの地域で一番の広さを誇る、田舎者なら誰もが憧れる都会っすから!」
「なっなるほどね…?」
「色々、見たことないものばかり!」
「テンション高いね…?」
「アタシ、都会に来るの初めてだもん…」
「そっか。じゃあ、ギルドに行った後で色々とお店を回ってみようか?」
「うん!」
(かっ可愛い。余程、嬉しいんだな。)
「では約束通り、冒険者ギルドに案内するっすね!お二人とも付いて来てください!」
«はーい!»
優梨達はさっそくララの案内で、サウスの冒険者ギルドに向った。
「到着っす!この建物がサウスの冒険者ギルドっすよ!」
「ほえぇ、これがサウスの冒険者ギルドなの…?」
「大きい…リーベルの2倍はあるよ…?」
「自分も初めて見た時は驚いたっす!どうぞ、中に!」
«お邪魔します…»
建物の中は広々としていて、カフェのほかに本屋、服屋、武器屋、防具屋、お土産コーナーまであった。
「すごい…冒険者ギルドじゃないみたい…」
「これが都会のギルドか…」
「受付は奥にあるっす!」
『あんた達、何でこんな所にいるの!?』
«えっ?»
カフェを通り過ぎようとした三人に、足を組みながら椅子に座るサングラスと派手な帽子をかぶる女の子が話しかけてきた。
「あの…あなたは誰ですか…?」
「わからないの!?」
怒ってサングラスをとった女の子は模擬戦で戦ったAランク双子姉妹の姉、リンであった!
«リンちゃん!?»
「あわわわ…」
「ハァ…もっと早く気づきなさいよ…?」
「じゃあ隣の子はロンちゃん…?」
「あはは、どうも。」
「あなた達こそ、どうしてサウスに…?」
「ソノサキユリ、あんた、相変わらずの素っ頓狂みたいね…?少し考えればわかるじゃない…?」
「わからない…」
「ガクッ!あのねぇ…?」
「魔族退治に来たとか?」
「アリス、あんたはまだこいつよりは頭が良いみたいね。」
「褒められた…」
「ということはあなた達もですか?」
「あっいや、私達は…」
「もしそのつもりならラッキーね。」
「ラッキー?」
「今回の魔族退治はあんた達に譲ってあげる。」
«えっ?»
「どうして…?」
「さっきここの隊員から、私達の師匠からの手紙を渡されたのよ。」
「あなた達の師匠からの手紙…?」
「リンちゃん達には師匠がいたの!?」
「えっええ…?」
「二人の新たな情報を知っちゃった。」
「よかったね。」
「その手紙にはこう綴られていました。」
"サウスにいる魔族は悪い魔族じゃないから、退治したりしたら駄目だよ?これは師匠命令だからね。よろ。"
「なんか軽い師匠命令だね…?」
「悪い魔族じゃないか…」
「流石の私達でも師匠に逆らうわけにいかないから従うしかないわ。あのロリババアが何考えてるかわかんないけど。」
「もう、何度言わせるの、姉さん?師匠のことをロリババアって呼んじゃ駄目よ?」
「はいはい。まぁ、そういうことだから、私達は今から大人しく王都に帰るつもりなわけ。ロン行くわよ。」
「あっ待って、姉さん!お騒がせしてごめんなさいね!それじゃあ!」
「あっうん!」
「いつかどこかで会おうね!」
「ふん、その時はソノサキユリ、あんたを倒してやるから!首を洗って待ってなさい!」
「お元気で!」
リンとロンはギルドから出て行った。
「まさかこんなにすぐにあの二人と再会するなんて思わなかったなぁ。」
「驚いたね、アリスちゃん。」
「すごいっす…」
「ララちゃん…?」
「あの超有名な双子姉妹とお知り合いだなんて!お二人マジですごいっす!自分、尊敬するっす!」
ララは目を輝かせて近づいた。
「そっ尊敬なんて…」
「照れちゃうよね…?」
「いつどこでお知り合いになったんですか!」
「どこってリーベルの闘技場だけど…?」
「えっ…?リーベルの闘技場っすか…?それって確か…つい最近、あの双子姉妹と新人冒険者で、模擬戦が行われた会場すっよね…?はっ!まっまさか!
戦った新人冒険者のソノサキユリとアリスってお二人の事、だったんすか!?」
「そっそうだよ…?」
「通りで似た名前だな?とは思ってたんすよ!まさか本当に本人だったとは!こりゃぁ、一本取られたっす!」
「ララちゃんって天然さんなんだね…?」
「それよく言われるっす!」
「そうなんだ…?」
「今からお二人を先輩って呼んでいいっすか!」
«先輩…»
二人は顔を赤らめた。
「駄目っすか…?」
「べつにいいよねっ…?ユリちゃん…?」
「うん…」
「あっありがとうございます!ユリ先輩!アリス先輩!先輩達のことをこれから目標にさせてもらうっす!」
先輩呼びに優梨達がタジタジしていた頃、リンとロンはというと…
「はくしょんっ!」
「姉さん、クシャミこれで3回目よ?」
「誰か私のことでも話してるんじゃない。私って人気者だから。」
「はいはい、そうかもね…?でもいいのかしら?ソノサキユリさんともっとお話しなくて?」
「べっべつにいいに決まってるじゃない!」
「本当かしらー?」
「本当はもうちょっと話してもよかったかな…」
「ほら?」
「なんて思ってないんだから〜!!」
リンは照れたのを誤魔化したいのか、顔を真っ赤にして怒った。