獣人(叛逆、奴隷、相思相愛??)
ご主人様、ご主人様、起きてください、朝ですよ。
あ、やっとお目覚めですね、おはようございます。
いえ、お気になさらないで下さい。
こうしてご主人様を起こすのは私の仕事ですし、寝顔もいただけるのですから。
からかうなって、ふふ、いえ、ご馳走様でした。
さて、朝食、新聞、お風呂の用意もいつも通りできております。
初めはお風呂に入られますか? では、お食事の冷めやすいものは出てこられる頃に合わせて作っておきますね。 リビングでお待ちしております。
美味しい、ですか? よれは良かったです! ご主人様様のお食事に手を抜いた事はありませんが、今日は特に自信があったんです。
いつも早朝から働かせて悪い? ですか? 全然お気になさらないで下さい、確かに火を起こすところから始めるお風呂の用意などは人間なら大変かもしれませんが、獣人の奴隷である私にとっては大したことではありませんよ?
ですから、くださるなら謝罪よりも感謝をください。
あの劣悪な市場から私を救ってくださったご主人様に少しでも恩返しができていると思えれば、私も幸せです。
ふえっ? どうしたんですか急に私の首を触って……あっ! 首輪ッ!
え、え? もう十分恩返しをしてもらってる。いつまでも奴隷にしておくのも気が引けるから今日で解放、…ですか?
そのお言葉は、……嬉しいです。
ですが、それはもう私は要らないと、不要だと、そういうことですか……?
違う、私のことを慮って…ですか。
重ね重ね、ご主人様のお言葉は嬉しく思います。…ありがとうございます。
ですがご主人様は何も分かっていません。この一年間、貴方の側に居た私のを見て、私を慮って下さるならこんなことしないはずです。
私は、ずっと、ご主人様のモノでありたかった。
対等な関係になりたかったわけではありません。私はご主人様のモノで、ご主人様に支配された、1番近い存在で居たかった。
首輪は、そんな私の願いとご主人様を結んでいたシンボルでした。
酷いです。本当に私を見てくれていましたか? 本当に私のことを考えてくれていましたか? 奴隷なら首輪を外して解放してやることが喜びだろうと思考停止していませんでしたか?
敢えて言います、そんなご主人様の怠惰が私にこんなことをさせるんです。
申し訳ございません、ご主人様。私、面倒ですよね?
でも、貴方が悪いんです。
ガタンッ!
ふふっ、どうですか? 私に押し倒されて、動けますか? 動けませんよね?
やめろ? やめませんよ。私に命令を聞かせる首輪はもう無いんですから。
私はご主人様、いえ、“貴方”のモノで無くなってしまいました。
ですが、貴方への感謝が、何より愛情が薄まることなんてあり得ません。
愛してる、絶対離さない。離さないで。
ですから、今度は貴方を私のモノにします。
抵抗しないで下さい。あ、魔法を使おうとするのもやめてください。
首輪の弱体化効果の無くなったた私に貴方程度の魔法はほぼ効きませんが、そんなに対抗させると心が傷付きます。
お願い、抵抗しないで下さい。
大人しく、私に愛されて下さい。
……ありがとうございます。
私のこと、嫌いじゃ、ないですよね?
ふふっ、良かった。
獣人ですから髪型とか限界もありますけど、ずっと貴方とこうする時を夢見て、自身への手入れも欠かした事は無いんです。
沢山私を味わって、私の虜になって、私のモノになって下さい。
私も貴方を食べてしまいますから。
いただきます。今度は私が、幸せにしてあげます。