吸血鬼(冒険者敗北、眷属化)
ははっ、いいね! こんなに私と渡り合える人間はなかなか居ないよ!
……え? どうしてそんなに楽しそうなのかって? そりゃ、私を討伐しようなんて輩はたまにいるけど誰も彼も雑魚ばっか。退屈してたのよ。
でも君は違う、私を楽しませてくれる。私の突きを避けてくれるし、蹴りも受けてくれる。更に反撃までしてくれる! 最高よ。
初めからお皿に盛られた料理の様に、抵抗しない獲物を食べるのも悪くはないけど、私は吸血鬼だからね、命のやり取りってやつの中でしか得られない、満たせない嗜虐心が、全能感が、渇望があるの。
だから、そう簡単に諦めないでね。
ふふっ、どうしたの? 動きにキレが無くなって……、あっ! 逃げるの? そう、残念。
でも、そうよね、人間だから1時間も戦い続ければ限界かしら。
どうしようかな、久々に楽しかったし逃してあげてもいいんだけど……いえ、良いことを思いついたわ。
つーかまえた。
あはっ、驚いた? 街の近くまで来ていたから油断してた?
貴方には私の退屈を慰めてくれたこと感謝してるわ、でも、だからこそ貴方を私のモノにすることにしたの。
訳がわからない? ふふっ、気にしなくて良いわよ。抵抗したければしても良いわよ? それもまた私の楽しみなんだから。
ははっ、どう? けっこう本気、出しちゃった。動けない、そうよね?
だって貴方お腹、私の腕が貫通してしまってるのだから。
私のモノにするんじゃなかったのかって?
そうよ、だからこれから貴方には私の血を飲んでもらうわ。
嫌? 嫌じゃ無いわよね? 私の眷属になるのも死ぬよりはマシでしょう?
あはっ、悪態をつくのはやめて、これから長い付き合いになるんだから、
ほら、私を見て、キスをしましょう? きっとこの血の味のキスは忘れられないものになるわ。
続きは次話です。