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王女ですが、可愛いウエイトレス目指します!  作者: 浦 かすみ


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助っ人参上?

誤字報告ありがとうございます。乱視で近視なのです…そんな報告はいらねぇ?すみません(;'∀')

私はベリオリーガお兄様の婚約を人伝?掲示板越し?に聞いて、驚愕していた。するとマリリカの夢の常連のお姉様達は私を見ながら深い溜め息をついている。


「やっぱりローズちゃんも少なからず気落ちしちゃうわよねぇ?」


「ええ?ローズちゃんは新婚さんだし、あ・の・素敵な旦那様がいるから大丈夫じゃな~い?」


んん?なんでしょうか?


お姉様達は、次々にタルトを口に運び入れながらそれでも咀嚼速度は落とさずに、大きな溜め息をついている。


「だってねぇ~王族とはいえ、ベリオリーガ殿下って素敵だものねぇ~」


「そうよ~遠くから見ているだけだったとはいえ、人の旦那になるって分かるとねぇ~あら?不敬だったかしら~」


そう言ってお姉様はペロッと舌を出していた。


意外……ベリオリーガお兄様って女性人気があったんだ。あんなに暑苦しいのに…まあ、遠くで見てるだけなら確かに、ベリオリーガお兄様もルコルデードお兄様も美形は美形だものね。


私は給仕をしながらチラッと窓の外を見た。


今日も元気に窓の外から私を見ている、その素敵な旦那様のはずのシュリーデと目が合ったが…何故だか逸らされた。


今更、隠れて見ているフリでもしているのかな?


それにしてもシュリーデも、ベリオリーガお兄様の婚約の話、知っていたのかな?バイトが終わったら聞いてみようかな…と思いながらその日は過ごしたのだった。


最近はマリリカの夢からの帰りは歩いて帰っている。シュリーデには反対されたけど、給仕の仕事の為に足腰を鍛えておきたいし、普段から鍛えているのは無駄ではないよね?と、言ってみると自分も軍人だからか、暫く唸っていたけれど同意してくれたのだ。


というわけで、本日も護衛とメイドの皆でゾロゾロと大通りを歩いて帰って、プレミオルテ公爵の別邸の門前に差し掛かった時だった。


後ろにいた、護衛のパスバン卿とスプリクさんが私の前に回り込んだ。


「門前に誰かいます」


「あ、あれ…ギルバート様じゃ…それにその隣に、アエリカ様…」


私の横に立っていたメイドのリサの呟きに、私とロエベが思わず、ひぃ…と叫んでしまった。


ギルバート様…と言われた方は見た目は優しそうな雰囲気の方だった。そしてその隣に立つピンク色のドレスを着た方が噂のアエリカ様…


多分、数回は舞踏会会場や茶会などで会ってはいるのだとは思うけれど、怖くて人の顔をまじまじと見たことが無いので、こんな顔をされてるのねぇ~と改めて思って見詰めた。


アエリカ様に関する色々な悪女情報を事前に入れてはいたが、それを覆すほどアエリカ様は“とてもカワイイ”という第一印象を与える容姿の持ち主だった。


庇護欲をそそる細い体躯、ストレートの長い栗色の髪、こちらを見た薄い紫色の瞳には長い睫毛が縁どられている。


ファンナ様やシュリーデ達に彼女の悪行?のようなものを聞いていなければ、とても悪辣な令嬢だとは思わないだろう。


アエリカ様は笑みを浮かべると、私達の方に近付いて来た。


「あなた方、プレミオルテ公爵家の方よね?ローズベルガ殿下に取り次いでもらえないかしら?」


「は…?」


私と護衛のパスバン卿とスプリクさん…そしてリサとロエベが一斉に、は?という問いかけを発していた。そう聞き返したくなる言葉だった。


アエリカ様は小首を傾げると、ニッコリと微笑んだ。


「ローズベルガ殿下にギルバートの元婚約者のファンナ=マーガレド伯爵令嬢の正体を早くお伝えしないと…と思いまして~」


私の周りの皆が息を呑んだ。


私が殿下なんですがぁ~と、声を上げにくくなってしまった…どうやら私が地味過ぎて使用人だと思われているみたいだ。思わずロエベと見詰め合ってしまった。


そんな中、アエリカ様は可愛らしく小首を傾げたまま微笑んでる。


可愛いわね、これは……騙されるわね~と思ってアエリカ様の斜め後ろに立っているギルバート様を見た。見るからに騙されやすそうな優しそうな雰囲気の、大人しそうな方だねもんね。


「殿下…どういたしましょうか?」


私の前に立っているパスバン卿が小声で聞いてきた。


これは……いきなり先触れもなく訪ねてきて不敬な令嬢達なのは間違いない。勿論、このまま追い返しても構わない。ただ…ファンナ様に対する執拗な嫌がらせを何故そこまでして行うのか…その理由を彼女の口から聞いてみたかった。


「屋敷にお招きしましょう…皆もいるし、大事には至らないでしょう」


私の言葉にパスバン卿は頷いてくれた。


暫く、門前でお待ち下さい…とパスバン卿が伝えて急いで屋敷内に入ると、私は使用人を玄関ホールに呼んだ。


「今…門前にアエリカ=ラナウェル伯爵令嬢とギルバート=コンフラス侯爵子息が来ています」


使用人達が一斉にざわついた。


「ルベス、シュリーデとベリオリーガ殿下に連絡をお願いします」


「はいっ!」


使用人頭のルベスさんにそうカッコよく言い放ったが…実はものすごく怖いのだ。情けないけれど、援軍を呼んでおこう。一対一で対決する訳じゃないけれど、ビビリなのだ…防御は完璧にしておきたい。


化粧をしてワザと派手な身なりに整えてもらって、アエリカ様とギルバート様が待つ客間に、ロエベとネリー、ナフラとリサを従えて突撃した。


アエリカ様とギルバート様のふたりは、私が入室するとすぐに腰を落とした。ここで座って高笑いでもされていたら、不敬である前にそんな不遜な態度をとれるアエリカ様の存在自体に、恐怖で私の腰が引けて話せるものも話せなくなってしまうところだった。


「どうぞ、座られて?お話とは何かしら?」


声が裏返りそうになるのを、必死で抑えて何も知らない風を装ってアエリカ様に声をかけた。


アエリカ様は嬉しそうに微笑むと頷いた。


いやぁ~これホント、事前にアエリカ語録を聞いてなければ騙されるよ…こんな可愛い顔で暴言を吐くとは到底思えないものね。


私は緊張で乾く喉を紅茶を飲んで潤した。


「ローズベルガ殿下がシュリーデ様とご婚姻されたと聞きまして…これはすぐにお知らせせねば危険だと思い立った次第で御座います」


「危険…ですか?」


アエリカ様は心痛な面持ちを浮かべながらハンカチを取り出して、目元に当てた。


「このままいけば、()()ファンナ様の悪癖のせいでローズベルガ殿下が苦しまれるかと思いまして…」


「あ…悪癖?」


まさかその単語がアエリカ様の口から飛び出すとは思わなくて、素で驚いてしまった。そんな私の反応はアエリカ様的に満足のいくリアクションだったのだろう…アエリカ様は嬉しそうに頷かれると言葉を続けた。


「そうです…ファンナ様は昔から私の持ち物を徹底的に真似をして奪い続けているのです。私は困り果ててシュリーデ様にご相談しました。シュリーデ様はもう覚えていらっしゃらないかと思いますが…その時、シュリーデ様は一向に私の話には耳を傾けてくれることなく、冷たくあしらわれました。そこでギルバート様にご相談したのです」


なるほど…そう来たか。


シュリーデに本当に相談したのかは兎も角としても、あのシュリーデだ。ファンナ様に苛められているとその当時訴えたら、それは本当なのか?よく調べたのか?等々…小言を繰り出してきたに違いない。それは取りようによっては、怒られて真摯に聞いてもらえなかった…という解釈をしていたと言うのは間違ってはいないだろう。


私が後でシュリーデに聞いた所で、すでに数年前のことだから、アエリカ様に言われたかもしれないが記憶に無いと言う可能性が高い…と踏んでのアエリカ様のこの発言なら、ずる賢いね~と言わざるを得ないね。


「ギルバート様とふたりでファンナ様にお願いをしました。もう私を苛めるのは止めてと…私の事が憎くて仕方ないのでしょうけど、ギルバート様も苦しめるのは止めてと…」


私はアエリカ様に頷いて見せた。私の顔が強張っていたのはただ単に緊張しているだけなのだが、こんな話を聞かされて驚き固まっている…とアエリカ様は判断したようだ。


「ローズベルガ殿下も、さぞ驚かれたことでしょう。それに私がもっと心配しているのはファンナ様が今度はシュリーデ様に言い寄ろうとしているとの話を聞いたことなのです」


それ、どこ情報だよ!?


私が驚きに再び固まっていると、今度はギルバート様が口を開いた。


「私はファンナに言いました。心を入れて替えてアエリカを赦すと公言すれば今までの君の行いも私達は全て赦すことにするよ…と、それでもファンナはそんなことは絶対にしないと、私とアエリカに怒鳴りつけました。今までもファンナはアエリカを憎み罵声を浴びせていたのです。私に向かって、アエリカを信じるなだとか…アエリカを悪し様に言ってきておりました。本当に心根の腐った女なのです」


あ~あ、ギルバート様はそう解釈しちゃったのか…


私でもアエリカ様から色々意地悪されて、イライラしていたら「あんな女を信じるな」とか「騙されてるんだ」とか言ってしまうと思うわ…それをそんな風に湾曲して捉えられてしまったら、ファンナ様がギルバート様の為を思って苦言を呈しても意味が無いじゃない…


「このままではファンナ様にシュリーデ様が狙われてしまいますわっ!ローズベルガ殿下はシュリーデ様との婚姻を強く希望したほどシュリーデ様を慕っておられると聞きました!ですから、早く手を打たないとファンナに奪われてしまいますわっ!」


アエリカ様はハンカチで目元を覆っている。


いや待って?何度も言うようだけど、それはどこの情報ですか?私、そんなに強引な婚姻を結び付けた王女殿下だと思われて………いるよね、ハイ。そうだよねぇ…私、我儘王女として有名だもん…


ギルバート様が更に前のめりになって言い募ってきた。


「殿下、是非とも殿下の口添えを頂けませんか?私共を舞踏会の折にお傍に置いて頂ければ、ファンナをシュリーデに近付けませんし、アエリカに対する誹謗中傷を殿下がかわして頂ければ私も殿下のお力添えを致しますので」


なんとっ!本音はそれか…


この陰キャの私を盾にするつもりで、自分達は“虎の威を借りる狐”になるつもりだね?私なんて虎は虎でも張子の虎だけど?


なんとなくだけど、アエリカとギルバート(心の中では呼び捨てにしてやる)の言いたいことと、ファンナ様に対する気持ち…というのが分かってきた。


アエリカはファンナ様より自分が優れていると…優越感を抱きたい。ギルバートはそんな可哀相なアエリカを自分だけが守っているという満足感を得たい…こんなところか?


その時、バーンと客間の扉が開いた。


シュリーデ来た!…と思って振り返ったら、暑苦しいベリオリーガお兄様だった。いや…助っ人には間違いないけど、望んでいたのはお兄様じゃない…と、ちょっぴり気落ちした。


慌てて立ち上がってカーテシーをしているギルバートとアエリカに向かってお兄様は叫んだ。


「よしっ分かった!明後日の私の婚約発表の会に子女と子息を招待しよう!」


「まあっ!」


「殿下っ!」


「お兄様!?」


アエリカとギルバートは突然の僥倖に歓喜の悲鳴をあげている。


お兄様ったらいきなり何を言い出すのよ!?お兄様の晴れ舞台の日にこんなふたりを呼びつけたら、騒動でも起こしたら大問題よ?


「急だがな~是非来てくれっハハハッ!!」


ベリオリーガお兄様は何と準備の良いことに、侍従から御璽つきの招待状らしきものをふたりに渡してしまっている。


どうしようぅシュリーデーー!?早く来てーー!

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