掴んだ驚き迫る危機感
まてまてユニーククエストだと?そんな簡単に出ていいものなのか?
このゲームに置けるユニーククエストとは、言葉通り、たったひとつしかないクエストである。再トライ出来ないわけではないそうだが、そのクエストは、その先の道を左右するクエストである。
「どういうことだ?」
「言葉通りだ。お前に社を探してほしいのさ。親父が言っていた社が本当にあるのかを」
タバコを一息吸って、吐く。
「私の親父はなかなか自分の話をしないのに、自分の考えや信念は誇りを持って話す人だった。そんな親父が酔ったときに話す昔の話が私は大好きだった」
タバコの灰が落ちる。
「その中のひとつに東の山の話があった。何でも、山を歩いていたら、突然景色が変わったらしい。目の前には枯れた木の中に石で出来た階段があったそうだ。その階段を上ると朽ちた社に一体の極東の剣を持つゴーストがいた。そこから先は親父もよく憶えていないらしい。そのゴーストの殺気から逃げていたら、いつの間にか山に戻っていたらしいからな」
タバコの火を消しながらサイカはそう絞めきった。
「まぁ実際ホラ話かも知れねえが私は知りたいんだ。親父がみた景色が本当にあったのかどうかを、な」
沈黙が流れる。突然切り替わった景色、枯れた山と階段、朽ちた社と幽霊、なるほど。
「幾つか聞くけどさ」
「ん?」
「サイカはさ、行かないのか、探しに?」
「私は親父か残したこの店を守らなくちゃならない。下らない理由だとしても私はこの鍜冶場が好きなんだ」
「なんで俺なんだ?」
「そりゃお前くらいしかこんなホラ話真に受けないからだよ。それに、仲の良い旅人はお前だけだ」
「ふーん」
さてどうしようかな?いや受けるのは確定なんだが問題は見つけ方だな。さっきの話から恐らく特定の場所に行かないと景色すら見えないぞ、これ。それに幽霊ねぇ。この剣でなんとかなるかな?まぁ剣持ってるって言ってるから大丈夫だと思うけど。
「その親父さぁ、突然景色が変わる前は何してたんだ?」
「確か、、、山菜採りの途中で一本だけ藤の木を見かけたから、そこで飯食った後また山菜を採ろうと山を上ろうとしたら。とか言ってたと思うが、、、悪い、これくらいしか思い出せない」
えー要約すると山の中にポツンとある藤の木を探し出してそこから上方向にさ迷い歩かないと行けないと?無理じゃね?
「んーまぁ探してくるわ」
「本当か!?」
yesを押す。まぁ頼んだのは俺だしな、ここでめんどくさいとかやりたくないとか思うわけがない。
「そのゴーストは退治していいんだよな?」
「それは、、、構わない。ただ聞かせてくれ。親父が言っていた社がどんな感じなのかを、どうなっているのかを」
本当にあるのかということは全く疑ってないな。こいつは。
「東の山かー。とりあえず串焼き買いに行くか」
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「やっと見つけた。なんで気づかなかったんだ?」
あれからゲーム内時間約三時間かかったが、何とか藤の木を見つけることができた。結局山の中腹辺りの少し平坦な所にその木はあった。
「さて、ここから山の上の方に向かって登っていくと」
実際これがフラグなのかは分からないが、これしか手がかりはないからな。串焼き屋に聞けばなにかヒントがあるかもしれないが、何か話したくなさそうな雰囲気だったしな。
山を登っていく。〔走行術〕を手に入れといて良かったと思っていると、辺りに段々霧がかかってきた。これは、、、あたりだな
完全に霧に包まれた瞬間、春くらいの温かい気温から、一瞬で肌寒くなった。いや、どちらかというと寒くなったというよりか、空気が変わった、、、!?
「マジか、、、思った以上にそのまんまだな」
霧が晴れたその先には、分厚い雲に覆われた、暗い、いかにもな枯れた山と石で出来た古びた階段があった。
〈ポーン〉
ワールドアナウンス
特殊エリア・藤咲社が解放されました
このようなエリアは世界中の様々な所に存在します
是非探してみてください
マジかよ
突然鳴ったワールドアナウンスに驚きつつも、この先のことを考えると分かる危機感を感じながら、俺はタバコに火をつけ、階段に足をかけた。




