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 第3部 第10話 巨竜の大口作戦 作戦室編

 

 気がつくと、どこか知らないベットで寝ていた。


「レイ様、心配しました!」


「パパ、大丈夫?」


「突然倒れたから心配しましたわ」


 どうやら、オレは気絶したらしい。アイカ、ココ、ナターシャに涙目で抱きつかれた。


「ここは? 何があったんだ?」


「獣神教会にあるベットで、1時間前にレイ様は突然倒れました。他の人達は、ハーピー隊の速報に対応しています」


「速報?」


「三国同盟軍3万が動き、合衆国に進行しています。予定通りレインの地上防衛隊とライチのアラクネ隊が対応しています。進路予定の住民の避難は完了しました。只今、巨竜の大口作戦は進行中です」


 宣戦布告もなしに進軍なんて国としてあり得ないが、想定通りだな……


「カイン様の隠密隊とスタンリーのリザードマン隊は、予定通り救出作戦を進行中です」


「そうか……この作戦の要だからな。緊急事態だ他の教会に訪問するのはキャンセルだな」


「わかりました。寄付金は渡しておきますか?」


「頼む。あと、ナターシャのナーガ隊は、第2防衛ラインで待機。ウインドラのハーピー隊と輸送隊は第1と第2防衛ラインの橋渡しをしてくれ!」


 輸送隊は、機動力の高いケンタウロス系の獣人や騎兵を中心に作った部隊だ。


「無理はするなよ。気を付けてくれ、必ず帰って来い! いいな?」


「レイ……わかりましたわ」


「オレ達は、大統領府で作戦の指揮をとる。行くぞ!」


「はい! 用事が済み次第、合流します」


 大統領府は、政治の中枢になるように作った場所で、作戦室には各隊に連絡を取れる魔素を利用した水晶の無線もあった。

 魔素は、利用価値が高くかなりの資金を投入した研究の賜物だ。


「全部隊につないでくれ……みんな心配をかけてすまなかった。私は大丈夫だ、この作戦によって合衆国の今後が大きく変わる! 皆の奮闘に期待する。以上だ……現在の状況を教えてくれ」


 オレの質問に3人いるラビット族の女性オペレーターがそれぞれ答える。


「三国同盟軍3万は、現在レイン様、ライチ様率いる地上防衛軍と交戦中です。ウインドラ様のハーピー隊の一部が空からの爆撃に成功、敵軍の一部の壊滅に成功しました」


「カイン様、スタンリー様の部隊は救出作戦を続行中です」


「ナターシャ様のナーガ隊は、第2防衛ラインに進軍中に三国同盟軍の独立部隊と接触、現在は交戦中になります」


 やはり先行部隊を出したな、情報通りだ。なんとか捕虜を確保してもらいたいが……


「地上防衛軍は、無理をせずに交戦し、第2防衛ラインに移動してくれ! ナターシャ隊の戦況はどうなっている?」


「たった今、ナターシャ様のナーガ隊が独立部隊の殲滅に成功しました。捕虜を1名捕らえました」


「白蛇に繋いでくれ!」


『これで、こちらの声が聞こえますの?』


 ナターシャが戸惑いながら、通信機を使用している。まぁ、しょうがない、無線の本格的な実戦投入は今回が初めてだからな……


「白蛇、聞こえているよ。よく、やってくれた。捕虜に連合軍にメッセージを伝えてくれ」


『まぁ、レイがいないのに声だけ聞こえるなんて、不思議な感覚……了解しましたわ。作戦を続けます』


「白蛇、気を付けてくれ通信機ではコードネームで……」


『気を付けますわ。ヘッド』


 通信機の導入によって、リアルタイムで作戦を進行する事ができる。地球の知識がある人間は必ず通信機を使う。


 機密性を高める為には、コードネームが必要になる。けして、趣味やカッコいいからではない。


『こちら、水竜と影。卵は1つ割れていたが、2つ手に入れた。繰り返す、卵を2つ手に入れた』


 スタンリーの声が、通信機から聞こえる。


「こちら、ヘッド。割れた卵と共に卵の安全を最優先に退却してくれ」


『了解。作戦を次の段階に移行する』


 スタンリーとカイン兄さんには、通信機のテストをしてもらっていたので1番に慣れていた。

 カイン兄さんは、今では隠密部隊を指揮する事が増えたのでコードネームは影になった。


「しかし、この通信機はすごいですね」


「ああ、アイカ。用事は片付いたかい?」


「はい、竜神教会と水神教会には寄付金と行けなかった事に対する謝罪を伝えました」


「今は合衆国にとって重要な局面にある。我々の立場は明日には改善されるだろう」


「そうですね。これで獣人の立場も変わればいいんですが……」


 アイカの横顔には、暗い影が落ちる。獣人の社会的な地位は低い、心配しているのだろう。


「今はまだ変わらないかも知れないが、合衆国が大きくなれば必ず変わる!」


「はい、そうですね。私はどこまでもレイ様について行きます。今までと変わらず……」


 アイカが、オレに寄り添うようにしていたらココが突然、大声で言った。


「大事な作戦中に2人がイチャついたら、指揮に関わるから後にしなよ」


 オペレーター達がココの声に「まったくだよ」といった雰囲気を出していた。


「別にイチャついてないぞ。ココ」


「そうよ。そんな事ないわよ」


 2人で苦笑いで誤魔化していたら、オペレーターが新たな情報を伝えてきた。


「レイン様率いる地上防衛軍は第2防衛ラインに後退。ライチ様が率いる輸送部隊により全軍移動を開始しました」


「わかった。第2防衛ラインにはオレも出る。スタンリーとカイン兄さんが荷物を運ぶまでの時間を稼ぐ。後の指示はアイカに任せる」


「気を付けて下さい。レイ様……」


「大丈夫だ。荷物が届き次第、連絡をしてくれ」


 オレとココは、第2防衛ラインに出陣する。時間稼ぎの為に……



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