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 第3部 第6話 竜帝


 山沿いにあるゴットアベンジャーの拠点にオウガとキキ、そして教授とアスラはいた。

 新たなる作戦の為に集まっていたが、魔獣の大森林にいる仮面の戦士にやられたせいで、失敗していた。


ドン!


「クソ! ここまでの屈辱は初めてだ……」


 オウガが机を叩き怒りをあらわにする中、誰も止めずにいた。

 キキとオウガとアスラは、一緒に大森林に行ったが完全に敗北し簀巻きにされ木に吊るされ、教授が来るまで身動き取れずにいたのだ。


「あたいらが赤子のような扱いされたのは、これで2回だね」


「オウガ殿とキキ殿が、手も足も出ない相手なんていたんですか?」


 教授が方眼鏡を拭きながら話をする。


「ええ、居ましたよ。10年前に亡くなられた初代のボスです」


「初代? グランドじゃないですか?」


「グランドは2代目のボスです。グランドの兄上にあたる方が初代で二つ名は"竜帝"。10年前の大戦争で亡くなられたんです。そして、グランドが後を継いだんです」


 オウガが、遠い目をしながら悲しそうに語る。


「ああ、あの方は強かった。今でも思い出す、まさに最強の英雄だった。オレ達に戦い方を教えてくれたのは竜帝だ。そうだろ、キキ」


「当たり前だ! 師匠は最強に決まっている。でも、仮面の戦士との戦いは師匠を思い出してやり辛かった」


「わかるぜ、なんとなくだが雰囲気が似ていた……戦い方が全然、違った。師匠は針なんか使わない、2つの扇子で戦うんだ。綺麗な舞だったな」


「待って下さい! 2つの扇で戦ってましたよあの仮面は!」


「「「え!」」」


 一瞬、場の空気が凍りつき時が止まった。


「ば、馬鹿言うんじゃねぇぞ。そんなわけねぇ」


「師匠は異空間に飲み込まれたんだよ! 私達を守る為に、そんな訳あるはずが……」


「アスラ、オレとキキが気絶した後、何があった」


 今まで、見た事もない程の真剣な顔のオウガが見てアスラは順を追って話した。


「待ってくれ君達、私にもわかるように初めから話してくれないかな?」


 教授の為に初めから3人は話始めた。



♢♢♢



 レイ達が大森林に行く2日前〜


 オウガ達は、魔獣の大森林にある聖域を目指していた。


「アスラ悪りぃな、作戦中だったんだろ」


「まぁ、大丈夫ですよ。私がいなくても大丈夫な段階に入りましたから……しかし、メンバーが3人いる作戦は初めてですよ」


「確かに滅多にないねぇ、オウガもないだろ」


「オレもあんまねぇな。今回の作戦の為に下っ端の奴らを向かわせたら全滅したらしいぞ」


 ゴットアベンジャーには、様々な下位組織がある。必要に応じて担当地域のメンバーが指令を出して動かす事ができた。


「三つ目の仮面の男に千人いた奴らが、たった1人にやられたようだ」


「しかも、1人も殺さずに無力化されたらしい」


「千人を殺さず無力化って桁違いですね」


「ああ、殺すならメンバー全員できる事だか1人も殺さずは難しい……しかも、森の入り口で全員、蓑虫みのむしのように吊るされいたらしい」


「千人の蓑虫ですか……中々シュールな絵ですね」


 千人の兵士が、蓑虫のように吊るされ泣いているのを想像して苦笑いのアスラにオウガも笑うしかなかった。


「確か報告だとこの辺でやられたらしい」


 オウガ達が周りを見渡すとメイドが数人、野草やきのこを取っていた。


「おい、嬢ちゃん達はこの辺の奴らかい?」


「ここから先は、聖域になります。すぐに帰って下さい」


「聖域で間違いないようだな、邪魔するようなら殺すぜ」


 オウガの言葉に、メイド達は武器を取り出すし、槍や刀等の様々な武器を構える。

 オウガの巨大な金棒の一振りで武器は粉々に砕け、1人のメイドが吹き飛ばされる。


「大丈夫か?」


 いつの間にか吹き飛ばされたメイドを受け止めて抱える、仮面の戦士がいた。


「いつの間に……。全く見えなかった」


 仮面の戦士は、優しくメイドを下ろしてから怒りながら言った。


「お前達は、オレに喧嘩を売ったみたいだな。金棒以外は見逃してやる。帰りな……」


(オレが威圧されている! こんな感覚は、初めてだ……)


 体から立ち昇る威圧に空間が歪む。間違いなく一流の戦士がそこにはいた。


「ここまで無視されるのは、初めてね。ふざけるな! 貴様!」


 キキの居合い切りが襲うが全て同じスピードで弾き返された。仮面の戦士とキキの間には、激しい火花が舞っていた。


(ば、馬鹿な! アタシの居合いに合わせてきている……)


「フン! キキとやら中々やるようだが鍛錬が足りない」


 体の芯を動かす事なく、直立でたったまま重い一撃を放たれキキが後ろに吹き飛ばされたが足を踏ん張り止まった。


「なぜ、アタシの名前を知っている! お前は誰だ!」


「オレは、聖域の守護者でこいつらの主人だ」


 親指で後ろのメイドを指しながら言っていた。


「くらえ! 神技・阿修羅無限撃あしゅらむげんげき


 オウガの腕が8本になり全ての手には、金棒が握られ叩き込まれようとした時、仮面の戦士が両手に六本の針を構える


「全て返してやるよ! 秘奥義・鏡面針きょうめんしん!」


 オウガの技が反射されて吹き飛び、数十本の大木を薙ぎ倒しながら倒れた。


「まさか、オウガが……」


「オウガっ奴は、ボコったから帰るなら見逃してやるぜ、お前ら」


「舐めるんじゃないよ!」


 再び居合いの攻防戦に入り、キキが押さえつける中でアスラが後ろから魔法を放った。


「キキさん、避けて下さいね! 神技・ツインフレイムトルネード!」


 アスラの両手から燃え盛る炎の竜巻が、周り大木を薙ぎ倒しながら仮面の戦士を襲う。

 キキが魔法から逃げる為に大きく後ろにバックステップした瞬間、針が竜巻の方向に飛びガラスが割れた音がしたのと同時に消えた。


「ば、馬鹿な!」


 ドンーー!


 何かが当たる音が聞こえた時、キキの溝内を仮面の戦士が殴り、白目を向いて気絶していた。


「我々、ゴットアベンジャーが一方的にやられるなんて初めてだな……」



「ゴットなんとかは知らないがお前達は井の中の蛙だ。世界は広い……しっかし、刀がダメになっちまったな。こりゃ怒られる」


 キキとの攻防戦で折れた刀を捨てると腰に指していた。二本の扇子を取り出した。


「我が右手は風神。左手は雷神。少しだけ本気を見せてやるよ!」


「神技・竜王撃滅斬りゅうおうげきめつざん!」 

「極技・暴風竜帝一撃ぼうふうりゅうのいちげき


 竜の一撃のような激しいアスラの一撃に対して、荒れ狂う嵐を纏う竜帝の如き一撃にアスラは吹き飛び、鎧は砕け散り大木を薙ぎ倒し倒れた。

 後は、簀巻きにされ3人は木に吊るされた。


「ここまでが、オレが覚えている全てです」


 アスラの話を聞いていた3人は泣いていた。


「まさか、こんな日が来るなんてな……」


「し、師匠が……生きていたなんて……」


 アスラは戸惑っていた。鼻水をすすりながら泣くオウガに子供のように泣くキキを初めて見たからだ。ハンカチで涙を吹きながら泣く教授は、立ち上がり、通信機で部下達に急いで指令を伝えた。


「グランドに至急連絡をしろ! 最優先事項だ! 龍之介がいや、竜帝が復活したと伝えろ!」


 歓喜の声を上げる教授の叫び声が拠点に響いた。


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