第3部 第2話 アラクネ族
大森林の奥に、アラクネ族の住む集落があるので歩いて向かっていたが未開の森は、歩き辛く時間がかなり掛かる。
今回は、アイカにナターシャとココにオレで来ている。モンスターも多く退治をしながら進んでいた。
「倒しても倒しても、出てくるからキリがありませんね」
シルバータイガーを倒し、解体しながらアイカは久しぶりに事務仕事から解放されて、ストレス発散していた。
「みんなで、出かける機会も減ったからね。アイカやナターシャとこんな感じに出かけるのも、久しぶりだよ」
素材を魔法の収納袋にしまいながら、懐かしく感じていた。町が少しずつ開発されると物流も増え、特殊なアイテムも手に入るようになった。
魔法の収納袋も物流が増え、偶然手に入れた物だった。
「レイは、あちこち出かけ過ぎですわ。私達の部隊まで、噂は流れて来てますもの」
「動き回らないと、対策が取れない事が多かったからね」
国の代表がいろんな地域に現れては、問題を解決してから去る。フットワークが、軽過ぎて困る王様と、噂になっていた。
まだ、大統領とゆう制度が浸透していないのでみんなは、王様と呼んでいた。民主主義がなかったから仕方ないとレイは、諦めていた。
「全てが足りないからね。レジスタンスの経験が役に立っているよ」
「レイパパは思いつきで、昔から動くからしょうがないよ」
「突然いなくなる、こっちの身になって欲しいわ」
ウォルとアイカは、協力してサポートしていたが書類を見て解決策を見つけたら、ウィンドラと協力しながら帰って来る時には、解決しているので2人はあまり強く出れずにいた。
「しかし、アラクネ族の集落は遠いな」
「しばらく、先にあるから。今日中に着きますわ」
「じゃあ、少し早いけど食事にしよう」
「わかりました」
ナターシャとアイカが、競うように鍋を作り、2つの鍋が出来ていた。
「あ、ありがとう美味しいよ、2人共」
「よかったですわ、わたくし料理は得意ですわ」
「よかったです、レイ様の好みは把握していますから」
笑顔のまま張り合う2人に何も言えなかった。
ココはポケットで青くなり「怖ー」と言っている。
「助けてくれ〜」
2つの鍋をみんなで食べていると、後ろから助けを呼ぶ声が聞こえた。
銀髪の男が、倒れていた。
「大丈夫か?何があった?」
「腹が減って動けない。すまないが、食べ物を下さい」
涙目の男を見て、一緒に食事をする事にしたが2人の顔が怖いので直視は出来なかった。
♢♢♢
「いや〜、生きがえった。ごちそうさまでした。私は、遺跡を研究している。アスラと言います、助かりました。仲間とはぐれてしまい、1週間森をさまよっていたんです」
「そ、それは大変でしたね。ところで、森には何をしに来たんですか」
「近くに、遺跡があるんですよ。それで、調査に来たんです」
鍋は、全てアスラに食われてしまったが、さすがに死なれたら気分が悪い。
よく今までモンスターに殺されずに、生き残ってこれたな。普通は、餓死の前に食われて死ぬだろう。
「ところでみなさんは、どこに行くんですか?」
「私達は、アラクネ族の集落に行く所です」
「それなら、急いだ方がいいですよ。マドリー共和国の兵士達が、集落の方に向かってました」
「本当ですか? みんな急ごう。アスラさんありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました」
集落へ急いだが戦闘は始まっていた。
「蜘蛛共を追い込め! 魔法を放て!」
「隊列を崩すな!」
「祖国が受けた屈辱を晴らすぞ」
共和国の魔法隊が、列を作りアラクネ達を近づけないように火炎魔法を放ち、壁に追い込んでいた。
「クソ、共和国の奴ら、まともに戦わないつもりか!」
「村長、逃げ場所がもうない」
数多くのアラクネ達が、共和国によって焼き殺されていた。
「極神技・グランドクロス!」
青白い十字架が共和国の魔法から、アラクネ達を守る。
「な、なんだこれは! 打て、打て、魔法を打つんだ」
「だ、大丈夫なのか、全く当たってないぞ! どうなってるんだ」
戦場の両陣営が驚いていたが、アラクネ族の女村長に、自己紹介をしてスカウトをしに来た事を話し、協力して戦った。
「協力感謝する。村長のライチです。王が自ら助けに来てくれるなんて、思いませんでした」
「私達は、アラクネ族の国に住んで共に生きていきたいと考えています。協力して生きていきましょう」
ランクの高い冒険者が仲間になり、アイカ達の武技レベルや全体の戦力が格段に上がった。
「奥義・炎獅子疾風斬!」
燃え盛る炎と風で加速しながら、共和国兵士を燃やしながらアイカは切り裂く。
「奥義・蛟衝波!」
ナターシャは、水の巨大トカゲを出現させ、共和国兵士を潰しながら通り抜け消えた。2人の戦いを見ていた、アラクネ族達が大鎌や槌や長戦斧で後に続く。
アラクネ族は、体が大きく力もあり、下半身が蜘蛛なので動きも早い。使う武器は、大きい物ばかりだ。
「やられっぱなしは、戦士の恥だ。奴らを砕くぞ!」
3メートル近い、ライチの突進力と巨大鎌で共和国兵士の上半身を5人同士に切り裂き、血の噴水が上がる。
アラクネ族の戦いはまるで戦車のような戦いだった。共和国兵はすぐに全滅した。集落には火が放たれたのでアラクネ達の家が無くなり、合衆国に行く事になった。
アラクネ達は、帝国だった時代に酷い迫害を受け、ほとんどの仲間が殺された。だから、また同じ事が起きないか不安になっていた。
「安心して欲しい。合衆国では、様々な対策をして迫害や差別を無くたいと思って入る」
「対策とは何ですか?」
ネックレスの事や他の獣人や色々と説明をした。
「不安はあるがあなた達を信用してみます」
「ありがとう、期待に応えて見せるよ」
「行く前に、亡くなった。戦士達に最後の別れをしましょう」
「ああ、そうだな」
全員で墓を作り、死んだ人を昇天させるとアラクネ達は驚いていた。あまりにも伝承に近い風景だったからだ。
「伝承には、亡くなった戦士達を天に導く、2つの世界を渡り、全てを包む者を従えて、世界に選ばれた者が我々を助け、癒すと伝わっている」
「みんな知ってる?」
「わかりません」
「知りませんわ」
ライチと握手をして帰る時に蜘蛛の部分に、乗せて帰らせて貰ったが、早い上に乗り心地も良かった。
「はやーい」
「ライチさん、運んでくれてありがとう」
「いいんだよ。私達が運んで方が早いしね」
馬車の数倍のスピードで移動していた。
「共に戦いましょう」
「ああ、戦おう」
アラクネ達と帰るレイ達を見る影達があった。
「どうでしたか? ″落ちた勇者″?」
教授の隣には、アスラがいた。
「彼等は、善人だよ。だか正義は我々にある」
「正義ですか。私はあまり好きではありませんね」
アスラは微笑みながらレイ達を眺めていた。
「相変わらず君の正義は、壊れているね落ちた勇者」
メガネを上げながら教授は呟いた。
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