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 今でもわからない。


 うそだ。本当はわかっている。


 僕はリリィが死んでしまうんだろうと本当はあの日もわかっていた。でも僕はジュリエッタの病室の方に……


 ジュリエッタが大変なんだって連絡が来て、僕ははっきり言ってそれに飛びついたんです。だって僕はリリィの部屋に行かないで済む最高の言い訳を見つけたわけだからね。僕が行かなけりゃって。僕はいろんないろんなことを言い訳にして、リリィの部屋にいかなかった。どうしてもどうしてもそれを避けたんです。


 そんな風にしかできなかった振りをして。


『どうして来てくれなかったの? ハロウ・ストーム』


 だってそれはジュリエッタが。でもそのことは僕の口からは言えないことなんだ。父から堅く禁じられているんだ。


 あんなに嫌いな父親のことをこんな時は僕は都合よく引っ張り出す。


 だってそれはロメオ・オルフェリウスが悪いんだ。ねえ、ユージーン……


 あなたに、あなたたちに取り返しの付かないことをしたと思う。


 そして僕はそれを父やジュリエッタや他のいろんなもののせいに全部全部したと思う。


 今も。


 今もあなたたちにどうすべきなのか探そうともしないで、このまま逃げおおせることができればいいと本当は思っている。


 もうどこにも帰りたくない。



──私はもうベッドの上にいたくないの、ハロウ。パパとママにお願いしてちょうだい。


「どうしてベッドの上が嫌いなんだろう?」

「だってつまらないじゃない。いつも窓から見える景色しか見るところがないの」

「僕が知っているお話ではベッドは最高の乗り物だよ」

「それはどんなお話なの?」


 白いねこの話……


 白い陶器の猫が言うんだ

『ベッドは最高の乗り物なんですよ、特に他に乗り物がないときはね』


──ハロウ、そのお話をして。


……ベッドに入って目をつぶるとその白い猫は一瞬で白い猫のお城に連れて行ってくれるよ。


あなたのなまえは




まほうのじゅもんみたい


私にも       すてき



な                 なまえを







つけて  ハロウ










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