1話 ー独りよがりー
今回新たに非日常系の小説を書いてみようと思います!少々力不足なところはあるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします!
「仲間とともに協力しようよ!」…馬鹿馬鹿しい。違う考え方をする人間と関わるメリットがどこにあるというのだ。そいつは信用できるのか?他人との間に仲があればそれでいいのか?そんな上辺だけの『仲間』という言葉が俺は嫌いだ……。
「はーい。席についてください!」
生徒が一斉に席に着く。
「今日の授業は……」
突然だが、この学校『風ヶ崎高校』には、異能『ギルト』が存在する。その異能を持つ者のことを『ギルティー』と言う。ギルティーは普段、能力を隠し一般生徒に擬態して生活している。俺もその内の1人で隠れて生活しているわけだ。
「だからこの式はこうなるわけで……」
因みに、能力はこの高校に入学してから手に入れる。普通ならこんな人間離れした能力など怖くなり使わなくなるはずだが、稀に悪用する者も出てくるのである。
「よし、陵。答えてみろ。」
「はい。√3です。」
「正解だ。流石だな。」
能力を使わなければ他の生徒となんら変わりないわけで、勉強もちゃんとするし、俺の場合、学級委員なんかやったりしている
「それでは気をつけて帰るように!さようならー!」
今日も何事もなく終わったが、今日は委員会があってすぐには帰れない。
「はぁ、やっと終わった。挨拶をするって話だけでどんだけ長くなるんだよ。」
「しょうがないでしょ!咲都も学級委員なんだから真面目にやってよね!」
こいつは俺と一緒に学級委員をやっている東雲 優乃。真面目で何事にも全力で、人望も厚い。まぁ、才色兼備と言えば早いだろう。
「うわー。雨降ってんじゃん。とりあえず、先帰るから!」
「はいよ。」
あぁー、傘、教室だな。取ってから帰るとするか。
「あったあった。よし帰……ん?」
教室を出ようとした時、外で誰かの会話が聞こえた。
「でも、それは……」
この声は東雲か。あいつ帰ったんじゃなかったのか。相手は誰だ?
「早くしろ。さもなくば……」
数学教師の岡部の声だ。俺のクラスである2年5組の数学科を担当しているからすぐ分かった。しかし、何の話をしているんだ?俺はもう少し聞き耳を立ててみることにした。
「何故最後の一人が見つからないんだ!」
「ごめんなさい。いくら探してもわからないんです!」
「管理に失敗してみろ!死より恐ろしいものを味わうことになるぞ!」
「……。」
最後の1人?管理?一体何のことだ。
「お前は使えん!もういい!」
「探すのをやめていいということですか?」
「あぁ。」
「それではもう帰ります。」
「いや、このことを知っている以上、今ここで消えてもらう。」
「え?」
「死ね。」
「先生。何してるですか?」
「さ、咲都!?」
俺は教室を出て岡部に話しかけた。できれば関わりたくなかったが、人が殺されそうになっててしかもそれが自分の知り合いときたら黙って見過ごすわけにはいかない。
「陵。こんな時間に何してる?」
「委員会終わって帰ろうと思ったら、傘忘れたんで取りに来てました。」
「なるほど、そうだったのか。」
「先生は何してるんですか?」
「あぁ。実は、東雲から今日の授業の分からないところについて質問を受けていたんだ。なぁ?東雲。」
「は、はい…。」
「……そうなんですか。」
このまま俺が帰れば、東雲は岡部に殺される。それに、最後の1人やら管理やら聞きたいこともいろいろあるしな。
「本当に質問を受けていたんですか?」
「何だと。」
「解けない問題なのにも関わらず東雲は教科書もノートも持っていないのはおかしくないですか?」
「問題を暗記でもしてきたんだそうだ。そうだろ?東雲。」
「…はい。」
「なるほど。でも、今日の授業今日の授業で数学はなかったはずですが……。しかも、普通、今から殺す相手の質問なんて受けますか?」
「貴様……さっきの会話を聞いていたのか。」
「……。」